何処かの世界の何処かの大国にある由緒正しいアカデミーの研究室で、ある魔術師の押しかけ弟子兼つかいっぱしり兼家政夫として忙しく暮らす青年。
その日もいつもと変わらず師匠の我儘に振り回され、朝から街中を走り回ってへとへとになりながらもなんとか研究室に戻ってきた。
苦労の元凶をどう罵ってやろうかと思案しながら部屋の扉に手をかけたその瞬間―――

「馬鹿やろ、今あけんじゃねええええええ…！！」
「にゃーーーーーーー」


師匠の珍しく切羽詰まった叫び声、そして対照的に恐ろしく気の抜けた我が飼い猫の鳴き声。

刹那、閃光に包まれ
次の瞬間、気がついた時には、彼は見知らぬ場所に立ちつくしていた。


「……またこのパターンかああああああ！！！！！」

エアちゃぶ台ひっくり返しで彼は叫んだ。
空間魔術師でもある師匠の研究（の失敗）に巻き込まれるのは実は日常茶飯事で。
ひとしきり叫んだあとは、はぁとため息を肩でつき、彼は諦めたようにあたりを見渡した。

「…なんか、今回は嫌ぁな予感がするなあ…」
「なあ。」

猫の声がした。
飼い猫の声だ。
……が、なんだか声の位置が高いような………？

おそるおそる振り返ると。そこには飼い猫―ラフカディオが行儀よくお座りして彼を「見下ろして」いた。


「ラフィ………おまえ………ちょっと見ない間にずいぶんでかくな――りすぎだろ常識で考えて！？」
「なぁ？」
「しかもそのオレンジ色の球体は何！？　あっ、駄目食べちゃ駄目、変なもの拾っちゃ駄目って言ったでしょペッしなさい！！」
「なーぁー（がじがじがじがじ）」


そうしてこうして、青年と猫（大）と謎の物体は、辺境の世界であてのない旅をすることになったのだった。
師匠がさっさと見つけてくれることを祈って。


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[ﾊﾟｰｿﾅﾙﾃﾞｰﾀ]
礼儀作法や言葉使いは年齢の割りに丁寧で、外見や表情からみえる印象は穏やかな好青年風だが、実際温和温厚かというと疑問が残る。
女性には紳士的、ヤローにはそれなりにをモットーに
常識人を自称しているが、ときどき素で吐く台詞が黒いというかエグイ。
褐色の肌に短髪の黒髪、紫色の瞳は一見ひとがよさそうな笑みを浮かべることが多い。
身長は高めだが、どちらかというとインドア派なので幾分ひょろっとした印象がある。
服装は黒系のアンダーに真っ白のロングコートを愛用。
右耳に銀の板状のピアスをしている。
VoiceImage：小野大輔