陸に上がった私は、まずは周りの砂と水を素材にして鎧人形を作った。私は陸で歩くことができないから、移動用の乗り物が必要だったからだ。移動用の乗り物であれば、本当は台車とかの方が効率がよい。鎧人形に抱えられて移動すると、姿勢の自由が利かず肩が凝るし、鎧人形が歩く振動が伝わって水に包まれている状態よりも何倍も体に負担がかかる。だけれども、その「歩く」という感覚は、私にとって憧れであった。鎧に抱えられているだけだから、正確には歩く感覚には程遠いのかもしれないが、それでもより陸の生物に近い方法で私は歩を進めたかった。

　人魚というのは、陸の生物の多くが持つ「足」を持たない種族だ。陸の上に上がった私達は、這うことが精一杯で、魔法でも使わない限りは、自由に身動きがとれなかった。だから、私の多くの仲間達は、海の中かせいぜい浜辺で一生を過ごしている。人魚は海で生き、海で死ぬだと思っているのだ。でも、私は海の生活に飽きてしまっていた。

　仲のよい友人と集まって色恋のおしゃべりをしたり、たまに浜辺にやってくる人間をからかって、ただ笑ってすごすのは確かに楽しい。しかしそれだけだ。毎日が同じことの繰り返しでしかなかった。居心地はとてもよかったが、陸への憧れや好奇心が満たされることは決してなかった

　陸に上がりたいと仲間に言ってみたら、引き止められるばかりだった。陸は怖いところだ、危ないところだ、生きて帰ったものはいない。大体みな同じことを言うのだ。それでもいい、私は海の生物ではない陸の人々に会って話がしてみたかった。だから私は、夜に住処をこっそり抜け出して、一人で陸に上がったのだった。

　川岸から見る濁った街の光は、海の底から見る朝日よりも輝いてみえた。

エリザ(3494)の声が届いた：
エリザ「この街…こんなに騒がしかったっけ…?」

殺人狂(2602)の声が届いた：
殺人狂「ふふっ、ふふふっ……」

マオ姐(2572)の声が届いた：
マオ姐「誰か私を襲うようなカッコイイ男の子おらんの？ (with　若作りの声)」

[検閲済み](2515)の声が届いた：

雑踏の片隅に、何かが。

エト(2387)の声が届いた：
ぴよらっと「どうした長耳狩り！ 長耳はここにあるぞ、早く狩りにきたらどうだ！！！」

サーナ(2297)の声が届いた：
サーナ「歩くのってなんて非効率なんでしょう」

ゴロウザ(2159)の声が届いた：
ゴロウザ「昨日、この辺で糞ガキが俺の噂をしてたらしいじゃねェか。」

あるるん(1058)の声が届いた：
あるるん「うふふ、ご飯の時間ね！」