ENo.987 Cecgii=Verwandt

次回から街につくくらいまでキャラチェンジする予定なので、フェアー宛メッセがふわふわするかもしれませんふわぁ。

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3匹目のオオヤドカリが重い音をたてて砂浜に崩れ落ち、
その反動で舞い上がった砂を腕で避ける。

あー、やどかりって食えるんだっけか。
…でもでかいから剥くのめんどくさそうだな。

そのまま食ってもいいけど、殻はたぶん美味くないだろうし
この身体で食ったら確実に顎がいかれる。

なんてことを割と真剣に考えてることに気づき、
なんとも言えない気分になった。
まるで昼飯食いながら晩飯の献立考えるどこぞの主婦みたいだ。

辺りを見回すと、丁度連中が戦闘の後始末をし終えて引き上げようとしているところだった。

ああそうだ、仕掛けた罠を回収してない。
思い出したようにさっきまでヤドカリ共と戯れていた辺りに戻る。

砂が少し抉れた一帯で最後に倒れたヤドカリの足元を探れば、
目的のトラバサミがガッチリとヤドカリの足を捕らえていた。

興味本位で仕入れたトラバサミは意外と使い道がありそうだ。

こんな子供だましに引っ掛かるお人好しはいないだろうなぁと思ってたけど。

強いて文句を言うなら仕掛けるのと片付けるのが面倒ってとこか。
いちいち置いたり拾ったりはめんどくせぇけど、使い捨てるにしちゃあ値が張る。

仕掛けた罠を回収しようとしゃがむ。
ぐらりと視界がゆらいだ。

「……？」

貧血？…いや失血か？

けど、攻撃を受けたところを触ってみれど手に血がつくことはない。

じゃあ原因はたぶん、あれだ。と、一人で納得して作業を続ける。
わかっててもどうにもならないし考えても仕方ねぇことだから、そのときが来るまで待つことしかできない。

昔から、痛みというものに鈍感だった。

というか、そういう体質だった。

打撲は腫れ上がるまで気づかねぇし、
気がついたら血を流しすぎて動けなくなってたというのもまあよくあった。

昔の話だ。

今でもたまにあるけど、一応その辺は気をつけているつもりなので昔よりは減ったとは思う。

そういうものがあるということ自体、
他人と関わるようになって知った。

それがあれば、少しは生きてる気がするのかなんて夢をみたこともあったけど、
どう足掻いたって手に入らないものを夢見るのも空しくなってやめた。

羨ましいと僻むくらいなら諦めたほうがずっと精神衛生のためだ。

それでもふとした瞬間にそれを夢見てしまう。
今だってこうしてとりとめもなく、こんなこと考えてる。

希望というよくわからないものに縋りたくて仕方がないんだ。
往生際が悪いったらありゃしない。

情けなくて笑いがこぼれる。

髪をかき混ぜて大きく息を吐き、煙草に火を点けて、
そして連中の後を追った。

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何度願ったかわからない。
叶った例はないけど。