幌馬車が停まっている。
荷台には木製の板がかかっており、
「水あります」とだけ彫り込まれ、数名が乗り込んでいるようだ。
しかし外に出てくる気配はない。

一人、青白い馬の世話をしている男が
「やあ。ここはまだ準備中なんだ」
と、懐っこく笑った。

「この世界は水が無いだろう？」
「だから、水を使えそうな人や、水の在り処を知っていそうな人を探したんだけど」
「なかなか難しくてね。純粋な水じゃないけど、ジュースならお出しできるよ？」

……そんな青年の持っているジュースは、どうにも苦そうなものだった。

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