ENo.286 ヨシュラミーナ・ザ・ブラッドホリック

ヨミ「さて、逸れることの多い我々のPTですが……」

イコロ「どうしたのさ、改まって」

ヨミ「いやねー、ここら辺まで来ると敵も強くなってきたし、そろそろきちんと対策取ったほうがいいんじゃないかなーって思ってさ。
特にこれから依頼なわけでしょ？　当然最大戦力で挑んだ方がいいわけですよ」

エルトナ「確かに。それで、何か対策あるの？」

ヨミ「慌てない慌てない。
うちのPTで一番逸れることの多いのって誰だと思う？」

エルトナ「イコロね」

ライラ「イコロたんですね」

ヨミ「正解。そこの犬っころねー」

イコロ「み、皆してセメント――――――！？」

ヨミ「と、いうわけで。
迷子になるわんこのために、こんなもの用意してみました！」

エルトナ「……首輪？」

ライラ「あぁー、確かに。
随分と頑丈そうな首輪ですね。それ、どうしたんです？」

ヨミ「街で作ってもらったのさー。
防具としての性能も高いおまけつき。万が一はぐれても、持ち主に危険が迫るとわたしの方で感知できる優れもの」

イコロ「できれば防具の方をメインでお願いしたかった……」

ヨミ「はいはい我慢してねー。
はぐれなくなったらはずしてもいいから」

イコロ「うぅ、屈辱……」

ヨミ「鎖はライラが持っててねー。
わたしとエルトナは戦闘要員だから、できるだけ俊敏に動けないと困るし」

イコロ「僕も戦闘要員だよねぇ！？」

ヨミ「だってイコロは召喚獣メインだし」

エルトナ「ひとしきり召喚した後は補助してくれれば問題ないわね」

ライラ「動かなくても仕事できますよね」

イコロ「待遇の改善を要求する――――――――！！！！」

イコロ「うぅ、窮屈だ……」

ヨミ「まぁまぁ。ほら、丁度洋館に到着したわけだし」

エルトナ「ふと思ったのだけれど、和洋の差があるわけでもないのに洋館っていう表現もおかしな話よね」

ライラ「まー、もしかしたら海の向こうに東洋の神秘があるのかもしれませんし」

イコロ「そんなことよりさっさと中に入ってゾンビ退治しちゃおうよ。
この鎖、やっぱり外したい……」

ヨミ「仕方ないなぁ……まぁ、流石に建物の中で迷子になることはないだろうし、いっか」

イコロ「やったー！」

エルトナ「じゃあ、中に入るわよ」

ヨミ「OK。しかしこの扉……なーんか、随分嫌な気配がするなぁ……」

ライラ「怖いこと言わないでくださいよ。
中に入った途端にドアが閉まって出れなくなったー、とかシャレになりませんよ」

ヨミ「そんなホラー映画じゃあるまいし。あ、集団戦が予想されるから、ライラは中で待っててね
っと、開いた開いた。じゃあ早速中へ……って、あれ」

暗転と静寂

ヨミ「……あー、皆生きてるー？」

イコロ「大丈夫ー」

エルトナ「こっちも大丈夫！　とりあえず灯りを……」

ヨミ「…………エルトナー？　どうかしたー？」

再び静寂

ヨミ「え、ちょっとまさか……　イコロー？　エルトナー？　……しょうがない。とりあえず灯り灯りっと……」

用意しておいた携帯燃料に火を灯す

ヨミ「……あっれ見事に誰もいない……こりゃ参ったなぁ……っと、物音が……」

？？？「ぁ、貴方は依頼を見て・・・？」

ヨミ「ああ、そうそう。貴女が依頼人？」

レムネット「あ、はい。私は・・・レムネット、といいます。えぇと、ここが例の洋館で、この中にゾンビがたくさん・・・・・・」

騒音。そして腐臭

ヨミ「っと、挨拶も他の二人を探す間もなく……ね。
えーっと、レムネットさん、だっけ」

レムネット「あ、はい」

ヨミ「悪いけど、さっさと終わらせるからちょっと隠れててくれる……？」

レムネット「・・・・・・ぇ？」

レムネット「は、はぁ……」

ヨミ「ま、ざっとこんなもんでしょ」

レムネット「あ、ありがとうございました……お強いんですね。
その服装からお見受けしますが……このような退魔の仕事を生業としているんでしょうか……？」

ヨミ「ん？　あー、服装はあんまり関係ないかな。というか、服装なら貴女だって似たようなものじゃない」

レムネット「え、あ……私は、はい……そんなところです」

ヨミ（？　どうにも歯切れが悪いなー……まぁいっか）

ヨミ「ああ、そうそう。この辺で、角の生えた犬と赤い髪の女の人、見なかった？」

レムネット「ぇ……？　特に見ていませんけど……」

ヨミ「……嫌な予感がするなー……仕方ない……壊すか」

レムネット「……ぇ？」

ヨミ「せーのっ！！」

733の日記とリンクするので次回へ続く！！