赤髪のオールバックの様で髪をツンツンさせ蒼い瞳で長身の青年。
一見、18歳ぐらいに見える好青年だが、実態は何百年単位で生きている龍人という種。
現代日本と変わらぬ世界で平穏に暮らしてはや100年。
姉と慕える人物ができた、弟分妹分もできた。

とある日のこと、姉が急に消えたのだ。
「ちょっと私の従者になりえる人物を探してくるわ―――」
そんな書置きが残されたまま。

自分たちの種族は皆違うが、全員の寿命的にはたかが10年20年はあっという間。
放っておいても問題は無い、直ぐに戻って来る。
そうタカをくくり”直ぐに帰って来るから良いだろう、さて、少しは寂しくなるな―――”そんな風に思っていたとき、追加の書置きを発見したのだ。
”私が帰ってきたときに私の花が少しでも欠けていたら分かってるわよね？”
なんて言う、恐怖の書置きを。
姉は花が大好きだ、自身も好きであり、愛でるものと理解している。だが、だがだ。姉のように花に対する知識があるわけでもなく、世話ができるわけでもない。
1年2年ならだましだまし何とかなるだろう、だが帰ってくる年月が分からなければ――？
そして重大なことに、姉は一番強い、エグイ、弄られるのは回避できるなら回避したい。

………こうして、彼は旅にでた。姉を探す旅に。家の事は弟と妹達に任せて。

そしてたどり着いた場所はセルフォリーフ。さて、ここで探すかなと思いきや身体が不自然なほど重い………。
いつもの力が出てこない、試しに炎を出したら燃やしつくすどころがぷすんと煙が出るだけ。そこらへんの木を殴ったら逆に手をいためてしまった。

彼は姉を見つけ出せるのだろうか、いや、ソレよりも生き残ることはできるのだろうか。
それは誰にも分からない………。