《三十七通目の手紙》


この世界を訪れてから、まだそれほど時間は経っていないはずなのに、なんだかずいぶん長い時が過ぎた気がします。


ざんねんながら、わたしの探していたような恋の相手は、この世界では見つからないようです。

それでも、後始末ぐらいはつけておこうと思います。


一度だけ、顔を合わせたきり、ずっと隠れたまま見つけられなかった連中をを囚える方法を思いつきました。

たぶん、わたしの思いついた方法でまちがいはないと思います。

十分な準備も、計画も、覚悟もあります。



それでも、ほんのすこし怖いけれど、そのことはこの手紙にだけ書いておこうと思います。

お母様とわたしとの秘密、ということにしておいてください。

ぜんぶ終わって、またお会いした時には、きっと、この手紙のことは笑い話にされてしまうと思うけれど、それでもいいです。


うまくいきますように。

じっさいうまい

ふしぎがいっぱい　ゆめいっぱい

またクレーがソラメロの口にクッキーを詰め込みます。

最後のほうの呟きについて少し首を傾げますが深く考えないようにしつつ。

手際よくブルーシートを取り出す貴女に感心しつつ

言い終わる前にコハクはササッと位置につき、羊羹を受け取り、ぱくり。

そう思いつつムイもぱくり。

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自信、ということについてと女性の魅力、という点について聞き
考え込むように口元に手をあてます、がすぐに

などとぶつぶつ言い始め、なんだかよく分からない発言になってしまいました。

いつもはペラペラ捲くし立てる癖に、今はなんだか失敗した、というような表情。

搾り出すようにそんなことを言いますが、結果的にとてつもなく
不器用なフォローになってしまいました。


＊＊＊＊＊

と、実演してくれるということで、真剣な表情でそれを見ます。

覚悟を決めて"角折り器"にセットされ、そして…。


＊＊＊＊＊


ジャキン———。冷たい金属音が静かに響いたそのあと。
ムイ本人は何事もなかったかのように立ち上がり、切断面から何か
流れ出すわけでもなく、なんだか拍子抜け。

と思っていたその直後。
急にフ…っと意識が飛んだようにみえ、その場に崩れ落ちます。

ひとまずはコハクが支えますが、ムイの意識が途絶えたからか、
彼女の存在はフ…っと消えてしまい、その場にムイが倒れこみます。
貴女の位置から見てもその容態が普通ではない事が分かるでしょう。

その身体は発熱し、肝心の魔力の流れはというと胸の中心から角の先端に向けて
どこから生まれたのか、膨大な魔力が流れていくのが見えます。
色で表現するなら血のような赤色の魔力です。

流れていった魔力はそのまま角の先端にあふれ出し
いつか見せてもらったような、紫色の結晶が角の形に沿って生えてきます。

そこまでいくと魔力の流れは止まり、ムイが目を覚ます直前には
紫色の結晶はボロボロと剥がれ、その下には角が元通りに生えています。

状況が全く把握できないムイ。咄嗟に角に手を伸ばし

頭を掻きながら貴女に状況を確認します。