※一応、バックストーリーからの続きっぽい感じになっておりますので、先にそちらに目を通されると良いと思われます。
地味に長いですが。
　→ http://www.geocities.jp/depth_bluesea/lilico_story.html







　――何なのだ、ここは？
　少なくとも、拙が元居た場所とは遠く離れた地である事は間違い無い。
　なのだが、これは少し、否、大分、拙の知る世界の様相とは異なる様だ。
　ともすれば「遠く離れた地」どころの話ではないのではないか。そう、それこそ異なる世界に足を踏み入れてしまったのではないかと、そう思える程に。
　無論、拙の見聞など知れたものではあるが、かような場所があるとは聞いた事が無い。


　まず、今まさに拙の目の前を行く人々の姿の、その混沌とした様相。
　普通のヒトの様に見える者もあらば、拙と同じくエルフの様な「なり」をしている者も見える。しかし、本当にヒトであるのか、「異形」の類ではないのかと目を疑う者もある。
　着ているものもまた多様で、何かの祭りでもあるのかと思った程だ。中には、口にするのもはばかられる様な、何とも、その、拙にはとても言い表せぬ、奇怪な身なりの者もあった。

　古今東西、多種多様――と言っても足りぬ程――な人々が往来を行き来するその光景は、拙の想像を遥かに越えたものであり、訳も無く戦慄した。ああ、震えが止まらぬ。何とも情けないことだ。
　拙の視野が狭いだけであろうか。否、これは流石に拙でなくとも……

　ひとまず置こう。

　そして次に、世界共通であるはずの貨幣が、どれも使えぬ点だ。
　どんな辺境であれ使える筈だが、全く使い物にならぬとは。これでは旅支度を整えるどころか、宿を取る事も出来ぬ。

　しかし、その混沌とした光景はともあれ、なんと活気に溢れた街であることか。ふと、王都がまだ在った頃のことを思い出す。あまりがやがやと騒がしいのも好まぬが、拙が育ち愛した王都の賑わいというものは、何物にも換えがたいものであった。
　ごく近く、ともすれば昨日まで在ったものなのに、とても遠いものの様にも思えるのは、何の前触れも無く、あまりに唐突に失ってしまったからであろうか。






　夜。
　ひとまず訊いた話を纏めると、ここは「セルフォリーフ」という名の世界だと言う。やはり、拙が見知った世界とはまた違う場所の様だ。
　その他、今この地に起きている異変。そしてそれを解決せんが為、他の世界からの助力を仰ぎ、各所から多様な者たちが、この地に集まっている事。
　何とも信じ難い話ばかりではあるが、自身の状況を見れば、納得せざるを得まい。昼間見た街の様相も頷ける。

　ふと天倫剣を見やる。まさか、これのせいではあるまいか。転送門についてはよく知らぬが、あれの故障とはとても思えぬ。元より不可思議な代物ではあったが、もしかするとこれのせいで、この様な場所に来てしまったのかも知れぬ。
　王都を滅ぼした「異形」がこの地に居るかは判らぬが、元居た場所に戻る方法も知れぬ今、ひとまずこの世界を巡る他あるまい。
　ともかく今は眠っておこう。考えた所で、答えがある訳も無いのだから。

アオイ(1829)の声が届いた：
アオイ「何やらここは人が多いようじゃのう……」

破壊槍のリョウコ(1869)の声が届いた：
破壊槍のリョウコ「りんごかわいくなかったー」

ノエル(2055)の声が届いた：
ノエル「ちょっと物足りないかもしれないけど、付与と防具作成受け付けてるよ、伝言下さいな」

ダンミミ(2475)の声が届いた：
ダンミミ「ぎゃーおー」

きのこ(2738)の声が届いた：
きのこ「帰りたいよー！」

めぇ(1443)の声が届いた：
めぇ「りんごたべるー」