ENo.666 魔王

【魔王の手記】

XX月某日

　随分と殺意の高いタコが来たので返り討ちにするのが面倒そうじゃ。

　と言うか、ワシら別に危害も加えておらんのに連中が寄ってくるのは何なのか。

　エリエスヴィエラの奴め、もしやワシを亡き者にしようと私兵を送り込んでいるのではあるまいな。

　……そう言えば魔女から贈られたハロウィンの品じゃが、特に毒が入っておったりはせんかったようじゃ。

　何も言わんのもなんじゃし、顔見せぐらい行っておくかのぉ。

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第六話『魔王、ダレる。』

「あー、日記とか二日も間を空けると書くのがだるいのぉ。」

『と言うか魔王様、日記なんて付けておられたんですな。』

「うむ。流石にこう長寿だと昔の事なぞいちいち覚えておられんからな。」

『……編纂課が出来た理由がわかった気がしますぞ。』

「……高給な理由もまぁその辺が理由じゃのぉ。」

閑話休題。

「しかし街に来たはいいが通り過ぎるだけとは。あの二人は何であのように勇み足でやっていられるのか。」

『何を仰りますか。魔王様とて現役バリバリの魔王ではありませんか！』

「勇み足なのは勇者だけで十分じゃ。
　あー、浮遊魔法すら面倒くさいのぉ。魔法のじゅうたんでもどこかに落ちておらんかのぉ。」

『だめだこの魔王はやくなんとかしないと。』

「ん、そうじゃ。そう言えばエリエスヴィエラの婆とはいつ別れたんじゃったか？」

『ああ……いつでしたかな。』

「まぁ、あやつの事はどうでも良いか。MSPも増やしてくれぬケチな婆の事など。」

『MPS0にされても知りませんぞ。』

「それは既に言われた。お主もうかうかしとると魔王軍の連中に左遷されるから用心せぇよ。」

『むむ、それはなんとも危険な香りのするご忠告ですな！
　ところで、ワタクシについての説明は何時されるのでありましょう？』

「たぶん、ツァラの奴でないとバレたから次の回ではないのか。」

『なるほど！いつまでナナシの侭なのかとワタクシ寝小便すら忘れる始末でしたから安心致しましたぞ！』

「ワシは軍内の面子がこれでよいのかと夜も眠れんわ。」

次回第七話『魔王、紹介する。』

続く！

「いつから『』で喋る従者がツァラの奴だと錯覚していた？」