報告から数日が経った。通信技術がまだ発展途上であるこの世界で、そう早く返信が返って来るものではないので、今日も特に何もない。探索まで日にちがあるので相変わらず森の中をふらふらしている。特に理由はない。長年親しんだ地形というだけだ。 （取りあえず食料でも確保しよう……） 　確かに協会へ行けばメシも売っているし、宿泊施設もあるだろう。それはどちらかというとか弱い種族が利用すべきで、自分で言うのもあれだが、俺みたいな逞しい種族が利用してしまうと他の者が利用できなくなってしまう。それはあんまり好ましくない。というか環境適応力の高い竜種が譲らないでどうするんだ。メシも同様。直ぐ近くにこんな広い自然の食糧庫があるのになぜお金を払ってまで食べなければいけないのだ。自給自足。大自然でのサバイバルは良き鍛錬になるし、まさに一石二鳥。これだから野宿はやめられない。 ▼ 　普段の日常と変わらない生活を送っているうちに返信が返ってきた。 【まずは報告ご苦労と述べておこう。しかし、私は君に"休暇"を取れと言ったはずだが？確かに冒険しようが何しようが何も口出しするつもりはないのだが、なんでもかんでも報告されては君の休暇は台無しだろう。休暇くらいこちらのことは忘れたらどうだろう。いや、忘れろ。ギルドマスターの命令だ。 　とまあ、言いたかったのだが、この報告を見て否が応でも君に仕事してもらう事になった。やれやれ、本当に面倒事を巻き込む体質でもあるのか。それとも知らず知らずして面倒事に飛び込んでいるのか……ともあれ、何か進展があれば随時報告するように頼む。一応これは私独断での依頼だ、あまり報酬は出ないが、近いうちに君の装備をそちらに届けよう。他になにか欲しいのがあれば連絡をくれ。可能な限り要望に添えよう。 　それと、余談だが、最近水の国で動きがあったようだ。アウグストスから離れている君は充分注意するように。ではこちらからの連絡は以上。】 「……」 　マスターからの手紙を読み終えた俺はその手紙を閉じた。マスターが意味もなしに外の国の動向を手紙に書くはずがない。ましてや俺の出身である水の国の話を持ち出すはずがない。つまり、これは俺への警告だ。そして俺はその真意を知っている。 　それでも俺は—— 「悪いな……やっぱり、俺には無理だ、約束……守れそうにない」 　静かに拳を強く握りしめ、今日も拠点となる木から飛び降りた。その時、海岸の方で何か小さく光るものが空に上がっていくのが見えた。それが何なのかを確かめるべく、俺は海岸の方へと足を運んだ。

シリウスはアイテムNo.5 焼き魚 を使用した。

敏捷が3上がった！

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

遺跡探索

シリウスは、この世界の探索者としての一歩を踏み出した。
海底に沈む遺跡の探索——。

誰もがこの海の、この遺跡から冒険の一ページを刻み始める。
とはいえこの辺りはまだまだスタートライン。

もっとこの世界に眠る、謎や宝や未知の生物を目にしたいと願うなら、
このセルリアンの遺跡を抜け、さらなる海域を目指すといいだろう。

海はまだまだ遠く、広がっている。