面白くない。もやもやする。何をそんなに気にかけて、慌てて取り繕う必要がある？

スヴィニルは釈然としなかった。かたわれの様子をそれとなく、それでいて丹念に注視していた。

見上げる横顔はすでに、いつもの屈託なく幼い様子を取り戻している。

単純に与えられた“おつかい”への使命感と、刻々と迫りくる時間切れへの焦燥感に駆られ、

落ち着きなく瞳が動き回っては目的を達成してくれる人物を探している。

こと、黒蛇はかたわれの変化に敏感だ。

この世界に来てから、感情の起伏が激しくなったように思うのだ。

自分とは逆に積極的にひとと関わろうとする姿勢を至極楽しんでいる様に見える。

偶に思う。どうして己もかたわれと同様に無邪気で在れないのだろうかと。

そうであれば、こんな曖昧な嫉妬心を持てあます事など無く、ともに喜びを分かち合えたのに。

はじめに、レネルニルにひとへの関心を与えたのは誰であったか。

気に食わない、いくつかの人物を思い出す。思い返すだに、もう一度引き裂きたいほど憎らしい。

そう、あの出来事が良くなかった。

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割と無茶な時間に駆け込み依頼したにも拘らず、金色の青年は快く請け負ってくれた。

仕上がった魔鎌をサンプルごとセレーネに引き渡した後のこと。

新たな出会いを得て首尾よくことが運び、レネルニルは上機嫌だ。

むかむかする。今回の一揆騒動はただのゲームの筈だった。それが違う意味を持ちつつある。