《テリメイン》——そう呼ばれる未開の地域がある。
ある日とある組織が、海と遺跡しかないその未開の地域を調査する者の募集を始めた。
《テリメイン》には噂がある。
曰く、お宝が大量に眠っている。曰く、未知の生物が大量に存在する。曰く、とある遺跡には全てを統べる事のできる魔法がある。他にも様々な噂が存在している。
そんな噂を信じ、冒険者やトレジャーハンター、
果ては学生やただの一般人など、多くのものたちが多くの目的を胸に、
探索者として名乗り出た。
金のため、名誉のため、未知の生物を発見するため、
バカンスのため、水着を着るため、その水着を見るためなど、
様々な目的を胸に——
《テリメイン》を発見した者が作り出した組織。
多くの世界に《海底探索協会》が存在し、探索者の募集を行っている。
全ての探索者をサポートするが、全ての探索者をサポートをするが故に、
サポートの質は低い。
ロザリアネット
「……はい、それでは必要な手続きはこれで終了ですので、最後にあちらで簡単なご説明を致しますね♪」
ロザリアネット
「それでは、ちょっとついてきていただけます?」
ロザリアネットが尾びれをゆらゆらさせながら、リーヴィアを案内しようとした、 その時だった。
???
「ちょっと待った」
シュナイダー
「こいつも新しい登録者か?」
ロザリアネット
「あらあら、オークさん。そうですよ、また新しい登録者の方がいらしたんです♪
それにしても、そんな大きな図体でそこにいられては私、ご案内できませんわ」
ロザリアネットが押しのけようとしても、何回りも大きなオークはびくともしない。
シュナイダー
「案内の前に、こいつらの実力を試す必要があるだろう。忘れたのか?」
ロザリアネット
「一体何をおっしゃっているのです? 私はそんなこと聞いていませんわ」
シュナイダー
「え……ええー?」
ロザリアネット
「冗談です」
ロザリアネットがリーヴィアに向き直った。
ロザリアネット
「実は、この世界には危険な動植物がたくさん生息しているんです」
ロザリアネット
「まだまだ生態が判明していないものも居ますし……ある程度は探索者協会がバックアップをしているんですけれど、
この世界にいらした皆さんでも自衛していただきたいということで……」
ロザリアネット
「それで、簡単な実力テストを行うことになったんです」
シュナイダー
「そういうことだ。その実力テストは俺が直に担当する」
ロザリアネット
「というわけで、この野蛮な豚さん……じゃなかった、オークさんに実力を見せて差し上げてくださいね」
シュナイダー
「酷いぜロザりんちゃん……」
ロザリアネット
「そうそう、この世界は、一人では困難な場面でも、パーティを結成して乗り切る事も出来るんです」
ロザリアネット
「丁度、あなたと同じくここに来た方もいらっしゃいますし、【あなたを含めて3人まで】
今回は無理ですけど、オークさんを倒した後にでも組まれてはどうですか?」
シュナイダー
「1人でも、2人でも……」
ロザリアネット
「1人でも2人でも3人でも、冒険はもちろんできますよ。
もしパーティを組むなら、事前に【パーティ結成用の合言葉】を決めておいてくださいね」
シュナイダー
「オレの台詞……」
ロザリアネット
「なにか?」
シュナイダー
「……まあいい。それでは、実力テストを始めるぞ」
そういうや否やオークは組んでいた腕を解き、戦闘用に力を溜めはじめた。
シュナイダー
「さあおまえの力を見せてもらおう」
ロザリアネット
「頑張ってくださいね。私は汗臭いのは苦手なもので、控えておりますから」