[SummerVacation]（昼）

　夏。
　それは色々な人が開放的になる季節!
　
　夏。
　それは少しでも涼を求め、人が薄着になる季節!!

　「夏。それは恋の炎が萌え・・・ぶっ」
　「ええかげんにしなさい!」

　浴衣姿の男に対し、ハニワがツッコミを入れていた。
　その脇ではアニマが「またか」と言うかのように呆れた雰囲気を漂わせて男とハニワのやりとりを眺めている。

　季節は夏。
　場所は海。
　いつもとほんの少しだけ違う一日はこうして始まった。

　　　　　　　　　　〜　Summer Vacation　〜

　敵との戦いに三連続で敗退した享楽は、表には出さないものの内心少し気落ちしていた。
　負けは何度も経験しているが、新天地での出鼻をくじかれ周囲との差がつきはじめてくると流石に平常心ではいられない。
　借りていた一室で（さて、今後はどう動こうか）と考えているときに入ってきたチラシが[Summer Vacation］への誘いであった。
　部屋に閉じこもっても良い案が出ないと考え、エンブリオ達を伴って会場の一つである海へと繰り出してきたわけである。

　「いや〜。絶景さ〜。（女性達が）」
　「ほんまになぁ。（女性達が）」
　「まったくですね。（海が）」

　三者三様の感想を述べながら浜辺へと足を踏み入れていく。
　浜辺には多くの人々が押し掛けているようだが、湾が幾つも連なった形状をしている浜辺は広く、人の多さを感じさせないほどである。
　開いている一角に陣取った享楽達はシートとパラソルを広げ、思い思いにくつろぎ始める。

　「一花（アニマ）、二花（ハニワ）遠くへ行っても良いが夕方までには帰ってこいよ〜」
　
　寝転がった享楽がそう声をかけると、二匹のエンブリオは了解の声をあげそれぞれ別の方向へと飛び去っていく。
　それを横目に見ながら、享楽は視線を海の方へと移す。
　視線の先では人族だけではなく様々な種族の男性や女性が海で遊ぶ様子が広がっていた。
　
　「さって、俺も気晴らしに・・・女の子達と遊んでくるさぁあ！！」

そう叫ぶと、海辺で一人歩く女性へと突貫をかけに行った。
　
　「お嬢さん！！おひとりなら俺と海で一献どうですか！？」