ENo.1118 エシャロット=グレイス

エピソード１７　妖精に恋をした

前回のあらすじ
怪しい商人、妖精ポルチーニから購入した、おまもり『心頭滅却』
それはなんと炎の熱を防御するというすっごいおまもりであった！
エシャロットはさっそくイグニとらぶちゅーするべく気合をいれてくのであった。

・・・

「たっだいまですのー！！」

いつも以上に上機嫌なエシャロット。
勢いよくドアを開けて、部屋に入ってくるなり、キョロキョロとイグニを探し始める。
そこはパーティメンバーで宿をとった場所であった。
魔物との通常戦は以外にも上手くいっており、治安の悪さから、この場所では多いと言われる
プレイヤーキラーにもさほどあっていないため、ボロ宿に泊まれる程度の収入はあった。

「こら、エシャロット！ノックくらいはしろ！」

「お、おかえりなさい…？」

「えしゃー？あー！えしゃろっとー！！」

ひびなと、トトがエシャロットを迎える。
二人の獣人は勢いよくドアを開けられた音に思わず耳をビクッとさせていた。
イグニは、エシャロットの声を聞いて姿を確認すると、素早く近づいてきた。

「い〜ぐに〜い〜ぐに〜♪」

「えしゃろっと〜〜！」

まるで、懐いた犬のように目を輝かせながら、飛びつこうとする。

「えしゃろ〜〜〜っとぉ〜〜…」

元気よく抱きつこうとしたイグニだが…
何かを思いとどまった様子で急ブレーキをかけるように停止し、エシャロットの胸元ギリギリで飛び込むのをやめてしまった。

「ん〜？どうしたんですの〜？」

「エシャロット、また火傷しちゃう〜…」

いつものノリで飛びこもうとしたがやめた理由を上目遣いしながら述べてくる。
大事な友達を怪我させたくないという気持ちが抱きつく行為を留めてしまったようだ。
その様子を見て、エシャロットはにこっとイグニに微笑みを返し、手を伸ばす。

「心配してくれるですの〜？えはー、かわいいですの〜、で〜も！今日から問題ないですの〜♪」

「えっ…？」

そんな気遣いをするイグニをエシャロットは、そのままぎゅっと抱きしめる。
胸元に軽く押し付けて、そこからもう片方の手で指を２〜３本使い、頭をなでこねする。
妖精の扱いを知りつくしているような、優しい抱きしめ方と撫で方である。

「おい、そんなことしたまた…！」

「ん、んっ…んー……♪」

ひびなの言葉を無視して、撫で続ける。
イグニの気分が高まり、急激に体温、もとい熱量が上がっていく。
いつもなら、ここでエシャロットが一瞬にして火傷を負うのだが…

「んー♪…あ、あたしまた…あれっ、えしゃー…？」

「えは〜♪」

あまりの心地よさにハッと突然気づくようにして、イグニは顔を見上げる。
いつも通りの高熱の体質。しかし目の前にはいつものように火傷を負わないエシャロットの姿があった。

「エシャロット…エシャロットー！！わーーーーっ♪」

それに気づいたイグニはもはや遠慮がない様子で胸に飛び込んできてすりすりと身体を寄せてきた。
まさにこの瞬間が、自分を触って火傷をしない始めての現象に遭遇したイグニは好奇心で胸をくすぐらせた。
これまでの鬱憤を晴らすかのように、人肌に触れて堪能していく。

「あははははっ、くすぐったいですの〜〜！！」

「…どういうことだ？」

「なんでだいじょうぶなのだー？」

「えへへっ、これのおかげですの♪」

ひびなとコヨートルが興味深そうに見つめてくる。
エシャロットはその疑問にすぐ答えるかのように、自慢気におまもりを見せびらかした。

「心頭滅却のおまもりらしいですの！これでイグニちゃん触り放題撫で放題ですの〜！」

「わーい！えしゃー！えしゃー！」
「えはー！いぐに〜！いぐに〜！」

擦り寄ってきていたイグニを両手で身体を掴み、踊るようにくるくるまわる。
イグニは楽しそうな顔をしながら両腕を広げていた。

「…いったいそんなものどこでていにれたんだ？」

「行商人の妖精さんに売ってもらったんですの〜！名前はポルチーニとか言ってたですの！」

「ぎょうしょうにん…こんなところでか？……エシャロット、まさかとはおもうがおまえ」

「いぐにー！デート！デートするですの！」

「って、こらっ！はなしをきけ！？」

「でーとー？」

はじめて聞く言葉にイグニは首をかしげた。

「デートというのは〜、二人っきりで〜、仲良くなるためにアレコレすることですの！」

「なかよく？イグニはえしゃとなかよしだよ？」

「じゃあもっと仲良くなるですの！もっとイグニちゃんのこと知りたいですの〜！」

「わーっ！じゃあもっとえしゃと仲良くするー！」

「わっほぉぉぉい！それじゃーお出かけですの〜！いえーい！」

「いえーーい！」

あまりのテンションに周りは何も言えなかった…。
そのままエシャロットはイグニを掴んだまま宿の外へでていくのであった…。

「…恋、その素敵な好奇心が、エシャを行動させた…」

「…おんなどうしだぞ…？」

二人が去ると、あまりにも静かに思えた…。
一部始終を見ていたエペはそれをまとめるかのように言葉を出す。
しかし、ひびなが的確にツッコミを入れていくのであった。

（なにをかんがえるのかまったくわからんのだ…）

（こいって、なんだろう…？）

恋、トトとコヨートルにはまだよくわからない話であった。

・・・

「形ぬるぬる〜いきょうとみれ〜ば〜♪あたしっとあーなたっは、炎天下でおデート〜♪」

「うー！にゃー！」

楽しげに歌を歌いながら町中を歩く二人。
イグニはエシャロットに抱かれつつ、その奇妙な歌に合わせて合唱する。
天候は曇りだがイグニがいる分ではある意味、炎天下でおデートである。
そして、ニャル子さんは90年代のナベシン世代にはきゅんきゅんくる良いアニメである。

「えはー、しかしこの街もそろそろ見飽きたですの〜、せっかくのおデートなのにどこも言ったことあるし〜、そもそもな〜んもないですの〜」

何もない、というわけではないのだが、
このフリストの街は相変わらずと言えるほどに活気を感じられない。
どこにいっても静かな場所である。
この街を拠点にして数日が経っているため、エシャロットはこの街については知り尽くしているつもりでいた。
宿屋の位置と酒場の位置だけは完璧である。

「そう〜？色んなこと起きて毎日楽しいよ〜、見飽きたとかはないかもー」

「でも〜、もうちょっとお遊びしたいっていうか〜そういうが場所ほしいっていうか〜」

「遊ぶばしょ？遊ぶのにばしょが必要なのー？」

「んふふ、いろ〜んな遊びがあるんですの〜、きっとイグニちゃんにはまだわからないことがいっぱいですの、なでなで〜」

「ふあっ、ん〜♪」

エシャロットの住む世界は、娯楽というものが十分に発達していた。
故にこの場所は、エシャロットにとっては少々物足りない場所と感じるようだ。

「ここは電気もテレビもなくて〜、自慢のゲーム機器もただの防具にしかならんですの、つまらんですの〜」

それを防具にするなんてとんでもない。

「ゲーム機器って、おもしろいの〜？」

「ものによるけど、と〜ってもおもしろいですの！いつかイグニちゃんにも教えてあげるですの！」

「わー！教えて教えてー！絶対だよ！」

長く生きれば、その分新鮮と思えるものが薄れていき、感動の波も落ち着いてしまう。
人生経験を積むほど、目新しいと思えるものはなくなっていくものだろう。
この世界で生まれて間もないイグニという存在は、何もかもが新鮮で当然であった。

「もちろんですの、イグニちゃんにはいっぱいいっぱい楽しいこと、おもしろいこと、そして〜…気持ちいいことも〜教えるですの〜、うへへ…♪」

「やったー♪いっぱい教えて！楽しいことも、おもしろいことも好き！それでね、気持ちいいことが一番好き！」

「ほほう…！」

エシャロットはその言葉に目を光らさせた。
断じて、エシャロットが考えているようなエロスのような意味ではないのであろうが
その食いつきっぷりからあからさまに妄想を繰り広げて息を荒くしていた。

「だって一人じゃできないもん、えしゃがなでなでしてくれるから！えしゃのなでなで〜、とってもきもちいい！」

やはりそういう意味。
しかし、その言葉にエシャロットはきゅんっとしたかのように、胸を微妙に動かした。

「イグニちゃんがこんなに喜んでくれるとは思わなかったですの…あたしゃとっても嬉しいですの〜！！」

そして、期待に答えるかのように抱きしめてなでなでした。

「えへへー、好きー！エシャロットのなでなで、気持ちいい…♪」

「イグニちゃんかわいいですの…かわいすぎるですの…！」

「えしゃに触ってもらえるのって、こんなに気持ちよかったんだー…んー…♪」

安心しきったように、抱かれ続けるイグニ。
目を細めて、今にも眠りそうなくらいに心を落ち着かせていた。

・・・

かわいい。イグニは、かわいい。
その言葉が、そのしぐさが、一つ一つの行動がエシャロットの心を高鳴らせる。

「イグニちゃん」

「んう…？　どうしたの〜？」

手のひらでごろごろするイグニ。
それをエシャロットは笑顔で顔をあわせた。

「イグニちゃん！あたしもっとイグニちゃんと仲良くなりたいですの！」

「うん！エシャともっと仲良くなる！いっぱい仲良くしたい〜！」

とても無邪気で、どこまでも純粋にイグニは回答した。
エシャロットはにやーっと、あからさまにいやらしい表情になっていく。

「それじゃぁイグニちゃん、ちゅーするですの！ちゅー！」

「ちゅう〜？」

ちゅう、それはキス。口づけを交わすこと。イグニはそれさえも知らないほどの潔白さを見せながら、首を傾げる。
…もっと、仲良くなりたい。その感情が、エシャロットを暴走させていくのであった…。

・・・

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と言っても、この先は私のピクシブとなっております。
「エピソード１７EX　妖精に恋をした」というので見れますよ！
見れない人はpixiv登録すればいいと思うよ！
あっ、１８歳未満の方はどうあがいても見れないのであきらめてね・ω・