ENo.2955 鵬

　鵬がアイリーに初めて会ったのは四年前、「庭園」のロンドン本部の待合室でだった。
　その時鵬は「庭園」への入団手続きをしていたのだが、その待ち時間の長さに辟易していたところ
だった。
　人数自体はそう多くない。が、いかんせん一人の手続き――というか「儀式」が長い。全員纏めて
の入団式から引き続いて個別の「入団の儀」に入るものだから、途中で抜けて帰る訳にもいかず、待
合室でだらだらと時間を潰す他なかった。
　そして運悪く、鵬は一番最後だった。
　苛々しながら椅子に座り、鵬を含めて残り二人にまで減ったところで、不意に待合室のドアが開い
た。

「――失礼、アスター先生はいらっしゃいますか？」

　背の高い、若い男だった。癖の強い黒髪に、つり上がった切れ長の目。やや厚ぼったい瞼は眠たげ
にも胡散臭くも見える。身体も手足も恐ろしいほどに細長く、黒い上下を着ているせいで棒切れのよ
うだった。それなりにすっきりした顔立ちをしていたが、嫌に尖った鼻と顎のせいで酷薄な印象を受
けた（実際そうだったのだが）。
　『アスター』と言うのは確か、今回の入団の儀を取り仕切っている魔術師の「号」だった。

「アスター様は入団の儀を執り行っております、控えなさい」

　儀式の間に続く扉の前に立っていた儀式官が咎めたが、男は軽く肩を竦めて待合室に入ってきた。

「もうそんな時期でございましたか。しかしどうしても今日、先生にお見せしたいものがございまし
てね。先生はこの儀式さえ終われば、他にご予定はないそうじゃありませんか。――わたしも待たせ
ていただいても構いませんか？　大丈夫です、邪魔にならぬよう静かにしておりますから」

　一息にそれだけ喋って、男はにっこり笑った（何とも胡散臭い笑みだった）。儀式官がうんざりし
た顔で溜め息を吐くのが見えた。

「……私語は慎みなさい」
「承知致しました。ありがとうございます」

　わざとらしいぐらい恭しく頭を下げ、男は鵬の隣の席に腰を下ろした。
　ここで初めて、鵬は彼の顔を間近に見ることになった。思ったより若い。二十代に入ってから余り
間がなさそうだ。
　鵬は男の肩を軽く叩いた。そして、怪訝そうに振り向いた彼に囁いた。

「君、紙とペンはあるかい」

　目を細めた男に、更に続ける（視界の端で儀式官が睨んでいたが気にしなかった）。

「退屈で仕方なくてね。……私語は厳禁だそうだから、筆談でもどうだい？」

　鵬の囁きに、男は黙ったまま、唇の端を吊り上げた。
　胸ポケットから手帳とペンを取り出し、適当なページに何事か書き付けて、鵬に手渡した。

『お名前は？』

　それが、まだ『アイアンローズ』になる前の、アイリーとの出会いだった。

「うーん、この辺にはいないみたいだなぁ」

　多脚獣の背から辺りを見回しながら、鵬はぽつりと呟いた。
　辺りは一面砂地で、どこを見ても荒れ果てている。遠くには海が見えるが、「海」と言われて思い
浮かぶ色からはほど遠い鈍色に濁っていた。

「やはり次の街まで出てみなければ分からないね。情報が集められれば良いんだけど」
「随分と宛てのねえ事言いやがる」

　多脚獣の隣に座っていた錆が、呆れ半分不機嫌半分の声で言った（彼が苛ついているのはいつもの
事なので、鵬は特に気にしない事にした）。

「出て来たとこだって無茶苦茶だったろうが。次の街とやらもたかが知れてるぜ」
「まぁ、それも一理あるけれど。この辺の荒れ地よりマシだろうさ。彼も、ここに居るとしたら街を
目指すと思うし」

　彼、と言う鵬の言葉に、錆がにやりと笑った。

「何だ、お前の男か」
「……うーん、違うかな？　一応彼とも遊んでいるけどねえ」

　わざと軽い声を出して、何ともないような様子で大袈裟に肩を竦めてみせる。

「とりあえず気は合っているよ。同僚と言うよりは悪友と言った方が近いかもしれないね」
「けっ、お前と気が合うってんなら、そいつもろくな野郎じゃねえな」

　鵬は顔だけは笑いながら内心で、僕は君とも気が合うと思ってるんだけどね、と呟いた。

　そう、アイリーとは本当に気が合った。
　合いすぎてしまった、と言った方が、良いかもしれないが。

うなー(524)

錆(2948)

錆と鵬

ENo.2948
錆

ENo.2955
鵬

V S

Encounter!!

大海猫

アルファルド(2686)の声が届いた：

アルファルド「魔石欲しいという方がいればすみかまで」

快盗紅マグロ(2810)の声が届いた：
快盗紅マグロ「…あの場所を捨てたのは早計かもしれねーな」
銀クジラ「何があるかわからないから楽しいんでしょうが」

キャロル(2884)の声が届いた：
キャロル「キャハハッ♪」

エンジェ(2892)の声が届いた：
エンジェ「もうちょっとで町だー……！」

へどろちゃん(3020)の声が届いた：
へどろちゃん「安○先生・・・防具12がほしいです・・・」

ニヴルネイル(103)の声が届いた：
ニヴルネイル「次回全力で走るとはいえ…ボケはどうでもいいとしてラミアはついてこれるかしらねぇ…？」

アイちゃん(113)の声が届いた：
アイちゃん「付加付加（ふかふか）な依頼を待ってます♪」

デイジー(250)の声が届いた：
デイジー「木漏れ日さんにて装飾、料理承っておりますー。よろしくです♪」

渦篭(366)の声が届いた：
渦篭「防具作製ーはー、すみかーでー、やってますー」

源蔵(481)の声が届いた：
源蔵「こおおおおお！」

エペ(693)の声が届いた：
エペ「鉄がたべれたーーーー！」

アイリス(737)の声が届いた：
アイリス「武器作成シマス。
今回ハ　木漏れ日ノ記事ヲ　覗イテミテクダサイ。オ手数オカケシテ　スミマセン」

かおりん(754)の声が届いた：
かおりん「わっっきゃーーーー≧ワ≦」

アセリナ(758)の声が届いた：
アセリナ「街は・・・遠いですわね。」

アルマ(863)の声が届いた：
アルマ「疲れちゃった」
アメル「疲れちゃったのよ」

ソーメン(1005)の声が届いた：
ソーメン「＼ソーメン☆最高！／」

クロウ(1312)の声が届いた：
クロウ「ﾊｧﾊｧ！そろそろくたばりそうじゃぞ、わし！なんつー世界じゃ！ｿﾞｸｿﾞｸするわ！」

オル爺(1373)の声が届いた：
どこか懐かしいゲームの戦闘曲のような音楽が聞こえる

レス(1630)の声が届いた：
レス「武器作成を請け負っています。詳しくは木漏れ日までどうぞ」

ラミー(1687)の声が届いた：
ラミー「ねむねむ状態で、気が付いたら寝すぎておった・・・！」

小石ちゃん(1753)の声が届いた：
小石ちゃん「同行者絶賛募集中！同行しても良いってヒトは、伝言よろしくなんですー」

サーモン(1840)の声が届いた：
サーモン「先を急がず、一休み」

三駄無(2062)の声が届いた：
黄駄無「合成依頼受け付けるむー∈(・ω・)∋」

ユピィ(2178)の声が届いた：
ユピィ「適当に歩いていたら随分遠いところまで来ちゃったみたいだ。
せっかくの毛並みがボロボロだよ…今日はゆっくり休憩休憩、っとね」

シマッタ(2253)の声が届いた：
シマッタ「しまった…！登山マナー忘れてたっ！？」

錆と鵬

ENo.2948
錆

ENo.2955
鵬

V S

Encounter!!

キラーオクトパス

異世界の魔術結社「庭園」の構成員。
刺激を求め、同僚をそそのかしてセルフォリーフに連れて来てもらった。
……はずだったが、何故か彼女だけアンジニティに飛ばされてしまう。
結果的に同僚ともはぐれたため、どうしたものか思案中。

フリルやレース、リボンを多用した服装を好むが、
口調は男性的。一人称は「僕」。
常にのらりくらりとした態度をしており、性格や真意が掴みづらい。
目的のために手段を選ばないタイプではある。

職業は所謂「魔女」。
彼女の場合は特に召喚術に長けている。
自分は影に隠れ、使い魔を操って遊ぶのが基本。

基本的に、足が何本もある巨大な獣に乗って移動する。ぐーたら。