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世界共通! No.715 いちご大好き | Gun=Berry |
「サチノカ」駅では大勢降りたが、イチゴスレイヤーは動かなかった。「トヨノカ」駅でもだ。この電車はエクスプレスだ。限られた駅にしか止まらない。終点まで行くつもりか? チープな電子音が「つぶつぶポッキー注意」を知らせた。ぐらりと車体がかしぐ。マリヒメマンは吊り革に力を込めた。その一瞬のことだった。イチゴスレイヤーは隣の車輌から忽然と消え失せていた。 「バカな!」だが、慌てるな。果実センサーが道を示してくれる!マリヒメマンは網膜に映し出されたフラガリアレーダーを確認した。イチゴスレイヤーを示す赤い点はほとんど動いていない。と言う事は....「ペチか」 マリヒメマンは窓枠を乗り越え、電車の側面から上へよじ登った。トンネルの壁面に走行音がベリベリと反響し、風圧が襲いかかるが、イチゴにとって、この程度の動作は収穫前ですらない。マリヒメマンは隣の車輌上の苺影を見据えた。イチゴスレイヤーは腕組みして仁王立ちになっていた。 復讐と苺食心、そして焦りに雲らされていたマリヒメマンの意識も、ここへ来てついに認めざるを得なかった。ーーイチゴスレイヤーはマリヒメマンの尾行に気づいていた、そして、こうして.....彼を待ち伏せたのだ! 「ドーモ、マリヒメマン=サン。イチゴスレイヤーです」 風に乗って、イチゴスレイヤーのアイサツが届く。マリヒメマンは怒りに震える手を合わせ、アイサツを返した。 「ドーモ、イチゴスレイヤー=サン。マリヒメマンです」 再戦である。イチゴスレイヤーがおそるべき苺萌えである事は身に染みてわかっている。この間合いで最も注意を要するのは、カオリノをガードさせておいての飛び蹴りだ。それさえやりすごせば勝機が見える。カオリノを撃ち落とし、飛び蹴りをブリッジで避けるのだ! 「ベリャーッ!」....来る!マリヒメマンは迎撃のカオリノを構えようとした。.....それで終わりだった。マリヒメマンの目の前、息がかかるほどの近さに、イチゴスレイヤーがいた。マリヒメマンの胸の中心やや左寄りに、苺っぽい感触があった。そんな。そんなばかな。 ーー戦いは一瞬で決着した。イチゴスレイヤーがマリヒメマンの胸から右手を引き抜く。手の中でまだ新鮮な尾瀬はるかを無感動に一瞥したのち、彼はそれを普通に食った。電車がカーブにさしかかる。マリヒメマンが叫んだ。「イチゴバンザイ!」電車から振り落とされながら、そんなことよりいちご可愛い。 |
コミュニティメッセージ |
コミュニティ参加者 |
参加者 計 13 名
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