9月29日
　文箭との会話の中で、記憶を一つ取り戻す事ができた。
　ドイツ。私の領地は、確かにその「地域」に属していた。

　だが、私が領主であった時には、もっと別の──
　そう、もっと別の名前の「帝国」であった筈なのだ。
　ならば、なぜ「その後」の記憶があるのか？
　やはり文箭が言うように、私は一度死んでいるのだろうか？


　それはそれとして、ユニコーンの魂はなかなかの美味だった。　
　浄化の力と、乙女に執着する俗物の価値観。相反する特性が絶妙に調和している。
　インプの魂の単調な味とは、雲泥の差だ。
　今回は生のままだったが、次の機会があるなら色々な調理法を試してみようと思う。
　もっとも、文箭は嫌な顔をするだろうが。