JCの作ったシャンパンを見て

そう言うと一気に飲んでしまった

ウィルフレッドの言葉に、シルフィードの表情から悲しさが消えた。

ウィルフレッドの見せた緑色の宝石に、シルフィードの目が釘付けになる。

飛び出したぬいぐるみのような猫の姿に虚をつかれ、棒立ちになる。
自分を害するための銃撃と、目の前の猫の姿が頭の中で繋がらない…
が、抱えているスケッチブックに目を通すと

魔法を行使する事も忘れて猫を捕まえようとする。
が、散り散りになった逃げ出した猫にその手はかすりもしない。
猫が逃げ去った方向を見つめている…その頬がほんの少し、紅潮している。

>「さっきのお返しだ！ 」
びくり、と肩を震わせる。…が、顔を挙げて男を見据えた時には既に平然とした様子を取り戻している。
無理をしているのかもしれない。

謝罪と賛辞を受けて、目を伏せる。

その短い、淡々とした言葉には確かな熱が篭っていた。