ENo.3495 ローゼス・ホリゾント

ガタゴトと揺れ続けていた馬車が止まり、私は目が覚めました。

ようやくスティルフという街へと辿り着いたみたいです。日はとうに昇っています。
乗せて頂いた商人のおじ様からはとても賑わっている街だと聞いていました。
馬車を降りた後は、街の様子を見るため辺りを歩いて周りました。

人形である私が言うのも少し変ですが、一風変わった方が多い街のように感じます。人間、エルフ、機械、モンスター…ここまで色んな人種で賑わう街に来たのは初めてかも知れません。胸が高鳴ります。
以前旅をした世界では駆動人形である私を物珍しそうに扱う方が多く、少し落ち着きませんでした。この世界なら肩の力を抜く事ができそう。

しかし、私はこの世界の貨幣を知りません。持ってきているのは、このケースに詰めた旅に必要な最低限のものだけ。長旅を経て少々休みたい気持ちはありますが、まずは簡単なお仕事を探してみる事にしました。

酒場へ行くと、ちょうど「アップル退治」と依頼が壁に貼り出されました。募集人数は3人と書かれています。席でお酒を呑んでいたハンターの方々はそれに見向きもしません。恐らくは安賃金の簡単なお仕事なのでしょう。

さっそく亭主らしき方に声を掛け依頼を受けると、亭主からメモ書きを渡されました。集合場所、時間、それと合言葉が記載されています。
広い街なので、迷わないように早めに集合場所に赴いてみようと思います。
良き仲間に巡り会える事を祈って。

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ローゼス「（案の定道に迷っちゃった…。ここで合ってるのかしら）」

ローゼスがうつむいていると、機械の身体を持った少年が話し掛けてきた。

バット「ヨウオ嬢サン、何カオ困リカイ？」

ローゼス「あら…あなたも私と同じ…」

ローゼスの手に持っていたメモ書きがバットの目に入る。

バット「モシカシテ、アンタモ酒場デ依頼ヲ？」

ローゼス「そうよ。あなたもアップル討伐の依頼を？」

バット「ソウカ、ナラ話ハ早イナ。俺ハ”バット”ダ。ヨロシクナ！」

ローゼス「ローゼス・ホリゾントよ。ローゼスでいいわ。宜しくね」

バット「話デハ3人ダトキイテイタガ…」

途端、二人の頭に謎の声が響く。驚きつつ二人は振り返る。
背後には緑色の巨大な生物(彼の種族を形容する言葉が見つからない)が立っていた。

いわくま「…。」

ローゼス「(ゴーレム…？いや、ゴーレムにこんな種は…)」

バット「オ、オ前ガモウ一人ノ仲間ナノカ…？」

その巨大な生物はゆっくりと頷いた。

いわくま「いわくま」

バット「え？」

いわくま「いわくま」

彼は自分に指を差し再度名乗る。

ローゼス「あなたが三人目の”いわくま”ね。宜しくね。私はローゼスよ」

バット「オ、俺ハ”バット”ダ。ヨロシクナ！」

いわくま「…。」

バット「(ウマクヤッテイケルノカコレハ･･･？)」

ローゼス「(彼どうやって依頼を受けたのかしら…。)」