ENo.915 クーラ・フローレンス

Act.01 出会い

……ある日の夜、野営中。

クーラ「……野営にも慣れたわね」

「貴方が野営に慣れてしまうとは、夢にも思いませんでしたが……」

「あたしはいっつもこういう生活だったからなれっこだよ！」

「俺も、弟と一緒に居た時はいつも森の中で木の実をかじってたな……」

「……共食いって言いません？それ」

慣れって感じじゃないんだけどね…
一人だと絶対途中でくじけちゃうし

「そーいえば、クーラちゃんと司さんってどこでしりあったのかな？」

クーラ「……？何でいきなりそういうことを聞くのよ」

ちょっと驚いた　いきなり聞かれたもんだから

「んー、なんとなくきになったからー」

「……まあ、今更隠す理由もありませんね。言ってしまいますか」

司が話すらしい…私に拒否権はないっぽいけど…まぁいつかは聞かれることだったし…いっか
ついでに私も思い出しておこう…私と司の出会いを…

……………

確か…そう、病院だったっけ
私は生まれつき体が弱くて…ずっと入退院を繰り返してた

当然、外の世界を旅することもできず、窓からの景色を見るだけ
退屈だったわ…本当に

そんなある日、先生からこんな話を聞いたの
『この病院に旅人が入院してくるらしい』

その人なら私の退屈をしのいでくれるかもしれない
幸いだったのかどうだったのかは分からないけど、その旅人さんは私と同じ病室に入ることになったの

クーラ「……貴女が先生の言ってた旅人さん?」

「……えぇ、そうですが……貴女は?」

クーラ「……相手に名前を聞くときは自分から言うものなんでしょ?」

今思えば、話しかけたのは私なんだけどね

「……そうですね。私は天翔司というものです。」

クーラ「……私はクーラ、クーラ・フローレンス」

そう…これが…私と司の初めての会話

クーラ「ねえ、司は旅人なんでしょ?今までの旅の話してくれない?」

「ええ、もしかしたらつまらないかもしれませんが……」

彼女が口から出てくる話は私にとってはすべてが新鮮で…
何時間聞いても飽きなかった

司の病状は軽くてすぐ退院しちゃったんだけど、それからもたまに私の病室を訪れてはいろんな話をしてくれたわ

そして私もいつしか退院するその日がやってきたの
そこで私の人生を変える話を聞いた

クーラ「万病に効く薬……?」

「ええ、あくまで噂ですが……」

クーラ「……じゃあ私も司の旅に連れてって」

万病に効く薬…
私の病気は先生によると10万人に1人がかかるような難病で、いまだに治療法はないらしい
まぁ…そのおかげで私は水霊を使えるんだけど

…そして私のお母さんも…同じ病気にかかっている
しかも私より病状が重くて、起き上がることもできない状態
その薬があったら…またあのころのように…お母さんにぎゅっとだきしめてもらえるかも知れない…

私でもびっくりするような即決だった
司は明らかに断る気だったんだけどね…

その時だっけ…ジェミニちゃんと出会ったのは
…………

「……そーだったんだー……」

「依頼が来た時、今しか無い！と思ったのです。この機会を逃すと、永遠に復讐が出来なくなってしまうと思うと……」

クーラ「復讐……ということは、何かあったのかしら？」

そういえば、このこと聞いてなかったかも…

「おいおいお嬢ちゃん、こういう事は聞かないお約束だ。……時期が来たら、彼女から話してくれるさ」

「……申し訳、ありません」

やっぱり無理か…そうよね
私もお母さんのことみんなに話してないように、貴方も話せないことはあるんだもの

「いいってことよ。それよりも、依頼のことに集中しようぜ。恐らくは明日、目撃証言のあった所に着くだろ」

「そうですね。明日は討伐対象との戦闘です。くれぐれも油断されることのないよう」

クーラ「分かってるわ」

「りょーかいっ！」

こうやって、私たちはまた眠りについたわ
…この旅を続けていれば…いつかお母さんとまた遊べるように…
私は負けるわけにはいかない…

SP.Thanks
天翔司(ENo.1100)
ジェミニ=スターリィナイト(ENo.938)

To be Continued...