1573日目。

エンブリオに変化。

どうやら一個体のもつ技を使い込むと契約者自身の力の底上げが出来るように進化するようだ。

しかし性能に変化こそあれど、見た目の変化はいまだ見られず。

いっその事最初から実体を持つエンブリオと契約してみるのも手かもしれない。

今後興味の惹かれる個体を見つけ次第、契約してみることも検討していく。


この世界は不可思議なことが多く在る。

そのひとつとして挙げられる、"作製"という行為。

一揆に参加している者なら優劣はあれど誰もが行える行為.

"素材"を"装備"に変えることができる。

ソレは明らかに物理法則を無視。

小さな鱗から巨大な斧を作ることも、石から竹製の武器を作ることも可能なようだ。

所謂錬金術に近いのだろうか。

他にも素材、装備、食材に関係なくひとつにしてしまう"合成"。

素材を砕いて装備に特性を与える"付加"などが見受けられる。

そのいずれもを皆少なからず資質を備えるようだ。

文献でもない限り、これらについての解明は難しそうである。

しばらくはあくまで『便利なシステム』としてのみ理解するしかなさそうだ。




———験体番号六番ノ手記、第六頁。

そういうナナシの周囲には身を冷やすように風が吹いている。

すぅ…と中空から降りてくると差し出された手にチラシを渡す。
わからないところがあれば適宜答えるだろう。

馴れ馴れしく話しかけられても気にもとめず答え、尻尾をゆらゆらと揺らしながら聞き返します。

質問され何故かドヤ顔になり

耳をぴこぴこと動かしながら、笑顔でそう言います。