幾つかの運命の枝葉。
これはその先の、果実の一つ。

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少女には、力があった──親によって気づくことを禁じられた、ほんの小さな空想を現実に変える術が。
少女には、憧憬があった──此処ではない場所。鋼鉄にまみれた世界ではない、幻想の世界への想いが。

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機械文明が発達し、魔法や異能は影を潜めながらも密かに存在する分割世界。
ネーヴェが生まれたのは、そんな環境だった。
両親は共に働き、自分の友人も少ない。専ら一人で暇をつぶす時間が殆ど。
そんな彼女が唯一夢中だったのは、幻想的な物語の世界だった。
中でも好きだったのは、現実では殆ど見られないもの─魔法や奇跡を主にした不思議な力─が登場する物語。ＶＲではなく、文字上の世界で本当に起こる奇跡の数々。
そんな空想世界に溺れるにつれ、元々脆かったネーヴェの現実と空想の境はだんだん曖昧になっていき、いつしか、自分がいるこの世界は実は虚構で、これ等書物に書いてある事こそ真実ではないか、本来の自身の居場所は此処ではない何処か夢の世界ではないかと思うようになった。
異世界に旅立つために、物語に書いてある事は殆ど試した。たとえその殆どが自殺行為であったとしても、親に怒られても、彼女は辞めなかった。
この世界での自分の命など、此処から脱するためなら、どうでもよかった。

──そして、その悲願は期せずして実ることとなり。
──ネーヴェは今、一人の（自称）魔法少女として此処＜セルフォリーフ＞にいる。

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ぼさぼさのセミロングの黒短髪と、大きな黒い瞳の少女。
フリルをあしらった白いノースリーブワンピースを纏い、その背には入力用のタブレットペンと幾らかの食料等が入った鞄がある。
耳にはビジョンを映すためのライト付耳あてがあるが、転移時に破損して今は使えない。
性格は基本おとなしく、時折現実と空想が混ざっているかのような言動をする。
かわいいものが大好きで、魔法や（彼女にとって）現実離れした事が絡むと騙されやすい。

彼女の唯一の能力は、持ち物に自身の妄想を重ね、具現化する事。
具現化した物は半透明になり、ネーヴェの支配下から離れると元に戻る。物理攻撃は出来ない。
この能力を使っている間は鞄は一対の灰色の羽になり、腰には黒いリボンが、頭には耳あてを基点に猫耳が現れる。

武器は、五つの小さなボタンがついた銀色のペン状入力端末。
本来は耳あてから浮かび上がるビジョンにタッチして使うが、耳あてが壊れた今は、レイピア状の白い光の刃が出る銀色の短杖として使われている。