tie cadaie -2-

マァムブの起動、そして一揆への参戦。
ここ暫くは実に慌ただしいばかりだった。
その間に浮かんだとりとめのない思考も、記録しておけば何かの役には立つだろうか。
流れる水も手に留めれば、飲むこともできるだろう。
顔を突っ込んで直飲みすればいい、という者も居るが。


一揆について
　→武力蜂起の理由
　　→新王によるネクターの独占
　　　→なぜ王はそのようなことをしたか
　　　　→理由あり
　　　　　→大量のネクターが必要になった
　　　　　　・大量にネクターを消費する強力なエンブリオの存在
　　　　　　・他の使い道が見つかった
　　　　　→ネクターの管理
　　　　　　・ネクターの枯渇
　　　　　　・民衆から力を奪うため
　　　　　　・他世界への輸出
　　　　　→個人的嗜好・特殊な思想
　　　　　　・ネクターが好き
　　　　　　・新王がエンブリオである
　　　　　　・環境保全のため
　　　　→理由なし
　　　　　・精神異常による暴走行為
　　　　　・暇を持て余した新王の遊び
※王の人柄について知るものが少ないためただの噂や憶測にすぎない。

　　　→ネクター独占による弊害
　　　　・エンブリオに頼っていた者達が生活に困窮
　　　　　→職業上必要とする者達
　　　　　→生命の維持や身体的欠陥を契約で補っている者達
　　　　・エンブリオの暴走による領主死亡事件
　　　　・エンブリオや生物の生息数減少

　→ラルフとルリアンナ
　　・彼らが一揆の首謀者なのか？
　　・王との関係性は？
　　・大量のネクターをどこで確保したのか？
　　


カダイエについて
　→わかっていること
　　・ほとんどない
　　　→文献の分析、更なる収集が必要
　　・マァムブに生活を依存していたという伝承
　　・１００年間続く夕と一度だけ来る夜
　　・１２人の契約者はどこへ行ったのか？

メルンストゥーラについて
　・それぞれが持っていたコインに何か意味はあるのだろうか？
　・各所の刑吏ギルドに情報収集を依頼することとする。使えるものは使っていこう

　→ジュリについて
　　・『鈴蘭』のコインを所持
　　・異世界から来たらしく、言葉が通じない
　　　→他の異世界から来たものの中には言葉が通じるものもいる
　　　→このままでは、何かと不便なので面倒ではあるが教育を行う必要あり
　　・歳は多分、10代

　→フライバイについて
　　・『犬』のコインを所持
　　・奴隷を所持しているが、グリゴリを利用してエンブリオに変えている。
　　・犬のまね事をしているのは、本人曰く「楽だから」
　　・正直、うさんくさい。要警戒
　　・奴隷取引の活発な南方で情報収集。南方刑吏ギルドへ依頼。

　→シルマリィについて
　　・『劇薬』のコインを所持
　　・口数は少ない。
　　・あまり常識を備えていないようにも見える
　　・奇妙な服を着ている
　　・異種族の差別といえばやはり北方だろうか。実家に問い合わせ。

　→ペドロについて
　　・『芸術家』のコインを所持
　　・シルマリィとは違った意味で常識がないようだ。
　　・コレまでの会話の中でも、良心の欠如が見られる
　　・カミユへの執着が見られる。
　　・要警戒
　　・西方だろうか？とりあえず、名前と画家ということで問い合わせ。

　→リレッタについて
　　・『十字』のコインを所持
　　・おせっかい焼き
　　・時折、鎧を来て暴走する。が、その後の素振りを見ると、そのことを覚えていないのだろうか？
　　・要警戒
　　・西方か東方だろうか？名前だけでは難しいかもしれない。

　→レグルスについて
　　・『鎖』のコインを所持
　　・路地裏などにゴロゴロいそうなタイプ
　　・短気。リセナとよく衝突している
　　・希少種と読んでいる供を連れている。
　　　→見た限りではあまり知性は感じられないが。単独でいるときに接触してみる必要がありそうだ
　　・口ほどには強くない
　　・同郷。実家に問い合わせ。鳥系亜人の集落については、クリスも詳しいようだ。

　→カミユについて
　　・『天使』のコインを所持
　　・聖職者ではないが、信心深いようだ。
　　・グレイマンを信頼、彼の事を馬鹿にすると大きな感情の動きを見せた
　　・あまり長くココに居るべき人間ではないように思える。
　　・天使に関してはクリスが何か知っているようだ。あとで聞いてみよう。

　→リセナついて
　　・『瞳』のコインを所持
　　・性格は勝気、レグルスと良く衝突しているところを見る
　　・ウサギの血が混じっているらしい
　　・ウサギの血とやらは珍しいが、それだけの情報では難しい、中央刑吏ギルドに依頼してみよう。

　→グレイマンついて
　　・『枯蔦』のコインを所持
　　・病気持ちで、実家の副業薬店の客でもある
　　・与えている薬は、黒い森の魔女が処方したもの。多少進行を遅らせる効果はあるのだろうか？素材は希少物。
　　・修道士だが、とてもとても信仰心があるようには思えない
　　・突くと以外に本音を漏らすのは、警戒されていないのかそれとも取るに足らない相手だと思われているのか
　　・名前だけでも問い合わせれば、何か微罪が引っかかるだろう

　→イースについて
　　・『骸』のコインを所持
　　・接触して見た限りではほとんど知性は感じられない
　　・多少の言葉は解するようだ
　　・要観察
　　・グリゴリが何か知っているのかもしれないが、聞いてもどうせ答えは無いだろう。

　→グリゴリについて
　　・特になし


これまでに出合ったものたちについて
　・意外に困窮しているものは少なく、軽い気分で一揆に参加しているものがいるようにも見受けられる
　・まだあまり重要な情報を得られてはいない、会話を続けるうちに何か得られればいいが
　・想像以上に顔見知りが多い。よくホイホイと一揆などに参加するものだ


クリスティーナについて
　・何故人形の体を得て戻ってきたのか、未だ聞けないでいる
　・カダイエの文献を集めていたのは、本当にただの趣味、なのだろうか？
　・まだ、僕のことを恨んでいるだろうか



メモ
　・髪を引っ張られた
　・顔三発、腹一発、頭を踏まれる


この記録に関してはあまり他の者達には見られたくない。
クリスの言う秘密の隠し場所、とやらに隠してもらうこととしよう。
鍵は掛けているにしても、この部屋に入りたがるものもいることだし。

パワーストーン　というものではないらしい。
多分、この果物の名前は　”りんご”　というのだろうと受け取ったりんごを両手に抱え眺めていたところで。その果実は、また相手によって奪われる。
驚いたように目を丸くしているものの、何か、を言う前に相手の言葉は続き。

いち　に　ぐらいは覚えられたものの。さん　ぐらいからかなりあやしい。よん、ご、はもう完全に覚えていない。
それでも、さん　と言いながら相手の指が三本たてば、ホッとしたように息を吐き。

これは、取引だ。パワーストーンはおかねだ。
買い物の仕方を教わっているのではないか、と気づけば、はっと顔をあげて。
みっつ、PSをその場に置けば、りんごが欲しい、と両手を差し出して。
間違っていないだろうか、と不安げな表情は、まだ、消えない。

クリストファーの返事に、ふん、と鼻を鳴らす。
　

グリゴリはようやくクリストファーから離れ、上着を羽織るとドアに手をかける。

ドアを開くと人形がいた。
深く考えずに、クリストファーのエンブリオだと判断してそれを蹴飛ばした。

*****
　

クリストファーが自室から出ると、グリゴリのエンブリオが飛び出して来た。
周囲にグリゴリはいないようだ。
　

エンブリオはもじもじするように揺れる。
　

▼カリガは小さな自動人形に目を向けた......

▼小さな自動人形は、猫のようにぶら下がっている......

▼そういうことにしよう

青髪の女の言葉を聞き怪訝な表情を浮かべると、
人形と言われた少女に向かってしゃがみ込んだ。

肩ごしに振り向きながら、青髪の女の向かって下卑た笑みを浮かべながら話しかけた

後で食べると言おうとしてクリスの方に目を向ける

−間−

知らない、そして知りたくもない。
その言葉に困った表情で頬を掻いた。

続けて、『人一人は』と聞くと瞼がピクリと動く。

話題をもっと話しやすいように聞いたであろうグリゴリ好きなものは何か？
という問いに『内臓』と答えるクリストファー。
わざわざ、あいまいに。

ただ、それを聞いたリレッタは——

「なんの、とは言わないけれど。」

どこか不気味な笑みでそう返した。

けれど、それもつかの間。
甘いものが好きだ、と答えたクリストファーにいつものような柔和な笑みで「それなら」と

「私がいなくても、大皿でとっておきますから今日の夕飯までにどうぞ。」

そう言うと、また彼女はゆっくりとした歩調で歩き始めた。

止める前にカカがキャッチしていた。

つと視線を手の中の果実に戻し。

人形の言にやや混乱しつつも、首を振って向き直る。

　無邪気に喜ぶお人形君がほほえましい。
　つい、ほんわかした気持ちでお人形君を見守ってしまう。
　お人形君と似たようなエンブリオと双子の姉妹、かあ。義姉妹って可能性もあるけど……。
　……私には関係ないことだし、余計なお世話だよね。
　だから、小さな引っかかりには気がつかないふりをして、

　と、目の前の青年に笑いかけた。

　　

エルフの血がそうさせるのか、服から覗く首や腕は、いやに細さが際立つ。
腰の高さや骨格から見れば、女と判別はつく。にしてもの平坦さにはっきりとした台詞を向けて、
不快だと言われれば確認は済んだように視線を別所に投げた。

暫くは厄介にならんとならないだろうよ。と、男は吐き出す煙を眺めやる。

少女が口を挟む間もなく、後ろの人形を探していた人物は走り去ってしまって、その様子をケラケラと笑う喋る兎を少女は睨みつけた。
そうして、踊り出てきた人形をじっと見下ろす。

微かな表情の動きを竜は気にしたようであった。
よく見ようとしたのか、一歩近づいた様子を見せた——ところで、再び赤がその手に握られているのに気がついたらしい。

言葉の残滓を残しながら、今度は竜は果物の第二陣に備えた。
やや身を低く構えてぱっくりと口を開く。
‥そのまま放られる放物線の先に口腔を置いてぱくりと、くわえこむ。
目測を誤る以前の先程とは違い、今度は落としたりする素振りはなかった。

けれど、くわえこんだ果実をすぐさま足元に転がした。
それから先程の——ひとつめのそれとを嗅ぎ比べ、

くんくんふんふんと飽きずに鼻を鳴らしながら、それは嬉しそうに獣はこたえた。

人形の屈託ない言葉に少女も笑顔で答える

一気に参加なさっているの？その質問にシエラは眉をひそめる

しばらく考え込んだいたがシエラは妙案を思いついたように人形を指さしてこういった

不思議そうに小さな女の子を観察するように見つめる

小さな女の子が気になるのか、視線はずっとそちらに向いたまま話している

ここにきてトガノは少しだけ理解する。
この人物は極端に自身に纏わる話はしたがらないのだ、と。

即席の判断に基づいた言葉を次から次へと並べ立てていく。
一方、クリスティーナの方へは笑顔を浮かべてみせ。

どうやら、それ以前の問題であることにまでは頭が回らないようだ。

あらぁ？と言って口元に手を添える。

言いかけたメルメルの背後で、人形の拳を振る動きにこらえきれず、とうとう黒猫が眼を輝かせながら飛びかかる！

とっさに止めようと動いたゴレムの動きに体勢を崩した黒猫が人形を通りこし、メルメルの背中にぶつかった！

柔らかな地面にビタンっと転がるメルメル、背中に強かに鼻面を打ち付けたグラオ、しまった…という空気で固まるハニワ頭のゴレム、隠れていた壁が無くなり丸見えになる少女人形……
しばしの沈黙があたりをつつむ……

耳をじーっと見て。

そう言うと目を閉じ、早口に異国の歌のような言葉を唱え始め。