さて、少女がテリメインで新しい世界に驚いたり、戸惑ったり、感動したりしている一方で、 魔法都市国家リューグは大変な騒ぎになっていました。 なにしろ、龍神さまの巫女という国の象徴が行方不明になってしまったのですから。 お付きの者曰く「少し目を離した隙に、お祭りの人込みに紛れて消えてしまった」とのことで、 すぐに大規模な捜索が行われました。 しかし、その日はあいにく龍神祭。 龍神祭とは、龍神さまを讃えるお祭りであると同時に、巫女の誕生日を祝うイベントでもあるので、 Ｚ姫と同じような仮装をした女の子はあちらこちらにいたのです。 なので、捜索は非常に難航しました。 けれども、リューグは海底ドーム状の都市です。 Ｚ姫の足ではそう大した距離は移動できませんし、船は全てきちんと管理されていますから、 しらみつぶしに探してゆけば、そのうちに必ず見つかるハズ と、誰もが思っていました。 ところが、その状況が一変します。 とあるお祭りの屋台の店主が「食い逃げの女の子を追いつめたと思ったら、ここに来たばかりと語る怪しい男と一緒に逃げられた」 と証言したからです。 Ｚ姫の捜索は、ただの行方不明から国外までも視野に入れた誘拐事件にレベルアップしました。 港の関係者に問いただしてみたところ、入船出船どちらの目撃情報もありませんでしたが、 「不思議な金属の小手のようなものから煙を撒いて逃げた」という店主の話を聞く限り、犯人は未知の技術を持った外部の人間の可能性が高かったからです。 すぐに、リューグでは異例の海洋探索隊が結成されました。 そして、Ｚ姫を見つけるために広い大海原へと出発したのでした…… 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　§ ……そんなことになってるとはツユ知らず、Ｚ姫はボトルシップから出てきたメロンパンをちぎって、どちらが大きいか真剣に見比べていました。 （もちろん、小さいほうをツ・カイ青年にあげるつもりでした） 「う～～～ん……右がちょっと小さいかなあ……でもなあ…… うん、やっぱり右！」 そう言うと、メロンパンを抱えて、青年が待ちくたびれているだろう潜水艦に向かってパタパタ走ってゆきます。 その足元からはかすかに金属の擦れる音がしていました。

Ｚ姫はアイテムNo.6 ナマコ を使用した。

精神が3上がった！

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

ここ、最先端探索拠点を越えてしまえば、そこはもう未開の海だ。
Ｚ姫達のような探索者たちがどんどん先へ進めば、
後々海底探索協会が、このような拠点を設けていくのだろう。

この先はどんな危険が待ち受けていても不思議ではない。
誰も踏み入れたことのない場所なのだ。
準備を怠らず、慎重に進むといい。

どのような生き物が居るのか、どのような未知が、はたまた宝が眠っているのか。
それはこの先へ自ら進んでいく者にしかわからないのだろう。

海は、まだまだ先へと広がっている。