本機は某国の歩兵強化用の試作パワードスーツ（の延長線上に生まれた試作ロボット歩兵）である。

　人工筋肉の補助を得ることで重火器や装甲板の装備を可能とすることで歩兵を耐弾性・火力共に飛躍的に強化する装備として開発された。このスーツ用に開発された携行重火器を専用の腕部ハードポイントに装備して使用する他、当然ながら指を利用して通常の人間用の武器も扱えることが予定されていた。
　しかし装着者たる人間の動きと人工筋肉の挙動との同調精度に問題があったため開発は難航。巨額の予算を投入してもなお進展しないこの計画は議会から猛烈に批判され、開発中止を余儀なくされる。

　それから2年後。どうしても諦めきれない技術者達はある企業の資金援助を受け開発を再開、「内部にロボットを入れる」というやや斜め上の発想で問題の解決を図った。このロボットは有機的な食料から生体同様のシステムでエネルギーを抽出し稼働・内部修復を行うなど極めて高度な技術が盛り込まれており、工業的に生産できる点と動作を電気的に容易に認識・制御出来る点を除けばほぼ人間と遜色ない能力を備えていた。ところがこの完成品と共に再提出された採用計画もその膨れ上がったコストを理由に破棄されることとなる。

　その後、専用装備と共に倉庫に保管されていた試作機は軍の試作兵器の事故により倉庫ごと次元の歪みに巻き込まれ「消滅」。次元漂流の果て、この世界に漂着した１号機は擬似人格AI「ジャック」を起動。事態の把握を目指し動き始めるのだった。