ENo.1126 暗殺組織【神籬】

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　　　　　　　　　　　きんきゅう　れんらく　！！！
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リルちゃんへ

このメールに気付いてくれるかな？

とかげは、今、こちらにいる
すこし、からだのぐあいがわるいようでね
しばらく、こちらでようすをみることにした

とかげのかわりに、ちがう人を送るから
それまでおとなしくしているように

ぜったいに、宿から出ないこと！！！
いいかい？いいこにおるすばんしているんだよ？
　　　　　
おとぎりより
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「む……むー……おきたあ！！！おはよー…とかげちゃ…」

最近、とっても寒くなってきたので、お布団がすごく恋しくて困っちゃいます。
それに、ついこの間までちょっと具合が悪かったので余計に感じます。
ちゃんと言う通りに、お薬を飲んで、街の宿まで蜥蜴ちゃんがおぶって移動してくれました。
ちょっと苦しかったけど、普通の風邪だったみたいで安心しました。
今は、元気げんきです

なんとか、お布団さんのゆーわくから、のがれて（難しい言葉知ってるだろ！えっへん！）
ちゃんと、お顔もあらって歯もキレイキレイしたし
いつも通りに、蜥蜴ちゃんに、髪の毛を結んでもらおうと部屋に行ったのですが…

蜥蜴ちゃんがいませんでした。
ベッドには休んだ形跡がありません。

「あれえ？とかげちゃんどーこー？おふろー？」

お風呂を覗いてみたけれど、いませんでした
トイレにも突撃したけれどいなかったです
うーんうーんと、ちょっと悩んでパッとひらめきました

「蜥蜴ちゃん、リルとかくれんぼ？かくれんぼでしょ！！きゃあきゃあ！」

そうと決まれば、さっそく蜥蜴ちゃん探しスタートです

ベッドの下
クローゼットの中
やかんの中

どこにも蜥蜴ちゃんはいませんでした。
残すは……

「……上…？」

屋根裏が残っています。
そっちがその気なら、リルだって容赦しません
トランクに残っていた、お気に入りのうさぎの形をした爆弾を手にして
屋根裏に続く梯子を登ろうとしたその時

ピピッ…！ピーッピーッ！

甲高い電子音が聞こえました。
蜥蜴ちゃんが、神籬への報告に使っているノートパソコンからです

「蜥蜴ちゃんが、いないんならリル勝手見るからね！！！見ちゃうよ！」

姿の見えない蜥蜴ちゃんに向かって声をかけます。
普段は、絶対に見るなといって見せてくれないので、チャンスです。

ノートパソコンの画面をみると

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新着メール
　　　一件　受信しました
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ぴんくのかわいいウサギのアイコンがお知らせしてくれています
ドキドキしながらそこをクリックすると……

「あえ……とかげちゃん、神籬に戻ったのか！具合わるいのか……たいへんだ…！」

そこには、音霧さんから、リルにわかりやすく平仮名で、具合が悪くなったから神籬に戻っているという内容が綴られていました。
蜥蜴ちゃんは無事なのか、気になって気になって仕方ないけれど、リルはメールの返信の仕方がわかりません。

蜥蜴ちゃんの変わりにくる人がいるから、その時に聞いてみようと思い
そのまま朝の身だしなみの支度をしようととりかかりました

そわそわ

そわそわ…

そわそわそわ…そわり

「むむむむむ…蜥蜴ちゃんの事が気になるぞ！どうしようどうしよう…！」

なんだかとっても落ち着きません。
さっきから、そわそわしっぱなしです
考えて考えて…

＼ピコーン！／

「そうだ！いつも蜥蜴ちゃんが頑張ってるから、今度はリルが頑張る番なのだ！」

そうときまれば話は早いのです！
丁度いいタイミングで、受注したままの依頼が一件残っていました

「んと………えと…何退治…？えと…読めないや…こっから……」

依頼書に目を通すものの、難しい漢字が並んでいてわかりません

「おあー！こっから意外と近いぞ！！これならリルでもいけるぞ！！」

蜥蜴ちゃんが戻ってきたら、びっくりするかなー？
いーっぱい褒めてくれるかなあ！
わくわくした気持ちで、準備をします

「よぉーーし！出発進行！！！」

ポッケからはらりと、落ちた依頼書
そこには

求ム！　食屍鬼退治！！

と書かれていたのです

「……………………ぐすっ」

意気揚々と出かけたのはいいのですが
場所が書かれた依頼書を、落としたと気付いたのは大分歩いてからでした

「………お家かえるの…わかんない…ここどこ……うぇえ…」

完全に道に迷ってしまい、ひとりなのもあって不安で仕方ありません。
戻りたくても、自分がどう歩いてきたのかもわかりません
お腹がぐうう…と大きな音をたてました。
そういえば、朝ごはんを食べてなかったのを思い出したけれど、何ももってきていませんでした

「ぐすっ…ぐすっ…」

木の幹にうずくまって泣いていると

「ウゥーーー……ウー…」

どこからか、犬の様な鳴き声が聞こえてきました。
怒ってるような声です

「うわああん！リル食べてもおいしくないぞ！！！！わんわんあっちいけなのだー！」

その辺りに落ちていた、木の枝を振りまわして牽制します。
ガサガサと茂みが音をたて、確実に近付いているのがわかりました

「うぇええええん！！！お家かえうううううう！こわいよう！！」

そう叫んでみたものの、実は怖くて腰がぬけてしまっていました。
目の前までガサガサと音がしました

「うーーーっ！！！」

ヒュッ！と黒い影が茂みから飛び出し、あまりにも怖くてギュッと目をつぶりました

……ぎゅっ

「………う？」

ぎゅっぎゅ！！
すりすり
むぎゅううう

ううう…苦しいのだ！なんなのだ！？」

なんだか、暖かいモノがリルの事をぎゅうぎゅうします
恐る恐る目を開けてみると

「うわん！！！！おにーちゃん誰なのだ！？」

何故だかしらないおにいちゃんが、リルの事押し倒していました

「…………………ちう」

しかもしかも！！むぎゅむぎゅとすり寄りながら、リルのほっぺにちゅーをしてきたのです！

「きゃあ！おにーちゃんのえっち！！」

力いっぱい、お兄ちゃんを引き離します。

「………わん」

お兄ちゃんはちょっとしょんぼりした様子で渋々どいてくれました。
やっと落ち着いたので、お兄ちゃんを観察してみたのですが…

真っ黒な、カラスさんの羽を色をした、とっても長い髪
顔は、よくわかりません
何故なら、目も口も布でぐるぐる巻きにされているからです
首には何故か首輪がついています

手も顔同様に、頑丈な布でぐるぐる巻きにされて、手が動かないようにされていました。

「……む………おにいちゃんのカッコどっかで見たことあるぞ？」

「………ワォン！グルグル…」

どうやら、お兄ちゃんは喋れないみたいです。
ぐるぐるとノドを鳴らしながら、リルに顔をスリスリしてきます
わんちゃん？ねこちゃん？おにいちゃんはそんな感じがしました

「んんんんー……」

「あ！！！思いだした！！！お兄ちゃん神籬にいたよね！！！」

「ゥォン！！！」

お兄ちゃんは肯定するように、大きく吠えました
そういえば、お兄ちゃんに似た人が神籬に、いーっぱい居た気がします。
たしか……蜥蜴ちゃんが…こう呼んで……