トシちゃんの日記　7回目

　どう？
　アタシの浴衣姿、似合ってるかしら？
　女物の浴衣って初めて袖通すから、少し戸惑っちゃったけど……
　これはこれでなかなか良いわね。
　でも、流石はハッカちゃん。
　器用に仕事してるわねぇ。
　オマケにウィッグなんて付けてくれちゃって。
　至れり尽くせりじゃなぁい？
　もうこれで文句言ったら罰が当たるってもんよねぇ。

　ビバ！サマバケ！


　でもアタシ、ちょっと気になる噂を聞いたわ。
　何やら不審な動きをしている一団が居るんですって。
　一揆してるメンバーに襲い掛かり、
　装備や稼いだ持ち物を根こそぎ持って行くんですって……

　やだ、なにそれ怖い。

　アタシそんなことになったら、正直どうしようかしら……

————————————————————————————

今回の絵は、ENo.299 薄荷老酒さんに描いて頂きました！！
ありがとうございます！！ありがとうございます！！！

ライネ・スパークルは夢を見ていた。
憧れのあの人と浜辺でキャッキャウフフする夢である。
やがて、肩を抱かれて向き合う二人。
熱い吐息が顔に降りかかる——

——そして、ハっと気が付いた。
目の前に居たのは憧れのあの人では無かったが、状況に違いは無い。

脳内に絶叫がほとばしる。
しかし、声にならないその声に、目の前のオネェは気付かない。
身じろぎしたが、50も差があるSTRではその拘束から逃れられそうに無かった。

勘違いしているようでいて、その実全く間違っちゃいない解答に行き着いた。

ギュっと目を瞑り、震えながらも唇を突き出した。
次第に近づく唇、接触まであと数センチ——

十数ミリ——そして、

ドンッ！

っと、厚い胸板を押して顔を引き離す。

　　　　　　　話梅のひとつがトシのほうをちらちらと伺いながらも、
　　　　　　　興味なんてありませんのよ、とばかりに風に揺られている。
　　　　　　　──と、話を向けられれば白い花は、ぱっと人の姿をとってお喋りしだす。

社長が持っていた情報は『トシがナニをアレしてアッー！』したらしいというもの。
そのため、彼の中でトシのイメージは、気に入った男には躊躇なく襲いかかり、
ちぎっては投げ、ちぎっては投げを繰り返す猛獣のような男性だと思っていた。

しかし、今の目の前にいる男性からはそのようなイメージはまったく見られない。
むしろ配慮の行き届いた女性的なイメージすら見られる。

自分がトシの好みから外れているというのもあるかもしれないが、
少なくても、もっと押しの強い男性のイメージだと思っていた。

彼は混乱していた
しばし頭を抱えた後、彼の取った行動はーー

ーー保留であった

右手で自分の胸を抑える付けるようにして、彼は自分の部屋に戻っていった。