ENo.1061 ヘステイア・タック・レセプレイシス

あなたは、じぶんの『こころ』が、わからない。

だれかの『こころ』がわからないように、
じぶんの『こころ』も、
わからない。識りえない。

夢のあと、あなたが追いかけるのは、
『こころ』ではなく、
あなたの『ねがい』が、
なにかの鏡を介して、
あなた自身の瞳に映る。
そんな、そんなとても不確かなもの。

あなたは、知らないうちに、
じぶんの『こころ』が、
だれかの『こころ』を通して、
あたかも、
じぶんじしんの瞳がみすえる、
疑いようのない真実のような気がして、
それで悩んだり、憂いだり、
ときに打ちひしがれたりする。

いるのかもわからない誰かの『こころ』に、
あるのかもわからない誰かの『こころ』に、
じぶんの『こころ』を重ねて、はじめて、
『せかい』のかたちがわかるのだ。
『じかん』のながれがわかるのだ。

ともすれば、
まるでだれかの『じかん』が、じぶんの『じかん』であるように、
だれかの『せかい』が、じぶんの『せかい』であるように、
おたがいが、おたがいの『こころ』を削りあって、
ちいさな、ちいさないとを張るのだ。

もしも。

だれかのいとが、じぶんの『こころ』にまきついて、くるしくなったとき。

じぶんの『こころ』を削りすぎて、いとを切らないように息を切らせるとき。

だれかの『こころ』を守ろうと、じぶんの『こころ』を藍に染めるとき。

もしも。

あなたの『じかん』が、
誰かの為に、使わされているとき。

あなたの『せかい』が、
誰かの為に、開かされているとき。

あなたの『こころ』が、
誰かと誰かの
『せかい』と『じかん』のなかで、
色を変え、形を変え、
そうして元のかたちがどうだったのかさえ、
おもいだせない、とりもどせない、

ほんとうかどうかも、わからない。

そんな想いが、あるのならば。

“夢の中”で、出会うあなたは、
まるで曇り一つない水晶のような純粋さで、
見つめている。『せかい』を。『じかん』を。

そこは、あなたの為の『じかん』が流れる、あなただけの『せかい』。

映し出された『こころ』を、もう一度拾い集めようと。
純粋に強く願うのだ。

あなたがその『こころ』を知ったとき。
“誰かを通じて”――その『誰か』が、“誰”であるかを知ったとき。

あなただけの、ちいさなせかい、
ちいさなじかんのながれを象徴するかのように、
あなた『自身』が微笑むのだ。

・・あなたは。

誰かの為に、『じかん』を、つかっていますか？
誰かと同じ、『せかい』に、すごしていますか？

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『坂の下のむにゃ』

Picture : painted by Kijima
Text : written by Hetare

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ちょっと調子に乗りました。
いろいろ反省してます。

友人に描いてもらった絵が素敵だったので思わず。