〜以下に日記を記す〜


—○月×日—

空を見上げれば晴天。
雲ひとつ無い心地よい天気。


小川から届く水の音が耳に心地よく届く。


そんなさわやかな一日の始まりを迎えた俺達を迎えたのは。
水着姿の兵士達だったのである。


朝の開幕はニワトリの鳴き声ではなく、やたらとでかいタイガーのエンジンの爆音と、ドリフト音で告げられた。


ほかに水辺エリアにいた人には、朝っぱらから近所迷惑で申し訳ない。



俺の運転テクニックを間近で見られて得をしたと思ってくれ。(←反省の色無し)



—同日—


練習試合の内容についてかいておきたいと思う。


結果から先に言うと、『負け』である。


ラノエルージュ・カネルネージュ君のクラッシャーにより、


俺がまずクラッシャーされ、


その後タイガーもクラッシャーされた。



練習試合だったはずなのだが、タイガーはスクラップにされたり、給油口に砂糖を詰められたりと結構大変な目に遭っていた。



やはり、150km/hでのタックルがよくなかったのかも知れない。



練習試合を通して思ったが、俺が倒れるのが速過ぎる。
体力には自信があるが、ここまであっさり倒れてしまうのは自分でも予想外だった。


相手の必殺技を喰らっても倒れない程度には自分に期待していたのだが。
なかなかそう甘くはないらしい。


全く『なんでもない屋』として情けない話だ。


魔術も使えない俺ができることは、戦場にただ突っ立てるぐらいだ。
そのなんでもないことを全力でやって、皆を助けるからこそ『なんでもない屋』なのである。



それが簡単に倒れてどうする。



日々の日課で行っている毎日の訓練。
また、基本の一から見直してみっちり鍛えなおさなければならない。


そんなことを考える。
やるべき事が見えたせいか、身体に力が漲る。


ランプに火を灯すように。
心に炎がゆらめいた。



—まずは、素振りからだ。



俺はさっそく大剣を構えた。



—○月△日—

どうやら、ベルが何事か悩んでいる現場に遭遇した。

なんだか、すごいエンブリオに暴言を吐かれた。
悲しい。



しかし、文句は言うものの戦闘では頑張ってくれているので特に問題は無い。



問題があるとすれば、相変わらず小川をタイガーと一緒に突っ走っているこの現状だ。




タイガーが壊れやしないか心配である。











あと、相変わらず依頼はこない。

トートが器用なハンドルさばきで軽やかに運転し水辺を軽快に走り抜けるトラックの、その進路上。
何やら丸太の様に太い物体が近くの草むらから伸びてきたかと思うとベタンと地面に横たわったのが、彼に見えたかどうか？

——そう、それは正にトラックの回転するタイヤが明らかに踏みつけそうな場所にある。
すぐさま回避行動を取れば避けられるかもしれないが、果たして。


（数秒後、激しい衝撃と共に何かがおもいっきり踏みつけられる感触と、災難な何者かの悲鳴が響く…かもしれないし、もっと酷いことになるかもしれないが）

（結果は神のみぞ知るところである）

（……というよりは、運転手次第かも知れないが）