ボトルシップメッセージ。この世界に集まった探索者が瓶に詰めた手紙を流し、 それをどこかで拾った誰かが見る、というシステムだ。 ナダルは文字が読めない。 ゆえにボトルシップメッセージは仲間の元に持って行って読んでもらう事になるのだが——。 今回の手紙は取り出して、文字を眺めた瞬間火がついて燃えてしまったのだ……。 幸い火傷はしなかったが、燃えていく手紙を呆然と眺めていたのだった。

ナダル 「何書いてあったんだろ……消えちゃったらヴィンスやマサムネに見せられないや。 おれも文字、読めた方がいいのかなぁ……？」

考え込むのは一瞬で。仲間の元へ泳ぐのであった。

ナダル 「マサムネ—、ヴィンスー！おれに文字の読み方教えてくれよ！！」

ヴィンス 「文字？ああ、そういえばナダルの書類は俺が代わりにやったからね。 探索の合間に教えてあげるよ。」

マサムネ 「ああ……いちいち俺らのところに聞きに来るのも手間だろうし、 今後必要になる時もあるだろうしな。」

ヴィンス 「文字の練習をするならこれが必要だね！テリメイン共通語の教科書と、 水の中でも書ける羊皮紙ノートとペンとインク！しめて20SC！」

マサムネ 「お前この期に及んで仲間から金巻き上げる気か？」

ヴィンス 「スミマセン……協会の経費で落とさせていただきます……」

マサムネ 「おう……ならいいが……。」

ナダル 「おっ、いいのか！ありがとう！頑張って覚えるぜ！」

こうして、ナダルの勉強の日々が始まったのだった——。

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

ここ、最先端探索拠点を越えてしまえば、そこはもう未開の海だ。
ナダル達のような探索者たちがどんどん先へ進めば、
後々海底探索協会が、このような拠点を設けていくのだろう。

この先はどんな危険が待ち受けていても不思議ではない。
誰も踏み入れたことのない場所なのだ。
準備を怠らず、慎重に進むといい。

どのような生き物が居るのか、どのような未知が、はたまた宝が眠っているのか。
それはこの先へ自ら進んでいく者にしかわからないのだろう。

海は、まだまだ先へと広がっている。