ENo.89 鎌瀬犬介

九日目かな

うみねこ「ひ」

キラーオクトパス「で」

キラーオクトパス「ぶ」

防人「ふぅ……」

鎌瀬犬「……今回はなかなかの強敵だったな」

ジョニー「オ、見えてきたゼ……」

敵を倒した先に新たな街が見えてきた。
どうやら『オルゼ』という名の街らしい。

百舌子「じゃあ、いつも通り食料調達だね」

鎌瀬犬「……そうしたいが、その前に」

防人「傷の手当てが先だな」

先ほどの敵が思ったより手強かったため、俺たちはボロボロに傷ついていた。

百舌子「じゃあレイナちゃん、いつものお願い！」

レイナ「面倒くさいので遠慮したい、……と言いたいところですが私も被害を受けましたし、ここらで回復しましょう」

周囲が安全なことを確認し、レイナが回復呪文を詠う。

〜〜詠唱中〜〜

鎌瀬犬「…………」

防人「…………」

ジョニー「…………」

百舌子「…………zzz」

〜〜詠唱終了〜〜

詠唱が終わり、俺たちの傷も塞がっていく。

レイナ「……こんなところですかね」

防人「……戦闘中は敵に集中していたから気付かなかったが、これは……」

鎌瀬犬「……いや、傷は回復しているから文句は言うまい」

レイナ「……何か問題でも？」

防人「モーマンタイ」

レイナ「……今後の戦闘に支障が出るかもしれません、問題があるなら今ここで打ち明けて下さい」

防人「え、俺が言うの？」

鎌瀬犬「……お前以外は不満はないぞ」

防人「あー、その、レイナさんよ、お前さんの歌はな、その……」

なかなか口ごもって話が進まない防人。
確かにアレを打ち明けるということはパーティに亀裂が入るかもしれないことだ。

レイナ「はっきり述べてもらって結構です」

防人「……お前さんの歌唱力は――」

百舌子「レイナちゃんって歌うの下手っぴだね！」

………………。

…………。

……。

百舌子が変化球なしの直球ド真ん中でぶっちゃけた。

レイナ「…………」

レイナも言葉を返し忘れている。

ジョニー「オーイ、お譲」

レイナ「………………ハッ」

意識が戻ったようだ。

レイナ「……何を言い出すかと思えば百舌子さん、あなた、音楽のセンスがないですね。私が詠っているのは癒しの歌ですよ？その歌を否定するということは、あなたの音楽的センスが皆無に等しいということです。もし、そうでないならばあなたの聴覚が非常に乏しいということです。まあ、あなたのオツムが乏しいことから、芸術的センスのすべてが皆無に等しいことは充分に承知していましたが、これほど酷いとは思ってもいませんでした。ですが悲観しないでください。あなたは鳥の亜人ですので、普通の人間のセンスを持ち合わせていないだけです。もちろん私も鳥に好印象を与えるセンスなど持ち合わせていないので、あなたと私は初めから芸術的センスが噛み合っていなかったのです。お判りになられましたか？」

百舌子「長すぎてよくわかんないよ」

防人「……人間の俺たちが聴いてもその歌唱力はどうかと思うぞ」

レイナ「あなたは軍人でしたからね、音楽とは無縁の世界にいたのでは、音楽センスを持ち合わせていないでしょう。そのような方にあれこれ口出しされても困ります。素人は素人らしく、大人しく私の歌を聴いていればいいのです」

鎌瀬犬「……」

レイナ「あなたは何も言わなくて結構です。犬に人間の音楽を理解してもらおうなんて思っていませんから」

だから俺は人間だってば。

レイナ「……まさかこのパーティがここまで音楽センスがないとは思っていませんでした。これは今後の戦闘に支障が発生します。皆さんは少しでも音楽というものを理解してください」

ジョニー「一番理解する必要があるのはお譲だと思うんだガ……」

レイナ「あなたもたかが人形風情で音楽を語らないでください。……全く、このパーティには音楽を共感できる方が一人もいませんね」

百舌子「せやな」

鎌瀬犬「せやな」

ジョニー「せやな」

防人「せやな」

〜〜幕間〜〜

幕間です

〜〜幕間〜〜

オルゼの街で食料を調達し、一段落する。

鎌瀬犬「……この街の依頼はあるか？」

防人「巨大ミミズの捕獲とギャング潰しだな」

鎌瀬犬「……捕獲、ということは生け捕りにしないといけないのか」

レイナ「ただでさえミミズは嫌いな生物だというのに、巨大化されたら生理的に受け付けません」

防人「確かに、ミミズはあまり好きになれないな……」

それについては俺も同意見だ。ミミズを好きになる奴なんて物好きにも程がある。

百舌子「えっ？何で？ミミズおいしいよ？」

防人「……」

レイナ「……」

鎌瀬犬「……」

ジョニー「……」

〜〜幕間〜〜

幕間です

〜〜幕間〜〜

俺たちはゾンビの群れに負けたことにより、作戦会議を行っていた。

鎌瀬犬「……それで、今後はどうするんだ？」

レイナ「……どうするも何も、今まで通り依頼をこなしていくだけです。それとも何か、あなたは怖気づいたんですか？」

防人「だが、依頼先の敵が強くなってきたのも確かだ。このまま戦ってもゾンビの時のように返り討ちにあうだけだ」

レイナ「……」

鎌瀬犬「……」

重い空気が流れる。

百舌子「じゃあ修行しようよ」

鎌瀬犬「……修行、か」

防人「ま、俺たちに出来ることと言えばそれくらいか」

鎌瀬犬「……小さな積み重ねが重要ということか」

レイナ「……確かに私たちが弱いのは悔しいですが、現実です。これを機に、皆さん私の歌が必要ないくらい強くなってください」

ジョニー「オーオー、言うねェお譲」

こうして俺たちはゾンビ達にリベンジするためにも、オルゼの街周辺で戦闘の経験を稼ぐことにした。

〜〜幕間〜〜

幕間です

〜〜幕間〜〜

鎌瀬犬「……さて」

防人「困ったことが起きたな」

百舌子「どうしたの？」

防人「例によってまた1000文字程余った」

レイナ「そして恒例になってきたネタ切れ……」

ジョニー「閑話休題をするのも難しいゼ」

レイナ「諦めて今回はここまでにしたらどうですか？」

鎌瀬犬「……ここまで来たんだ、意地でも日記ランキングの上位に喰いついてやるさ」

防人「ならば今日は何の話題で文字数を稼ぐんだ？」

鎌瀬犬「……ならば今日は俺の必殺技を考えようと思う」

パーティメンバーが派手に技を決めているなか、俺だけデフォルトの技で戦っているというのはなかなかに寂しいものだ。

〜〜幕間〜〜

幕間です

〜〜幕間〜〜

〜〜鎌瀬犬介の必殺技考案会議〜〜

鎌瀬犬「……というわけで、そろそろ俺も必殺技を覚えようと思う」

防人「そうか」

レイナ「……お好きにどうぞ」

鎌瀬犬「……だが、どういうものが必殺技になるのだ？」

防人「普段の技をいつもより派手に使って、それらしい技名を叫べば必殺技になるだろ」

鎌瀬犬「……悪いがその技名が思いつかんのだ」

レイナ「……発想力の乏しい犬ですね、犬なら犬らしく『三回回ってワン』でいいじゃないですか」

その場で三回回り、

鎌瀬犬「……ワン」

鎌瀬犬「……これで満足か？」

百舌子「ボクは『１０１万匹ケンスケさん』がいいと思うな！」

鎌瀬犬「……俺は一人しかいないぞ」

防人「遠距離攻撃ならゼーレシュナイダーでいいんじゃないか？」

鎌瀬犬「……俺はクインシーでもないし、版権に関わるから危ない」

……やはり必殺技というものはそう簡単に出来上がる技ではないな。

鎌瀬犬「……だがこうしているうちに文字数制限まで近づけたぞ」

防人「今回はちょっと３０００文字に到達していないから、ランキングに残れるかどうか不安だがな」

レイナ「こんな内容のない文字の集合体なんてランキングに載っていても邪魔ですからね」

鎌瀬犬「……とにかく今回は更新ギリギリだ、ここらで強制終了させてもらう」

こんて('A`)