（なにを、ぼうっとしているの）

誰かの尋ねる声がします。
午睡にまどろむように、
紅茶に沈むミルクのように、

ぼんやりとかすんでいたすみれ色の眼に
光がやっと、ともりました。

「あんれ？」

ぱち　ぱち　と2度瞬いて。
きょろきょろと、2度見回しました。
なんだか少し、おかしかったようです。
話しかけても上の空、
曖昧な返事しかしなかったのだと、
旅の道連れたちは言います。

「……そ、だか。うぅ、ごめんなさいだ」

申し訳なさそうに頭を垂れます。
たまに、こういうことがあったのです。
サァカスに居たときも、
象に起こされたり、鳥に風を送ってもらったり。
そんな風にして、起こされることがあったのです。

（気をつけなければいけないよ、ミュエリ。だって、きみは）

どこからか、声がしましたが

「——？」

ミュエリは、其れが一体誰なのか
まだ、思い出すことはできませんでした。


#またも間が空いてしまいました
#そっと設定にくっつけながら続けてまいります…！