暑いです。海はとっても暑いです。
強い光と海水は体に毒です。でも、ロロムには薬があるのでへっちゃらです。
たまにいるクラゲは薬です。でも、この辺にはあんまりいません。残念です。

今日はお祭りなので、人はいっぱいます。夜はお店も出るそうです。
ぽぽたん荘の人たちもお店を出すそうです。ご苦労様です。
お祭りは神様に感謝するためにします。それから、楽しいことをします。
ぽぽたんは神様だそうです。みんなはぽぽたんに感謝するんでしょうか？

ぽぽたんはお部屋を貸してくれてるので、ロロムも感謝です。
でもロロムは、別の神様に感謝することにします。
村のお祭りで感謝するだいじな神様。おばあさまがよくお話してくれた神様—

その神様は、まっくろな森に住んでいます。
その神様は、まっくろな病気に愛されています。
その神様は、まっくろな痛みから病気を助けます。
その神様は、まっくろな悪い奴だと言う人もいます。

その神様は—　ロロムが護衛をしています。…たぶん。

なべ姉は、〝黒き森の魔女〟らしいです。びっくりです！
去年のお祭りのごちそうをつまみ食いしたことを、怒ってなくて安心です。
ニセモノだからかもしれません。でも、ロロムはモノホンと信じています。
だって、おばあさまが信じた神様を、ロロムも信じたいから。
おんなじ気持ちは、「そばにいる」って思えるから…
…借りたままの病気の痛みよりも、ずっと。

さて、感謝するにはごちそうを用意しなくちゃいけません。
ごちそうは、みんながおいしいと思うものじゃなきゃダメです。
一緒に護衛をしてる、しありんとあっくんの好きな食べ物は何でしょうか？

二人は異世界からのお客さんです。ここがいい所だって思って欲しいです。
この世界の住人として、ロロムは責任重大です！
しありんは、いつもけだるげです。でも、丈夫なので元気です。
あっくんは、まっくろで暑いです。でも、余裕があるので元気です。

二人のことを考えても、何がいいかよくわかりません。…もうロロムにとってのごちそうでいっか。
そうと決まれば、ごちそう探しに出発です！とっておきの薬も準備です！

日陰から立ち上がると…日差しでふらふらします。早いとこ見つけたほうがよさそうです。
遊び足りない分は、夜のお店で遊ぶことにしました。

***

（釣果はCno.832の釣りコミュに依存します！）

誇らしげにランタンを差し出す。
いつもより二周りは大きい上に、海水で満たされている！
中に何か泳いでいる—

【トラフグ】
怒るとすぐむくれるので、扱いが難しい高嶺の花。
死ぬほどおいしいらしい。

収穫品ははまぐりやらホタテやらしじみやら、様々な種類が混在している。

　ううん、と少し悩む素振りを見せてから、

　花の名前でも出てくると思ったら、普段のポポロからは想像もつかないような単語が飛び出てきた。

傷薬を受け取ると、目を丸くして少女を見る。

青年は荷物の中から小振りの瓶を取り出し、差し出した。
中は深い赤紫色の液体で満たされているようだ。

リンゴの絵と共に書かれた字を珍しそうに見つめながら。
「ジュース？」なんて確かめるように尋ねもするけど、好奇心優先ですぐに栓を開けてしまうのだった。
それでのどを潤しながら、彼女の問いに首をかしげて見返して。

ね〜、と虚空に向かって同意を求める。
光の加減で、頷いているらしい人影がぼんやりと見えた。

目を閉じ、呼吸を調えて神経を集中させる。
早口に異国の歌のような言葉を唱え始め。

ふわ、と風が彼女の周りにまとわりついた。
大鍋が魔女の前に立った。

そう言うと目を閉じ、早口に異国の歌のような言葉を唱え始め。

ふわ、と風が彼女の周りにまとわりついた。
大鍋が彼女の前に歩み出た。

シャリン——、シャリン——
　どこからともなく音がする。

　　　シャリン——、シャリン——
　　　　それは、だんだん近づいてきている、そんな気がする。