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世界共通!
No.231 本
文箭


本を読むのが好き!
本を蒐集するのが好き!
本を学問的に見るのが好き!
装丁や形が好き!
本というものが、とにかく大好き!

以上に一つでも当てはまったならば、是非ご参加下さい。
当コミュニティーでは、本が好きな方を募集しております。
本のみならず、書物全般(巻物や帖のもの)、また非書物(手紙、古筆切、他)なども範囲に含みます。

条件に当てはまれば、PL、キャラクター問いません。お気軽にお越し下さい。


主張用ではありますが、たまにコミュ主が呟くこともあります。
他にも、オススメの本や書物に捧げる熱い思いなどなど、交流の場として活用して頂ければ幸いです。



コミュニティメッセージ


文箭(231)からのメッセージ:
文箭「さて、前回は失礼しました」
文箭「今回は、墨についての詳しい話を致します。結構話が彼方此方フラフラと飛び回る事になるかと思いますが、御容赦下さいませ」
文箭「それと、もう一つ訂正を忘れておりました。前前回にて「米フツ」の文字が反映されていませんでしたね。本来ならば、フツは草冠に市と書きます」

文箭「墨は一体何からできているかというと、これは煤と膠――動物のコラーゲンからできています。煤には菜種と松の二種類があり、それらを使用して作った墨を、それぞれ油煙墨(ユエンボク)と松煙墨(ショウエンボク)と呼びます。溶かした膠に煤・香料を混ぜ、木型に入れて乾燥させたものが、現在一般的に知られている墨ですね。他にハナから液体状の墨もあります。こちらは液体墨や墨汁と呼ばれますね」

文箭「固形墨はそれこそ2000年前にはありましたが、液体の墨の誕生は明治31年――約100年前と歴史が浅いです。墨汁は合成糊・膠と塩を混ぜたものなど色々あるようですが、最近は『磨り墨をそのまま入れた』などと謳っているものもありますね。御値段が高いですけれど――」
文箭「膠を使用した墨汁に塩が混ぜられているのは、膠のゲル化を防ぐためだそうです。膠は気温15度以下になると固まりやすくなるので、大量の塩を使用しますが、筆を傷めたり表具の際に墨が散るなどのトラブルが発生し易くなります。また、合成糊の場合は、墨の伸びが悪い・乾くと固まってほぐしにくくなるなどの欠点があります」
文箭「固形墨にはそのような欠点が無いため、普通は作品を作る際、固形墨が推奨されています。唯、磨るのが面倒くさいのが最大の欠点で……」
文箭「それと、“ねり墨”というものがあるようですが、こちらは僕は見た事が無いのでなんとも言えません」

文箭「以前御話した通り、墨は殷時代の遺物にその姿を見る事ができます。実は、墨は書写だけでなく、刑罰にも使用されてきました。墨刑といいまして、いわゆる入れ墨です。墨によって刑罰を施す事から、筆や墨を呪術的用具であると考える学者も居ますね。これはまた機会があれば御話しましょう」
文箭「現存する昔の墨は、秦時代のもので、“墨丸”というものがあります。これは硯と墨石がセットになったもので、使用時に墨石を磨り潰す事で墨を得ていたと考えられています。これがやがて、書写道具――紙の出現により、形状が変化していきます」
文箭「余談ですが、昔の墨の単位は“丸”でして、これは唐時代まで使用されていた単位だそうですよ。墨が“丁”と数えられるようになったのは、明清の時代のようです」

文箭「墨は、唐時代に大きく変化します。墨匠というものが出現すると同時に、名墨も誕生しました。中には日本に伝来しているものもあります――これも以前、御話しましたね」
文箭「墨匠と呼ばれる者達は、元は易州に住んでいましたが、唐末に戦火を逃れて移住をしています。松煙墨の原材料となる良質の赤松の多く採れるそこは、安徽南部の歙(キュウ)州といいまして、後の徽州です。北宋の徽宗皇帝は芸術に秀で、『宣和画譜』『宣和書譜』『宣和印譜』などが伝えられていますね」
文箭「彼は用具用材に対する執着心も強く、コレクションもしていたようですから――、墨に力を入れても不思議ではありませんね。現に、“徽墨”というものがありまして、これの開祖が先日紹介した李廷珪と、その父李超です」

文箭「しかし、明時代には既に、その製法は失われていたようです。墨は、時代の流れで製法や形式が、緩やかではありますが随分と変化しています」
文箭「松煙墨から油煙墨が主流になった原因の一つに、松の不足があります。松は一度伐採すると、次に使用可能な状態に戻るまで、20〜30年を要します。また、100kgの木から得られる煤は2〜3kgです。これでは割に合いませんから、宋時代からは油煙墨が盛んに製造されるようになりました。二つの製造法の違いは、後程御話しましょう」

文箭「今現在の墨事情はもっと深刻で、そもそも良質の膠が自分でほとんど生産できない状態にあるようです。昭和時代までは墨用の膠を作る人々が居たそうですが、それらが全てやめてしまったそうです。また、他にも墨に重要な木材なども、減少傾向にある事から、墨の製造はなかなか厳しい状況に追い込まれているようですよ」
文箭「詳しくは芸術新聞社の『墨』2・3月号を御覧下さい。丁度、現代の墨事情が特集にあがっています」

文箭「バニーさんの質問に“炭と墨の違い”というのがありましたが、炭は唯燃やした木材であり、僕の言っている書写道具としての墨は、煤と膠を混合させたものです。そこで、墨の製法について御話致しましょう」
文箭「煤の製法には様々な様式がありますが、ここでは大雑把に説明致しますね。煤というのは、物を燃やした時に発生する黒い煙の事です。これは超微粒子の炭素の集まりで、言うなれば、墨は炭素の集合体みたいなものですよ。これを捕まえて、墨にしちゃいます」
文箭「それには皿の中に菜種や胡麻の油を入れ、灯芯を入れて火を点けます。そこに蓋をすれば、煤は蓋に付着する。それを掻き集めるんですよ」
文箭「中国で松煙墨を作る際は、大きなトンネルを作って、一斉に炊いていたという記録があります」

文箭「墨の面白いところは、先程申し上げました通り、墨の大部分は炭素であるというところです。墨跡が永くこの世に在り続けるのは何故か、理由は、炭素が安定したものだからです。そして、この炭素から、墨跡の書写年代を推定するという試みが行われています」
文箭「炭素十四法と呼ばれる方法がありまして、炭素十四の性質を利用して、生物が死んでから現在までの経過年数を計算するという方法があります。墨は、極端な言い方をすれば植物の燃えカスと、動物のコラーゲンですからね」
文箭「この炭素十四法により、次のような研究結果が報告されています」

文箭「『藤原俊成筆と伝えられた古筆切3点は、『顕広切』は年代が合わず後世のものと判明。『御家切』は俊成の晩年とわかったが、だれかが書写したものと判定された。唯一『了佐切』だけが、永暦2(1161)年、48歳のときの原本の可能性があるという結果となった。』――これは、2009年3月30日の産経ニュースによるものです。墨は、現代科学においては非常に重要な手がかりなんですが……」
文箭「一つだけ、疑問があります。それは、淡墨で筆者された遺品はどうなるのか。淡くすれば、炭素を薄めているという事になり、保存性に対する疑問視がなされています」
文箭「以上のように、墨は古代から現代まで様々な問題を抱えながら歩んできているものです。ここで御話したのは、そのほんの一部ですがね」
文箭「しかし、如何せん、発言枠が足りませんでした……すみません、もう少し返答をしたかったものですが……」

玄深(1294)からのメッセージ:
玄深「緩りとお待ち申し上げておりますよ、主殿」
>ミコト殿
玄深「ふむ、映画は未見ですが当時の方々は書への造詣も深うありましょうなぁ。どの様な場面か観てみたいものです」

玄深「全くその通りにございます、己の頭の中のイメージと中々合致せず…別物と思おうとはすれど、次元を超える難しさよ」
玄深「源氏物語に関してはそうですねぇ、背後が中谷殿贔屓でおります故に多少の贔屓目が。
とはいえ映画本編も中々にようございました。
文献から装束を起こす場合なぞは矢張り時代が下る程に再現度が上がるものでしょうか、技術や研究の進歩故に」

ミコト(1619)からのメッセージ:
ミコト「コミュ長、ご無理なさらずですよー、と述べつつ…」
ミコト「自作で、かつ、辞書ですとな…!
それは、使いやすいように編纂し直したーという風な代物なのでしょうか、データ上ではよくやることですけども、ふむむ、本を好いてらっしゃるのだなぁと思うばかりです…(感嘆)」

わらわら〜ず(1970)からのメッセージ:
いんちゃん「おやすみ、おやすみ〜、休憩ですね〜♪
しっぽ丸ごと出てくるのですか。それすごいです〜! 痛くないのかなぁ?」




コミュニティ参加者


 ENo.59 此花サクヤ月 葵
 ENo.164 白鷺花子ビセツ
 ENo.191 仮面童子フミ
 ENo.231 文箭句外
 ENo.311 リオーネ=デュカス有柄莉衣
 ENo.317 フィリーディス・K・ウェーハスハール霜月司
 ENo.362 ティオリオR-sobat
 ENo.405 烏丸ネヴァン古川
 ENo.518 ノア・S・ノルデンショルドZ・Zeman
 ENo.619 24式ルクファリ単騎遠征試験機運用斑Crymson
 ENo.687 ルーミリア・リィス立花 唯
 ENo.695 ルナリア=ルーチェはるち
 ENo.882 ナクシディル・ライラmagnolia
 ENo.899 ウチモさんソン
 ENo.968 佐倉 吉野/大山968.
 ENo.1111  
 ENo.1132 兎と竜栗原翡翠
 ENo.1141 黒兎栗原翡翠
 ENo.1222 エン=シルティニアシフネ
 ENo.1250 シロネコカゲツ
 ENo.1288 ヘーゼル=フラペチーノさえき
 ENo.1294 源 玄深kM-r
 ENo.1541 ルニック・トリネコイ杜に在る鉱石
 ENo.1595 シュレディンガーの猫Eins
 ENo.1619 比売巫女等新々
 ENo.1660 ヨークシュリンゲン=ファイデA.T.
 ENo.1673 ユベールこち
 ENo.1708 高橋 信一郎レナーテ
 ENo.1784 スコッチ・ブライトkikunojyo
 ENo.1884 ヤマダヤマダヤマーダかーな
 ENo.1943 バルネッタあちゃな
 ENo.1970 白鳥 杏紅葉屋
 ENo.1986 パークス・P21・3Q77X94_RNG
 ENo.1996 イェル・V・ハルトマンDさん
 ENo.2003 アレイリィン・ノッサフれのこ
 ENo.2026 ケーニッヒ=アイゼンハウゼシノ
 ENo.2034 スチュアート・ノット雨酒
 ENo.2126 バロンケイス正井
 ENo.2195 黒心 幽見れいん
 ENo.2736 ミハイル・レニングラード きつね仮面
 ENo.2899 ジェームズ・C・M・ゲーティアことぶき
 ENo.2993 リリー・リバースLily
 ENo.3007 キルシッカ・ヴェシトゥーリようかん
 ENo.3145 自律移動式図書Ru+
 ENo.3241 定桐 右水来人(改β)
 ENo.3285 クライブ・ルブムサピュルリオ
 ENo.3320 柊 三十朗さかさ猫
参加者 計 47