========================================================================== 『よんにちめ』 よんにちめ、とってもはれ おうち、レヴィアたちのおうちができた、デス。 おそとの、おうち、ベッドがふかふかで、すこしフシギデス。 ねむるときにベッド、でねるの、ちょっとスキデス。 あした、はちょっとアサからいきたいとこ、ある、ので きょうはここまでにするデス。 あした、もたのしいいちにちになればいいな、デス。 ========================================================================== 少女は朝早くから荷造りをしていた。 そのもの五月蠅さに気だるげにクラックは起きた。 「なに？レヴィア、こんな朝早くから……」 「あ、クラック！ななじ、アサデス！ 　オハヨーゴジマス、デス！」 元気に挨拶。 最近覚えた言葉、朝の挨拶の言葉。 だけど指差す先の時計はまだ6時だし、ゴジマスになっていた。 「……ああ、うん、おはよう。で、何事よ」 「えと、えっと、レヴィア、きょうおそと、いってきます、デス」 「……貴女一人で？」 「はい、デス」 「…… 　まぁ、いいわ……日が沈むまでには帰ってきなさいよ」 「はいデス！」 昨日から住み始めた宿、家を後に、少女は海へと向かった。 海の中を優雅に泳ぐ、その様は美しくもあり海の中では歪でもあった。 少女は他の魚のように尾はあるが、服を着ているのに不自由さを感じていない。 海竜族、レヴィアはその一族であり、 海の生き物の頂点に君臨する種族であった。 この服は少女にとっては魚の鱗のような役割で、 ゆらゆらと泳ぎに合わせて揺れてまるで体の一部のようだった。 「たしかこのあたり……デス」 辿り着いたそこは昨日、協会から依頼されて探索した場所だった。 深海よりは深くはないが、そこそこに深いその場所にたどり着いた少女は 周辺を見まわし、ある場所で止まった。 「あった……」 深海近いからか、先は見えないが海底に人一人が通れるギリギリの亀裂のようなものがあった。 昨日は時間の関係でここは探索できていなかった。 依頼でも頼まれていない、その場所は地図にもなかった未開の地。 「んっ…」 決意を固め、少女はその先へと進んでいく……。 空からの光が届かなくなったその場所は真っ暗だった。 唯一の頼りは、少女の角から発せられる光のみだった。 暗闇の先へとどんどん進んでいく……。 どれだけ進んでいったのだろうか、海の中では時間の感覚がわからない。 「ひがしずむ、まで……デス」 そうクラックと約束したことは覚えているが、 日が沈む時間、それがいつなのか、海の中ではわからなかった。 レヴィアにとってはずっと海の中にいたので、時間感覚はないに等しかった。 夜になれば眠くなるものの、深海に住んでいたので昼や夜の感覚なんてものはなかったのだ。 また、未開の地だからか、周りには泳ぐ生物は何もいない。 生命の気配すらない。 不思議で不気味な海の底。 その先に、少女の光とは違う光がうっすらと見えた。 「あっ……」 うっすらと見える光のところへ行くと、丸い玉のようなものがあった。 少女はそれを手に取り、嬉しそうな顔を浮かべると大事そうに抱え込んだ。 「やっと、ひとつ……」 暫く、その光る玉を抱え余韻に浸っていた。 はっと気づき、急いでその場所を後にし、家に帰ると日はもう完全に沈み夜になっていた。 もちろんのこと少女はクラックに怒られた。 時間、どうにかしてわかるようにならないといけないな、と心に誓った少女だった。

レヴィアたんはアイテムNo.8 焼き貝 を使用した。

魔力が3上がった！

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

ここ、最先端探索拠点を越えてしまえば、そこはもう未開の海だ。
レヴィアたん達のような探索者たちがどんどん先へ進めば、
後々海底探索協会が、このような拠点を設けていくのだろう。

この先はどんな危険が待ち受けていても不思議ではない。
誰も踏み入れたことのない場所なのだ。
準備を怠らず、慎重に進むといい。

どのような生き物が居るのか、どのような未知が、はたまた宝が眠っているのか。
それはこの先へ自ら進んでいく者にしかわからないのだろう。

海は、まだまだ先へと広がっている。