ENo.2831 ひなた　＆　ひかげ

前代未聞の大失態！！
日記の上にプロフ文上書きするとかどこのバカかと。
それも修正前の恥ずかしいプロフはプロフ欄にしっかり残ってるしっ。
まったくもう…穴があったら目撃者放り込んでコンクリ流し込んで埋めたい気分です。

というわけで１６日分日記の続きになります。
読まれる方は是非１７日分プロフ欄の内容はきれいさっぱり記憶から消していただけることを心よりお願いしたりします。

　　うおおおおおおおおりゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁっっっっ！！！！！

これ以上はないってぐらい全力の拳が相手の体をつらぬ……………かず空を切った。
その相手はというと、あたしから十分すぎるくらいのきょりを取って余裕の表情を浮かべている。
に違いない。
違いないっつーのは暗くて顔が見えないんじゃなくて。
そもそもあいつに表情があるのかどうかも怪しい。
てか熊の表情なんてあたし知らないわよっ。
けどきっと今のあいつはあたしのぶざまな姿を見て鼻歌でも歌っているに違いないったら違いないのよぜったいね。
許せん。
で相対するのは見事なくり色毛並みの熊。
生意気にも二本の足で立って腕まで組んでやがる。
一方あたしはといえば。
なんとなくだらしなく伸びた丸太のような腕。
素材はフエルトかなんかか。
それのつながる胴もまさにずんどうそのもの。
頭はボールを半分に切ったような形。
そこにボタンで作ったもうしわけていどの鼻と目。
しまりのない顔。
そう。
あたしは今、くまの着ぐるみになっていた。
着ぐるみは着るものだろうって？
そりゃそうよ。
だけど、なっちゃったもんはしょうがないじゃない。
あたしだって泣きたいわよ。
何が悲しくてこんなかっこ悪い姿で人前に出なきゃいけないの？
もう…およめにいけないわっ！！

と、一瞬でここまで考えて。
速やかに身をかがめてからのタックルをかます。
さすがにすきを突かれたのか熊はこれをかわすことができず。
あたしの両腕は熊の体をがっちりととらえた。
そこから一気に持ち上げ---------------あれ？

　　ひーちゃん危ないっ。

　　しまっ…

『た』を言う間もなく逆にあたしの体が宙に浮く。
そして。
頭からかれいな着地を決めた。
はいうそですごめんなさい。
頭から地面にたたきつけられた。
残念なのかよかったのかはわかんないけど、本来くるはずのしょうげきやら痛みやらはほとんどない。
この地面のせいなのか。
それとも、この体のせいなのか。

なんでこんなことに。

　　あはは、残念だったねー、ひーちゃん。

　　笑うなばかひなたっ！！！

本当に…なんでこんなことに。

というわけで物語はいまだ１２日目。
世間ではすっかり１８日になろうとしているのに。
あっという間にゴールデンウィークも終わり。
そうそう、そんなことより
今更ながらではあるが。
忘れちゃいけないあたしの誕生日。
聞いておどろけ４月２７日。
かわいいひかげちゃんへのプレゼントはぜっさん受付中よ。
え？双子なんだからひなたもだって？
残念なことにひなたの誕生日は４月２６日。
つまりこのあたしより１日も早いのよっ？
こんなことが許されると思う？
ねえ？ほんと信じられないわ。
……おほん。
あたしのぐちで紙面、いや画面を汚しまくるのもアレなので、今日はこのくらいでかんべんしといてあげるわ。

今日の相手は少女人形とマンモス。
相変わらずふざけた組み合わせよねまったく。
とはいえすでに日々成長を続けたあたしたちの敵ではない。

マンモスの巨体が地面に崩れ落ちた。

「ぃえーっ！勝ったぜーっ！」

「また一歩、頂に近づいた」

「…ふ、戦いとはいつもむなしいものだな。」

「やったねひーちゃん。」

「あったりまえでしょっ、こんな恥ずかしいことさせて負けたらしょうちしないわ。」

思い思いの言葉と共に勝利を実感する。
けどその時、あたしはなんともいえないいわ感というやつを感じいてたの。
…おかしい。
…こんなはずじゃない。
単なる気のせいかもしれないけどね。

その日の野営地に移動を済ませ、あたしは日課である走り込みをする。
汗と一緒にいろいろないやなことが流せる。
明日もまたがんばろうって思える。
だから。
へとへとになるまで走るのが好きだ。
たっぷりと時間をかけ汗だくになったあたしはこかげに寝転んだ。
夕日が草原を赤く染めていいる。
こんな所でも夕日はきれいなもんね。
春にはまだ遠く、風は冷たい。
とはいえあと数日で春が来るだろう。
あまりにも季節のうつりかわりが早い。
とまあそんな柄にもないことを思ってたりすると。
やっぱり思いだしてしまった。
あの、いわ感。
なんなのアレ…。

「ひーちゃん、お疲れ。」

「おわっ、な、なによひなたっ！？」

いきなり声を掛けられて変な声が出っちゃったじゃないのどうしてくれるのよ。

「いやー、今日はかっこよかったよねー。」

「はぁっ？なんのことよ。」

「くまさんだー。変身ヒーローってやっぱりていいよね。」

「な、なにが変身ヒーローよ。ただのぶっさいくな着ぐるみじゃないのっ。それもなにが悲しくて着ぐるみにならなきゃいけないのよ。
着ぐるみは着るものよなるものじゃないわっ。それもあれってババ…あいつの着てたやつじゃないのっ。」

「あはは、ひーちゃんらしいね。うん、お母さんの着てたのを再現してみたんだ。本物の着ぐるみはもうなくなっちゃったからね。」

そう、あたしたちのババ…オカアサマは昔着ぐるみ役者とかいうものだったらしい。
それもあのぶっさいくな着ぐるみ。
名前はサダヲ。
だっさい名前よね、ある意味ぴったね。
聞いた話ではそこそこの人気番組だったらしいけどそんなの知らないわ。
で、今はもう引退。
着ぐるみ役者をやめてレポーターだかなんだかしらないけど世界中旅してるらしい。
ほんと、どうでもいい話だわ。

なんでこんなことに。

「そうだひなた。」

「なに？ひーちゃん。」

「確認したいんだけど、あたしたち変身して本当に強くなったの？」

感じたいわ感。
思い切って聞いてみることにした。

「うーん…強くなったけど…。」

「けど？」

「強くなってない…かな？」

「どっちよっ！？」

「あはは、そうだねー能力値は上がっけどそれを使いこなせてないってことかな。」

「どういうことよ？」

「えっとねぇ、具体的に言うとリーチが極端に違うせいで打点がずれてる。間合いも正確じゃないよね。」

ああ…そういうことか。
あたしは納得した。
あたしは小学５年１１歳としてはほぼ平均の身長と体重。
それがいきなり２ｍに伸びたのだから。
打点がずれたら有効な打撃を与えられない。
正しい間合いが取れなくちゃどんなにすばやくても攻撃をよけられない。

「それって…どうすればいいのよ。」

「ひーちゃん大好きでしょ？」

「なにがよ？」

「もちろん、特訓。稽古付けてもらおうね。」

「………誰によ？」

聞いてはみたものの正直悪い予感しかしなかった。
で。
悪い予感ってのは当たるものよね。

そして冒頭に戻る。

見事な頭一点倒立の姿勢から首だけでジャンプ、そして一回転。
何事もなかったかのように直立するあたし。

　　おおー、きようなもんだな嬢ちゃん。

　　うっさいわね。今度こそ覚悟なさいっ、うおりゃっ！！

あたしは一気に間合いを詰めた。
ちっくしょう。なにがなんでもこの熊倒してあげるわ。
すでに当初の目的が変わってる気がするけど気のせい。
怒りはあたしの原動力。
ここはあたしだけの空間。
ならば、あたしが勝てないなんてじょうだんは勘弁してほしい。
てか許さないんだから絶対。

　　あ、ひーちゃん右。
　　
　　とっ、わかってるわよっととっぎゃっ！！

見事にふっとばされた。
どうやら、長い戦いになりそうね。　

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

結局へろへろなうえにぼこぼこにされたその日の夜。
毛布にもぐりこんだあたしたち。
疲れてんだかそうでないんだかよくわからないでもんもんうだうだごろごろとなるあたし。

「ねえひなた、せめてあのデザイン何とかならないの？」

「なんとかって？もしかしてキャプテンサダヲの方がよかった？」

「そうじゃなくてっ！！サダヲがいやなのよあのぶさくま着ぐるみがさあっ！ヒーローってもっとかっこいいものでしょっ、ねえ。」

「かっこいいよねーサダヲ。」

…うわあ、ぜんぜん話通じねえでやんのこいつ。

「だーかーらー、世の中には仮面○イダーとかプリキ○アとかさあっ、もっとかっこいいのいくらでもあるじゃんっ。
なんでよりによってサダヲなのよっ！！」

「うーん、強いて言うならお母さんが着てたから、かな。」

「それがいやだって言ってんのよっ！！」

「それよりさ、ひーちゃん。」

「なによっ、話そらそうってのつ！？」

「明日も、頑張ろうね。」

「…………………お、おう。」