ENo.2874 茜

ﾃﾞﾝﾃﾞﾃﾞｯﾃﾞﾃﾞﾚﾃﾞﾝﾃﾞﾃﾞｯﾃﾞﾃﾞﾚﾃﾞﾝﾃﾞﾃﾞｯﾃﾞﾃﾞﾚﾃﾞﾝﾃﾞﾃﾞｯﾃﾞﾃﾞﾚ

「お？」

ﾍｴｰｴｴｰｴｴｴｰｴｰｴｴｰｳｰｳｫｰｵｵｵｫｰ…

「携帯か」

まぁ、鳴るとしたら俺の携帯しかあるまい。見た目はただの携帯だが、通常の機能に加え特殊な通信モードを備えており、次元の壁を越え遠く太陽系第三惑星より異世界の何処までも音声を送れる優れものである。

なお形はゴツい。某何とかファンタジー６のガーディアンみたいな重量感。俺、薄型とか嫌いなんだよね。コンパクトなのは好きだけど。

「何だっけ、その着信！情熱の何とか！」

この着メロに食い付くとは。ホント、くりおねは何者なんだろうか？

「熱情の律動だよ。はい、もしもし」

『ぜ・・ズ・い・・ギゴ・エベベベベ・・・』

太陽系は流石に遠かったか。

『ベバズ・・ぜんぱい・・ぎこえますかー？せんぱーい』

繋がった。流石、謎の技術。

「おう、聞こえる。聞こえるぞー。コッチの声はどうだー？どうぞー」

電話の向こうから『繋がったぞー。流石、謎の技術』とか歓声が聞こえる。何で発想が同じなんだよ。

『先輩、お久です。先輩が居ないと美味い紅茶が飲めなくて辛いです。早く帰ってきてください』

「てめぇ、俺の価値はお茶汲み程度かよ」

『実質用務員じゃないっすか。先輩すぐサボって欠席するから、庶務からすら降格させられんすよ』

このヤロウ、俺の欠席は本職の仕事の所為だっつーの。あまり大きな声で言えない事情を知ってての暴言。コレも知略か。

「…まぁいい。で、本題はなんよ？暇潰しって訳じゃねーんだろ？」

『いえ、暇潰しです』

「ナニィ！」

『と、ボスが言っております』

「あ、暇人来てんのか。そりゃ災難だな」

『ホントっすよー。しかも今、会長も一緒なんすよ。今にも部長の丸眼鏡がストレスで四角くなりそうっす』

うひょー、２トップがあんな事情持ちが隠れ蓑に使ってる小部門に出張って来たら、そりゃ神経の細い部長は昇天も已む無しだな。

画面の前の皆に説明しておこうか。

ボスってのは、まあ、本当の意味での俺達のボスだ。（皆、隠す気あんのか？）　俺は本名を知ってるが、きっと皆は知らないんだろうな。だから、ボスって呼ばれてる。ボスの私生活は謎に包まれている。家出中の女子高生よろしく、街中を毎日ブラブラしているようだ。それでも裏社会の大物であり、毎日遊び歩いているのに世界の一部はボスの意思で動いている。（勿論、俺はカラクリを知っているが）

なお、家出中の女子高生と称したが、見た目もそんな感じである。一番【らしくない】姿を取ってるらしいが。まぁ、ロリババアって言われても文句は言えまい。

次は会長。俺達の仮のボスだな。今の表の勤め先のグループ企業群のトップだ。ボスの『同志』と言った所か。ボスの影武者でもあり、例え本人が隣に居ても、全ての裏の仕事は会長を通して指示が有る。表社会でもかなりの地位と権力を持ち、悪知恵と先見性に溢れる企業家だ。裂けるようにデカイ口でニヤニヤした薄ら笑いを浮かべる色白の女で、しかし吊り目は鋭く、纏わりつくように擦り寄ってくる粘着系。あだ名は『白蛇』で、わざと名詞も白い蛇をあしらったデザインにしているとか。

…前から思ってるが。会長が傘下の小企業の閑散な部署に現れるのは、いくらなんでも怪しいと思うが。自重せい。

部長も折角だから。何故か、柳崇（やなぎたかし）って名前まで設定されてたりする優遇っぷり。役職は、映像技術部の部長。何をしてる所かって？さぁ、動画作成とか…　良いんだよ、みんな本職が別に有るから。頬のコケた中年の男だ。（男ってのもここじゃレアだよな）でも身体は結構ガッチリしてんだよな。脱ぐとスゴーイ。
丸いレンズの眼鏡がチャームポイント。目つきは会長よりキツイ尖りっぷりで中国マフィアにしか見えない悪人面。だが繊細な神経の持ち主で、何の前触れもなく現れるボスや会長に度々ビビらされストレスがマッハ。

もう許してやれよ、特に会長。

最後に。ってか、言う必要有るのか？

俺が先輩で、じゃあ後輩はと言うと、ヤツだ。哉岸真堵香。前作？の主人公みたいもんだ。いま、携帯の電話口で喋ってるソイツだ。
詳細は割愛するが、表の肩書きは映像技術部撮影課の課長だ。課長だと（ガタッ！）って所かもしれんが、実態は半世紀ぐらい前の平成の世に活躍したとされるタレント、有野みたいもんだからなぁ。

ま、筆者がネタに困ったら、その辺の話もここに書かれるかもよ？

他にも変なヤツらが数人居るが、それはまた別の話で。

『先輩、解説終りました？』

「おう、終ったよ。って、変な割り込み方すんなよ！どうしてお前が関わるとメタ発言っぽくなっちゃうのかなー、もう！」

『そうなんすよねー。偽島の時も、私はこん感じのキャラでしたからねー。で、ですね、メタ発言をもう一個許して欲しいんすけど…』

「おう、何だ。もう何でも良いよ」

『筆者が疲れてきたんで、今回の話はここで切り上げみたいですよ』

「おう、何となくそう思った。もう好きにしろよッ！」

次回更新に続かない。

続かないよ！いやマジで。

閲覧者の皆様、お許し下さい！