ENo.9 ツィエルアーシャ・エロ＝サヴァーレン

◆◆◆投票お礼◆◆◆

けしからん！
http://sicx.x0.com/ranking.cgi?tno=81

ツィエル「8票の投票ありがとう。いやー、私なんて空気だと思ってたんだけどねぇ」

ツィエル「ささやかながらお礼だけでも言わせてもらうよ」

「雰囲気がもう」

ツィエル「妖艶さよりエロさ。私はブレないよ」

「何もかもけしからん！」

ツィエル「素敵なプロフ絵を描いてくれた皆さんに伝えきれない感謝を。
鎖骨、乳、尻、ふとももとマストな場所ばかり！」

「えろすぎて」

ツィエル「どこもかしこもエロだとも。何せエロ（名前）だから！」

「えろけしからんなの（’’」

ツィエル「栗鼠倫には気を遣っている、健全なえろけしからんだから安心して欲しい。」

「えろすぎです」

ツィエル「名前が20文字入っていればエロの後にアンとついてたんだ。
勿論アンジニティのアンだよ？」

「隅から隅までエロス！！」

ツィエル「エロくなかったら名前が泣く！揺りかごから墓場まで、名前から外見まで！」

「つぃえろ」

ツィエル「よし特定した。…それは冗談で、意外にもあまり呼ばれないんだよね。真っ先にあだ名になると思ったんだけど」

「えろい・・・！」

ツィエル「そう言われなかったら生まれてきた意味がない！」

皆様本当にありがとうございました！
これからも健全にセーフなエロさんをお楽しみください。

※いつもの日記ここから※

「ふーむ、次はこれを着てみて」
「はぁい！」
「おってつっだいー」

真っ白なふわっふわのファーつきワンピースを着たエミルと手伝い役のジュコがカーテンに消えていく。
疲労困憊のエミルを癒すべく、まだ街まであるしと始めたのがこのファッションショーだった。
子供服のカタログを広げ適当に具現化させては着替えさせている。

二人に見えないことを確認し、はぁ、と息を吐く。

「予想通り、ではあるけど本当にただの春菊だったなぁ…」

散らばる衣類とカタログに押し退けられるように部屋の隅に置いてある植物。

『遠慮なく受け取ってくれたまえ！ふはははは・・・』

そんな芝居がかった言葉と共に降ってきたのは『金ピカ春菊』と名付けられた金メッキされた植物だった。
これはまるっきり春菊だからね！と注意書までしてあった。

疲労を取ってくれる便利アイテムでもなく食べ物でもない。
合成に使っても恐らく、普通のものと変わらないだろう。
心も荒もうというものだ。

いや、ひとつだけ。名前が被らなかったのは安堵した。

「ツィーエー。サイズおっきいよー」
「はいはい……どう？」
「ちゃんとなったー」

遠隔操作で服を縮める。やっぱりエミルは細い。これくらいの年齢ならもう少しぷにっとしててもいいはずだ。
アンジニティの食料は質が悪いとはいえ、食べようと思えば野菜と果実は食べ放題だし子供はそこまで細くなかった。
勿論、私が見た子供たちがたまたま成長がよかった可能性もあるのだが。

「じゃーん！」
「どう、ですか…？」

白いセーターに膝下丈の赤いチェックスカート、白のハイソックス。や
や大人っぽい雰囲気のチョイス。エミルの金髪はやっぱり白い上着の方が似合う。

「似合う似合う。ちょっとこれ羽織って」
「わぷ。こうですか？」

渡したのは白いファーのダウンジャケット。
この年頃の少女がやや服に埋もれた可愛らしさはぐっとくる。

「あぁ、やっぱり大きめがいいね。上着は大きめにしよう」
「あっ、あの、これも着てみたいです」
「赤いチェックのコート？はい」
「着せる着せるー」

スカートに合わせたコートなのだろう。パッと見た感じはワンピースのように見える。
可愛い。可愛いのだがエミルには少し強い気がする。

「にあわない、ですか？」
「似合わないことはないよ。ただ少し赤が強いな…」
「エミルは薄いもんねぇ」
「うすい…？」
「色が薄いってこと。服に負けてる感じね」

色味を変えて紺のチェックに変化させる。白い肌、金の髪がよく映える。
もちろん色白金髪碧眼で赤いドレスが似合う人間はいくらでもいるが、エミルはそこまで歳が行ってない。

オーラとかソウルカラーというんだろうか。エミルのそれは赤ではない。
菜の花色とか、黄支子色とか。輝ききれない光の色。
もしくは、花色。赤のない、夜の手前の色。

「人には似合う色がある。黄色い服でも赤い服でも似合う人には似合うものってこと」
「ツィーエには黒とか青とか紫とかー」
「ジュコは薄桃色とかね。服に着られない色を選ぶといい」
「一番ツィーエににあうのは、はだぶぇぅっ！？」

マフラー仮面にさせられたジュコに反応することなくエミルは回る。

「ううん…私ってうすいのかなぁ」

濃いとは言い難いと思うよ。そんな本音を仕舞ってカタログに目を向ける。
適当な世界から選んだ、子供ばかりのファッション雑誌。
皆笑顔なのは仕事だからというのはあるだろう。けれど活力や気力といったものは多分に感じられた。

エミルにはそれが足りていない。
希望、期待。自分が持つもの、或いは自分に『向けてもらえる』もの。

くぅぅん。

「ツィーエ、ツィーエ、エミルがお腹すいたってー」
「じゅ、ジュコちゃんっ」
「ああ、うん。よく聞こえた」
「ツィエルさんまでぇっ！」

子犬の空腹を無視するのは忍びないのでおやつにしよう。
服の脱ぎ着というものは意外と体力を消耗するし。

喜び勇んでジュコを手伝うエミル。ジュコは私のパシリだから私は何もしない。
エミルにだって何もしなくていいと言ったが、何が楽しいのか甲斐甲斐しく働いていた。

ジュコはこうみえて私より年上だから別に虐待ではない。

「今日はねー、チョコケーキだよー」
「ちょこれーと…！」
「アンジニティにはなかなかないね。文明が発達してないとそこそこ高級品か」
「ケーキだってあんまりないですよぅ…」
「香り高い紅茶も、しぼりたてのジュースも、新鮮なミルクもね」

アンジニティは【追放先】であって【処刑場】ではない。
生かす気も殺す気もない気持ちの悪い場所だ。

そのせいか食べ物もあるにはある。多分、向上心とかがあれば良い物は採れる…
と思うが略奪者が多いだろう。真面目にやる気も失せるのは想像に難くない。
高価ではあるが味の感じる食べ物はよほど厳重な警備の元育っているんだろう。

そんな食糧事情とは無関係なこの部屋は宝だ。
宝と言うかチートだ。

「んぐっんぐっ…ぷぁー」
「おいしぃ…」
「食べたら今度は戦闘の復習でもしようか。戦闘は待ってくれないから」
「はぁい！」
「じゃあ私はおでかけするー」

◆　◆　◆　◆　◆　◆

水の中。大抵の生き物が恐怖を感じる場所。
上下左右東西南北、あらゆる場所を囲まれてしまえば余りにも無力だ。

窒息は最もイメージしやすい苦しみ。
苦しい、苦しい、息ができない。軽く自分の首を締めるだけでもその気分は味わえる。

「…………こぽ」

水の中でも息は吐かなければならない。
吸うよりも吐くほうが大事とも聞いた。
吐かなければ毒ガスが溜まったようになるとのことだが本当なのかは解らない。

「……だめ」

ざぱ、と体が水から飛び出す。正しくは水が私を吐き出したのだが些細なことだ。
水霊術で産み出した水がのんびりと揺れている。私がすっぽり納まるサイズの水塊。

魔術の鍛練に有効なのはイメージトレーニングだと私は思う。
魔力をどんな形に練り上げどんな術、つまり結果を出すのか。
イメージできるのとできないのでは、魔力のロスがかなり違う、はずだ。

優れた彫刻家は木材を、石材を見た瞬間に完成形を思い描けるらしい。
多分、私の感覚もそういうものなんだろう。

「うーん…系統が違うのか」

水をぷにぷにつつく。少し魔力を注ぐとビシリビシリ音を立てて凍りついた。
アンジニティで有効な属性は地水火風の四属性にプラスさて光闇の六種類。
それ以外の属性を魔力に乗せても発揮されないのは割かし周知の事実。

私が扱う水霊術は文字通り水の属性を帯びているのだが、水『が』何をするかは予想とは異なっていた。
水を好きに操り攻撃を加えるのがイメージ。
水を使った温度変化、主に気化熱により凍結させるのが現実。

くわえてここ最近出会う逃げる肉は凍結を防御する術に長けている。
だからこそこうして柄にもなくトレーニングしているんだけども。

「私の系統に合いそうなのって、今のところかなり少ないしなぁ…」

今日習得した技は3つ。
Groundswell＝波のうねり、感情の起伏
Tidal wave＝津波
Pessimism＝悲観主義

Groundswellは意味を見るに水っぽいしTidal waveに至ってはそのまま『津波』だ。
しかしTidal waveは自分にダイタルウェーブという付加をつけるだけだったりする。

ぺったりと張り付いた髪を適当に逆立て水気を拭う。そのまま水気を集め、水塊に投げ込んだ。
乾いた体にいつもの衣装を纏い姿見の前に立つ。

「あぁ…やっぱりなぁ」

見事に変色した目。少し気を抜くとこれだ。
小瓶を取り出してねばつく液体を目に塗る。
塗りながらふと、ここ最近の戦闘を思い出した。

『おひさまぽかぽか。』

まぶしいおひさま

『主よ。この十字に誓います。』

砂漠のひと滴

エミルが扱う魔力の性質は基本的に『光』。
自然、と言えるかは解らないが目潰しのような効果を持つ魔術が増える。
ついでに昨日今日と水が欲しいとかなんとか言っていた。

エミルの瞳は青い。光に弱いはずだ。
アンジニティは砂漠というわけではないが、乾いた大地と痩せた植物では防げない風が吹いている。

「よし。あれば買おう。無ければ作るかな」

服と一緒に買うものは決まった。目薬と眼鏡。あれば帽子も。
重いと言うには軽すぎるが軽いと言うには重すぎる財布を握り、ゆっくりと部屋を後にした。