■八ノ日

　俺は、愛用の若葉色のパッケージにあるタバコを一本取り出し火をつけた。



　・・・・・・・・・。


　あの時何が起こったのか、俺は全く理解できなかったが、
　ようやく振り返ることができそうだ。あまり愉快な話ではないが。
　単純にユニコーンが硬かった。それだけの話ではある。

　それだけで済めばよかったのだが、
　判断ミスが狩るものがいきなり狩られる者に変わる。
　強者が生き残るこの場所では、そのミスは致命的なものである。
　実際にユニコーンの追撃は続くのであった。

　──本格的に手詰まりだな。

　かすかに思い出した俺の知識では、ユニコーンなら誘き寄せる方法と
　そのおびき出す為にユニコーンが心を許す人間に条件があるくらいしか知らない。
　逆にそれ以外には心を開かず、騙すと怒りに任せて暴れるともある。


　ふむ。どうしたものか・・・。



　・・・・・・・・・。



　ああ、既にヤツはこっちをロックオンしてあったな。
　ユニコーンに合う条件を満たす人間などどうでもよかった。
　余計な策など考えたら命に関わる。