一日かけて情報を集めてみた。
見た目のせいで舐めたこと言うやつには金槌の一撃をプレゼントする。
どうやら、ちょっと前までは出れなかったこの世界は、今は出れるようになったとかなんとか。世界とか、異世界だとか、あんまり信じたくないことを聞く破目になったよ…。ほんとに帰れるのかなぁ〜?
でも、異世界だということで気になることも出来たね!
そうそれは…、
未知の鉱石! あぁ!気になるね!武器とかに向いてるのあるかなぁ〜?
サエラ「待っててね!私の鉱石――!」
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と、北の方に向かってみたはいいものの……。
サエラ「迷った…。間違いなく迷ったよ、これ…」
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そう、一つ目の山を越えた先の森で迷ってしまったのである。
幸い、食料はそこそこ持って来たからいいけど…。
サエラ「誰か見つけないと…」
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ここの森には凶悪な奴がいるらしいし…。
ん?あそこにいるのは……人だ!
サエラ「お〜〜い! そこの人〜〜!! 」
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と、手をふりながら声をかける。………手を振らないと気付いてもらえなそうな背丈で悪かったな!
???「むう、何奴じゃ?」
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あ、気付いてもらえたみたい。ちょっと不機嫌そう? あ、こんな所だし、警戒されてるのかな?
あと、自分は偉いって感じの空気を感じるなぁ〜。
サエラ「あ〜、ただの迷子なんだけどね。ここに入ってから、同じところぐるぐるしてる感じになっちゃって…」
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この歳で迷子とか落ち込む…。
サエラ「人に会えてちょっと安心したんだけど…、あなたも次の街を目指してる口の人?」
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目的が同じなら同行して森を抜けれるといいんだけど…。
???「何じゃ迷い子か。見ればまだ年端もいかぬ幼子のようじゃ」
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あ、なんだ。やっぱり警戒してただけなんだ。うわぁ〜!正面から見ると綺麗な人だなぁ〜!って 頭撫でられた!?しかも幼子って! まぁ、うちの一族は他から見るとそうにしか見えないけどね…。
???「次の街と言うたか、ふむ。我はただ猛者と食事を求めて歩いておっただけじゃが……? それにしても、愛い子じゃ」
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おおぉお!? 完璧に子ども扱いですか! なんだか髪を撫でるのが上手いっていうか気持ちいい……、なんか…眼が……妖し………。
サエラ「う〜、そんなに幼い子みたいに扱われる年でも…ないん…だ、けど……」
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眼に…吸い込まれそうな……
???「…………」
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???『主、おい主?』
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なんだかぬいぐるみが動いてる気がするが……、目が追ったのは離れる手で…。
サエラ「…………あ…」
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ルー「失礼失礼。そうじゃな、まずは自己紹介というこうかの。我はルージュ・エル=セルヴァンという名の……まぁ、ちょっとした吸血鬼というやつじゃ。御主は何というのかや?」」
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えっと……何してたっけ? 名前…?
サエラ「……あ!えっと、わたしはミリサエラ・エダフォズリ。ドワーフって周りからは呼ばれる一族の者です。呼びにくかったらサエラで構いません」
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うわ!? わたし何してるんだよ!? 綺麗な人だからって見ながら惚けるなんて!?うわ!うわーー!?
ぬいぐるみに話しかけてる…? 吸血鬼だって言ってたっけ。なら、使い魔か眷属の可能性もあるかな?
ルー「ふむ。ミリサエラ・エダフォズリ……サエラか。記憶したのじゃ」
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頷きを返され、
ルー「さて、サエラとやら。次の街を目指していると言うておったが――このアンジニティで一人旅は危険じゃ。我としても同行者が欲しいと思っておったところじゃ。旅は道連れ。せっかくじゃから、我と同行するというのはどうかや?」
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再び腕組みしつつ、そう言うルージュさんの顔を見つめていたわたしは、その眼が妖しく煌めいた気がした…。
サエラ「わたしも心細く思っていたところだったので、そう言ってもらえるなら拒否する理由はないですよ!」
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やった!こんな場所でもいい人はいるんだなぁ〜。一人で行けるかわからなかったけど、二人なら次の街に行けるよね!
ルー「うむ。やはり御主は愛い奴じゃな……」
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そういって綺麗に微笑むルージュさんと笑いあうことができた。
こっちの世界に来てからほんとに笑顔になったのは初めてかもしれない。鉱石に期待を寄せたのも現実逃避だったような気もするし…。
ルージュさんが目を瞑り、ふむ、と頷くと。
不意に、
ゾクリっと、背筋を悪寒が走り抜ける!!
ルージュさんは、そのまま唇に当てていた指を怖気のある方へと突き出すと、炎を生み出し、
ルー「覗き見とは頂けないのう。敵に悟られぬ様に――殺す気で接近するのであれば、まずは己の殺意を殺しておくべきじゃったな」
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放ったその魔法の先に対して告げる。
敵!? でも、負けれない!自分の居た世界に戻るんだから!!
ルー「さて、と。我も未だ力が出なんだが……サエラよ、“我と御主の”初陣じゃ。気合い入れていかねばの!」
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サエラ「こんなところで負けるわけにはいかないですもんね!」
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ルー「うむ!まぁやれるだけやってみるかの!」
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ルージュさんの視線に行けるという意思を返す。そう、ここで勝たなければ!