天界と呼ばれるその場所で過ごしているのは神や天使のような神話的存在たちのみである。あとは死んだ人間の魂がそこらへんでうろちょろと次の生を待っているだけ。 　彼らは地上で住む者たちとは違う理を抱いて生きるものである。いや生きるというよりかは在るだけというべきだろうか。何せ失うような魂も彼らは持ち得ない、そこに終わりはないからだ。 　基本的に彼らは天上から人間たちを、地上で生きる者たちを眺め世界が上手く回っていくように調節する。そこから地に降り立ち直接地上の何かと接触しようとする者たちは稀だ。というよりは天界での掟によって不必要な干渉は禁止されており、それが許される者たちの数はあまり多くはない。 　それでもかみさまはそこに居た。 　なんとか実力試験を終え協会のある街で一旦適当な宿だけを取り軽い食事を済ませてから、あとは部屋のベッドにぱたりと倒れ込んで眠ってしまったおさかなを見下ろす。 　薄く開いた唇から溢れるのは寝息、息を吸って吐いてとする度にその胸は上下し、ときたまむにゃむにゃと寝言を零した。 　生きている。 　布団をかけてやって柔らかな髪に触れた。次に心臓の音を止めるときはいつだろうかと考える。次の戦闘か、それとも訪れた場所の環境が体に合わないときか。はたまたうっかり街で事故に合うこともあるかもしれないし、口にした食事に当たることもあるかもしれない。 　そして、そうなったら自分はまた天に昇る魂を掴んで引き寄せ体に戻し生き返らせるだけ。 　旅路はまだ始まったばかりだ。 　この旅が終わるまでに何度おさかなが死ぬその瞬間を目にするのだろうかと考えて、考えて、やめた。 　吐き出した溜息は部屋に霧散して消える。 *** 　 「体が軽い気がします！」 「思いっきり寝てたからな」 「はい！　ぼく、ベッドで寝るのは初めてで……あんなにふかふかしてるとは思わなくて、気持ちよかったです」 「そりゃよかった」 　賑やかな街の大通りを歩きながら、おさかなは昨日泊まった宿屋のベッドに思いを馳せます。 　昨日宿泊した宿屋はそこまで立派なところではなく、むしろ協会から頂いた僅かなお金の中のさらに僅かなお値段で泊まれる程度の宿屋でしたので、部屋の中も置いてあるベッドもなかなかに粗末なものでした。それでもおさかなにとっては夢のような空間で、初めて触れたシーツの感触もマットの柔らかさも小さな胸に感動を与えるには十分すぎるほどでした。 「寝転ぶのはいつも水槽の底だったので、あんなに柔らかく体を受け止めてくれるものがあったなんて知らなくて！　これもかみさまのお陰ですね！」 「感謝するなら俺様が望んだ通りに働いてくれよ？　暇つぶしの遊び道具を探す約束、はしゃいで忘れてねえよな？」 「もちろん！　体だって強くしてもらったし、全力で働いちゃいますよー！」 　全力で腕を振り上げながら走り出したおさかなを、呆れたように笑いながらかみさまがついていきます。 　無事協会にも探索を認めてもらったことなのでこれからは本格的に遺跡探索を行うことは確定済みで、向かう先はテリメイン最先端探索拠点。探索が進んでいない海域はその向こうにあるというのが協会の人の言葉で、海の中にあるその場所にこれから二人で向かうことになります。 　 　あの戦いが終わったあと、おさかなはいくらかかみさまに体を強化してもらいました。 　流石に敵の攻撃を一撃で受けただけで倒れていては戦闘が続きませんので、ある程度。 　それでも一撃が二発、三発に耐えれるようになったぐらいでしたが、あとはあんたが体を鍛えていけばなるようになるといわれたのでそういうものかあ、と思いました。あまり生き返らせてやること以外に干渉はできないと言っていましたから、これがぎりぎりなんでしょう。 　自分にいろんなことをしてくれるかみさまの力に早くなるために、今日から毎日筋トレとやらを頑張っていこう。 　道を歩きながらそう決意したおさかなの頭を、ふいにかみさまがぺちぺちと叩きます。慌てて振り返ったおさかなに、「はい」とかみさまが手渡したものは。 「……貝？」 「シェルボックス、開けてみろよ」 「あ、はい」 　ぱかっとおさかながその手渡された貝を開けると、ころんとスキルストーンが姿を見せました。 「スキルストーン！」 「あんたが寝てる間に買ってきた、あんたの体が強くなるのも大事だがここで使える技が増えることも大事だろう」 「わあ、わあ……！　かみさま買ってきてくださったんですか！？　ありがとうございます、へへ……」 　ぎゅっと宝物を扱うみたいにおさかなはスキルストーンを抱きしめます。 　そんなに喜ばなくてもとかみさまは零しましたが、おさかなにとってはこれ以上ない嬉しいことでした。 　誰かに何かしてもらうこと、誰かに気にかけてもらうこと。 　おさかなが今まで経験したことのないもの。 「ぼく、しっかりがんばりますから！　ほんとに！」 「前も聞いたぞ」 「何回も言いたいので！」 「そうかよ」 　ほんとうに、ありがとうございます。 　嬉しそうに満面の笑みを浮かべておさかなはかみさまを見上げます。 　かみさまはちょっとだけ、寂しそうに笑って「どういたしまして」と返しました。

おさかなはアイテムNo.4 シェルボックス（低） を使用した。

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

ここ、最先端探索拠点を越えてしまえば、そこはもう未開の海だ。
おさかな達のような探索者たちがどんどん先へ進めば、
後々海底探索協会が、このような拠点を設けていくのだろう。

この先はどんな危険が待ち受けていても不思議ではない。
誰も踏み入れたことのない場所なのだ。
準備を怠らず、慎重に進むといい。

どのような生き物が居るのか、どのような未知が、はたまた宝が眠っているのか。
それはこの先へ自ら進んでいく者にしかわからないのだろう。

海は、まだまだ先へと広がっている。

——辺りは穏やかな潮の流れと、ちらほら入る光で暖かい。
まだまだ遺跡は先へ続いている……。

おさかなは周辺を探索…………。

怒りイカ焼きを手に入れた！

おさかなはSSシェルボックス(低)を購入した。

おさかなはSSシェルボックス(低)を購入した。

おさかなはTGシェルボックス(低)を購入した。

おさかなはTGシェルボックス(低)を購入した。

おさかなは生命回復を購入した。

おさかなは体力を訓練した。
おさかなは体力を訓練した。
おさかなは体力を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。
おさかなは体力を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。
おさかなは体力を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。

おさかなはアイテムNo.7 ヒールを私有化！

おさかなはアイテムNo.8 バンシークライを私有化！

目的の決定