ENo.170 シャーク・ド・深浮渦

［前回の New！］

闘技大会待機なう
久しぶりの更新だったねー！
チキレーサーはどれだけいたのかな！
とかいう私も第一締め切り時はヤバかった
暴走族も蜥蜴も倒してめのうが美味い
ドロップはなかったけどな！
上位ぞくぞく良いな！水霊Motto！
召喚Motto！料理Motto！上位Motto！
暗黒おこげがあるなら、暗黒卵焼き…

強行突破は逮捕の香り

「こんかいの、サブタイトルだけどさ」

海ブドウをすすりながら、鮫が喋ります。
ぞるぞると、つぶらな緑の紐を器用に口の中へ誘うのです。
ぷちぷちの歯ごたえは音を立て、言葉をさえぎったりもします。

「もってけドロボー*ぷちぷち*は、さすが*ぷちずる*にマイナー？」
「スーファミ時代のソフトですが、ちとダメかもしれやせんね」

とびっこ丼を食べるうにですが、上あごに張り付いた魚卵を取るのに必死でした。
舌でレロレロするのです。口を開けてはお行儀が悪いので、閉じてから、もごもごモズモズ。
おしょうゆ漬けが美味しいとびっこですが、プリン体を考えてはアウトです。
しかし、朱色をぶちまけたと言わんばかりに敷き詰められた、とびっこ丼。
半分も食べたら、飽きてしまいそうです。

「けっこうスキなんだけどなー、アレ。
ほかのヤツがぬすんだタカラを、チビモナムールでうばうとか。
バトルでよこどりするとか。バナナのカワとか」
「ボンバーマンや桃鉄よりは、リアルファイト率も低くなってンでっけど」
「ピヨコのかみさま、いきますなのだー！
さめた、ゴーストタウンのマップすきだわー。かいていもスキだわー」
「ピヨコといやぁ、後半のにわとりはウザいだけの金の卵製造鳥に…。
最初は小金稼ぎになるんですがねェ」
「まいかいウムからなー。おたからあると、たまごステるさぎょーがジャマでなー」
「タクシーで連続ピン引きは怒りすら」
「そのあいだにロックオンくらうわけね」
「むしろバズーカで逮捕が」

伝わるかどうか分からない会話です。
二匹はそこまで話すと、ドンブリを抱えてかっ込み始めました。
チャカチャカ、ずるずる、ハムッはふはふ。

「ぷはー」

おつゆもキレイに飲み干した鮫ですが、うにが食べているドンブリを見て、
ティコーンときました。電波がビビビの鮫汰です。
さっそく、電波に身を委ねて作業を開始してしまいます。

そして、ほんの数分後。

「うにホラ、おかわりあげる」
「え、ああ、どうも」

デンとドンブリを差し出されたうには、そっとフタを開けてみました。

そこには、色合いにぎやかな魚卵がところ狭しとのっけられています。
黄色い数の子、朱色のとびっこ、少しオレンジがかったイクラ、真っ赤な明太子。
珍味とされる、湯通しされたタコの卵、イカの卵。両方ともプリプリです。
さらに無添加タラコ、柔らかな刻み海綿、何故かアリの卵。
アクセントのキャビアが、ドンブリを黒でキリリと引き締めています。
それをブチ壊すのが、ジャンボタニシの魚塊です。ドカンと真ん中にあります。
海綿とアリの卵とジャンボタニシさえいなければ、素直に頂けそうな丼です。

そのドンブリに付属するのが、デザートです。
可愛い丸めの器に、ジャンボタニシの卵･カエルの卵がシロップ漬けでズドンです。
毒々しいピンクと透明な寒天質に染み込んだ黄色いシロップで、もはや視界の暴力。
オタマジャクシになるはずだった存在が、ただの暴力に哀を含ませてなんかヤバげです。
スッと添えられたアップルミントの葉が、にくい爽やかさを演出します。

ついでに言いますと、みそ汁とタクアン付きです。
ご飯とみそ汁のお代わりは無限なのです。

「…えっ」
「つぶつぶいっぱいでウレシイでしょ？」
「アリの卵は食べる地域がありやすが、ジャンボタニシは…。
しかし、ちょっと懐かしい外来生物もってきやしたね」
「いろがキレイだからな。さあ、たべろ」

うには、話を反らす事に失敗しました。
ごまかす進行方向を、間違えてしまったのです。
お陰で、邪悪にカラフルなプリン体ドンブリセットを、確実にどうにかしなければなりません。

「あ、ワサビとマヨネーズをたしてあげようか！
なんならアンチョビもサービスするぞ。あと、がんえんにノリまいたのとか」

塩分地獄も待ち受けていました。
岩塩に海苔を巻いた物なんて、たとえ味わい深くとも、こぶしサイズでは目を反らしたくなります。
うには(･皿･;)という顔のまま、冷や汗と共に固まってしまいました。
いつだったか、ジャンボタニシが流行った頃に聞いた事があるのです。

ジャンボタニシの卵は、毒が含まれている…と。

ウソか本当か、うにでは判断しかねるところですが、万が一を起こしてもナニです。
死にはしないのでしょうが、体験してみたいリストからは除外されてました。
ああ、ほんの数分だったのに、すでに数時間経っているような錯覚が、うにを襲います。

しかし、鮫はオメメをきらきらさせていました。
ワザとらしいを通りこした、狙ってる系の動物画像にも似ているきらきらです。

「たべないの？」
(喰わなきゃ…殺す気だ！)

まさに魔人探偵。
言葉とは反対の行動を織り交ぜる事により、なんだか脅されている気分に。
実際、脅し以外の何物でもないのですけれど…。
だって、鮫のヒレには10tとかかれた麺棒があるのですから。
ゴシカァンされてしまいそうです。クワッ。

「い…いったらぁー！！」

おぉっと、うに君かっこんだー！！
つぶつぶプチプチの不健康カマタリーが、大きな口へザカザカ滑り込みます。
しかし、不思議な事に、うにの箸は止まりません。
考えていたより、プリン体軍団が美味しかったのでしょう。

…ジャンボタニシが全てを邪魔しなければ。

「ありげーたぁー！！」

うにはたおれた！
うにのめのまえがまっくらに…

「おきろ！まだのこってるだろーが！」

ならせてくれませんでした。
鮫はＢボタン連打のように、うにの鼻をピパピプ押しまくります。
無駄に目が覚める鼻プッシュのフィニッシュ技は、アゴにパチキでした。
コンクリートをバールのような物で潰した時のような、鈍い音が炸裂です。
うにはアゴを抱えてのたうちまわりまりわ…まわります。

「ガゴッて、ガゴッて言ったれるぅ…！」
「たかがアゴの、ひとつやふたつ！オマエはホントーに、なさけないな！」

正常な反応さえも、めっちょり叩き折るのが鮫です。
盛大にため息をついて、ヤレヤレとかぶりをひゅん振るのです。
ここまで理不尽な20\x87aがあったでしょうか。

「ほら、ギャグほせいで、アゴなんか、なおってるんだから！くえ！」
「う、うう…っ」
「ヒレがスベッて、ヤドクカエルがはいってもいいのかコラー！」
「それ本当にダメなヤツじゃねーですかい？！」
「オマエがダメでも、さめたはアリなの！それはあなたのおじさんですか？」

いいえ、時にはマーサです。
おばさんは、緑の屋根の家のアントンに似ています。

(…って、虫カゴにヤドクカエルがスタンバイされちまってンぞ？！)

種類によっては、皮膚がただれてしまう程度の毒を持ったカエルです。
鮫がどこでカエルを手に入れたかは謎ですが、アンジニティだから仕方ないのです。
うにはヤドクカエルINはシャレにならないと、再度ドンブリをかっこみました。
しかし、何かの配分を間違えてしまったようです。
最後の一口として残った○○の卵は、ジャンボタニシでした。
いけませんねー、これはいけませんよー。

「なんで、さきにタラコたべちゃったの？」

飛び出す鮫の疑問が、うにへ追いオリーブな追撃を仕掛けます。
うにはヤッチマッタ感に白目が一回転して、瞳に異世界が映りこんでいました。
アンギャアぱーおぱーおチチチチチぎゃっぎゃっぎゃっ、という密林効果音が聞こえます。

「えいっ」

鮫は清水の舞台から帰る程度に思い切って、ワサビをドンブリへ入れました。
最後の一口を、ズッポリと包み込む程度の量です。
脳天直撃セガサ○ーンです。

「ハナつまんでたべればいいよ！」

ジャンボタニシ単体だったほうが、数倍マシだったのは確かです。

「罰ゲームってレベルじゃ…！」
「いっき！いっき！」

アルコールの一気は危険を伴いますが、ジャンボタニシの一気はいかがなものでしょう。
大きい卵塊なので、ノドに詰まれば大惨事になります。
ですが、それは人間を例に考えたらの話。

「い、逝ったらぁぁあー！」

ずびずばーと涙を流す4\x87bのワニには、あまり関係無いみたいです。
ピンクから緑色にフォームチェンジしたジャンボタニシの卵を、一飲みにしました。
途端に、うにの顔色も青ザメていきます。

「うぶぶぶぶ…ぶぺぁっ！」

脳天にワサビがズッキュン届きすぎて、うには気絶してしまったみたいです。
白目で涙を流しながら、半開きの口に泡がアワワと噴き出しました。
時折、手がワナワナと震えているように見えます。見間違いではなさそうです。
もはやワサビが悪いのか、ジャンボタニシが悪いのか理解できません。
どちらかが悪い！とは言えないのかもしれませんが…。

「おしいニクをなくした…」

ワニ扱いすらされません。
鮫はドンブリや箸をまとめて、自動食器洗浄機へブチこみました。
さらに、洗浄機のコンセントをくわえます。鮫が発電します。
ブブブブブとバイブレーションな音が鮫から響くのです。

(ぎょらんドン、かいりょーのよちアリ、だな…！)