ツバサ
	「さて、ここなら大丈夫かしら。」

テリメインの夜。時は遺跡探索を開始して一日目。 初日の探索を終了し、翌日に備え二人と解散した後の事。 ツバサは一人、人気のない陸へと訪れ、荷袋から何かを取り出した。

	ツバサ
	「えーっと、メニュー呼び出しはっと……おっ、これだね！そしたら、通信っと……。」

取り出されたのはデフォルメ化された猫のぬいぐるみのような何か。 手のひらに収まる大きさで、赤色を基調にしたカラーリングで、全体的に丸っこいデザインをしている。 ぬいぐるみのようなそれの名は《マグ》。マグはツバサがテリメインへと向かう前に上司から渡された、探索補助用機械である。 ツバサがマグの操作を行うと、マグはふよふよと浮遊しながら、ツバサの目の前に立体映像による操作盤と、メニュー画面が表示した。 ツバサは操作盤を操作し、通信機能を起動する。

	ツバサ
	「これで大丈夫かしら。さて……。 ……コードネーム：ウイング。XENON、応答お願い。」

操作を終え、マグに向かって話し始めるツバサ。すると、マグから画面が表示され、そこには一人の男性の姿が。

男性 『通信開始。待ってたぜ、ウイング。』

	ツバサ
	「ちゃんと繋がったみたいね。 報告はアンタにすればいいのかしら？グラント。」

男性 『ああ。調査結果の報告は僕が担当するよ。 それはそうと、ちゃんとマグは機能してるかい？』

映し出された男は気だるげな表情で返事をする。 男の名はグラント。 茶髪でぼさぼさした短髪に、不健康そうな色白の肌。若干やせ細った体系で白衣をまとっている。 XENONでツバサが所属するチームの開発担当であり、マグを作ったのはグラントである。 ちなみに、ウイングとはツバサのXENON内でのコードネームであり、組織内では原則コードネームで呼び合うルールとなっている。

	ツバサ
	「ええ、異世界越しでも問題なく通信ができてるみたいね。」

グラント 『これくらいはお茶の子さいさいだって。 まぁ、コストの都合上攻撃や補助といった戦闘に関する機能を取り付け損ねたが……。』

	ツバサ
	「ここまでの機能だけでも十分お釣りが出るわ。 ほんと、技術力だけは流石だわ。」

グラント 『おっ、ウイングが褒めてくれるなんて珍しいね。 でも、もっと素直に褒めてくれてもいいんだぜ？グラントさんすごい！憧れるぅ！ってさ。』

	ツバサ
	「そういうのウザいからやめて。」

露骨に嫌な顔をするツバサ。

グラント 『ははっ、手厳しい。ちょっとした冗談だって。 そんなに邪険にしなくたっていいじゃないか。もっと肩の力抜いて行こうぜ。』

	ツバサ
	「アホ上司のノリに付き合うのが嫌なだけよ……。 で、調査結果の報告は何処からすればいいのかしら？」

グラント 『ああ、それについては心配ご無用。 この通信が入った時点で、ここまでの探索結果はこっちに送られてきてるよ。』

	ツバサ
	「ふーん。じゃあこれで十分かしら？じゃあ通信を切っても……」

グラント 『おおっと、待ってくれよ。近況報告がまだだぜ。 どうだ？そっちで奴さんの動きは観られたかい？』

通信を切ろうとするツバサに慌てて問い直すグラント。 そしてツバサも、奴さんという単語を聞いて表情を変える。

	ツバサ
	「……残念ながら、まだ収穫は無いわね。 アイツ等、この辺に居てくれたら楽なものを。早く見つけ出さないと……。」

グラント 『……ま、逸る気持ちも解らんでもないが、今は少しずつ情報を集めるしかないだろうさ。 急がば回れ。焦らずに行こうぜ。』

	ツバサ
	「そう、ね……。わかってるわ……。」

焦りを見せるツバサを窘めるグラント。 そのまま話を続ける。

グラント 『それ以外に、何か報告すべき事柄は無いか？』

	ツバサ
	「……ああ、言い忘れるところだったわ。 テリメインで出会った二人の子と一緒に探索することになったわ。」

グラント 『……そういう報告、もうちょっと早めに言うべきだと思うぜ。 で、その二人ってのはどんな子なんだ？』

	ツバサ
	「わ、悪かったわよ……。 一人はディーネ。自分が水の精霊ってこと以外の記憶を失ってる子。 目的もなくウロウロしてたから放っておくのもなんだし、一緒に探索する事になったの。」

	ツバサ
	「もう一人はミカサ。身体が機械の砲撃手よ。 テリメインで海賊に襲撃されたとき遅れを取らないように、手を組むことになったわ。」

グラント 『成程ね。ディーネちゃんに、ミカサちゃんね。 まぁ、任務に手段は問わないってリーダーも言ってたし、別にとやかく言うつもりはないんだが……。』

グラント 『お前さん、その二人も奴さんとの戦いに付き合わせるつもりか？』

訝しげな表情でツバサを見るグラント。 それを聞き、ツバサはハッ、とした表情を一瞬見せつつ、言葉を返す。

	ツバサ
	「それは……ッ！ ……そのつもりは、無いわ……。」

	ツバサ
	「確かにあの二人は戦力になるし、利用する価値は十分にある。 ……でも、アイツ等相手は話が別よ！」

	ツバサ
	「アイツ等は……リング機関はアタシの獲物よッ！！ 自由を掴む為に、アイツ等はアタシがぶっ飛ばすッ！ 誰にだって邪魔はさせないわ！あの二人にも……アンタ達XENONにもッ！！」

アイツ等、もといリング機関の話になり、感情的に叫ぶツバサ。 その言葉を聞いたグラントは、ふーむ、と思考する様子を見せる。

グラント 『……お前さんの言い分は解ったよ。やりたいようにやりな。 でもな、ウイング。一つだけ覚えといてくれよ。』

グラント 『そうやって一人で背負い込みすぎるのは、大きな失敗を招きかねんぜ。 お前さんは、もう一人じゃあないんだ。その点、忘れなさんな。』

	ツバサ
	「……そんなの、言われるまでも無いわ。」

グラント 『……そうかい。』

やれやれ、と再び気だるげな表情を見せるグラント。

グラント 『そんじゃま、報告は以上かね。そろそろ通信終わるぜ。 最後にリーダーから伝言だ。「風邪には気をつけろ」ってさ。』

	ツバサ
	「連勤休日出勤サビ残当たり前のクソ上司が余計なお世話よって伝えておいて。」

グラント 『ははっ、りょーかい。おやすみ、ウイング。』

通信が終了し、グラントを映していた画面が消える。

	ツバサ
	「…………ふぅ。 ちょっと疲れたわね。もう休みましょ。」

	ツバサ
	「一人で背負い込みすぎるな、もう一人じゃない、か……。 そんなこと、言われたって……。」

そう呟きながら、マグを荷袋へとしまい、ふらふらと寝床へと向かって行った。

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

遺跡探索

ツバサは、この世界の探索者としての一歩を踏み出した。
海底に沈む遺跡の探索——。

誰もがこの海の、この遺跡から冒険の一ページを刻み始める。
とはいえこの辺りはまだまだスタートライン。

もっとこの世界に眠る、謎や宝や未知の生物を目にしたいと願うなら、
このセルリアンの遺跡を抜け、さらなる海域を目指すといいだろう。

海はまだまだ遠く、広がっている。

穏やかな潮の流れに、時に身を任せ、時に原生生物を相手にし、
確実にテリメインの探索へ進んでいたツバサは、
前方に大きな泡に包まれたドーム状の建物を発見した。
近くの岩に、建物の名前が彫られているのを確認できるかもしれない。

	テリメイン最先端探索拠点

……どうやらここが、海底探索協会の最先端拠点らしい。
これよりドームから先は、いよいよ未知なる海域が待っているのだろう。

誰も見たことのない財宝。
誰も発見したことのない未知なる生物、海底遺跡。
己の力をつけるため、願いを叶えるため……。

様々な目的を胸に秘め、各地から集まった探索者たちは旅立っていく。

テリメイン最先端探索拠点は、そんな夢を秘めた冒険者たちに、
最先端のスキルストーンやチューンジェムを揃えて販売している。

この拠点より先は、海底探索者協会の目が届かない海域だ。
【海賊】と呼ばれる者たちに襲われる危険性もあるかもしれない。

未知なる海域へ足を踏み入れる前に、ここで十分に準備をしてもいいだろう。

ツバサは周辺を探索…………。

焼き貝を手に入れた！

ツバサは回避を購入した。

ツバサはSSシェルボックス(低)を購入した。

ツバサはSSシェルボックス(低)を購入した。

ツバサは敏捷を訓練した。
ツバサは器用を訓練した。
ツバサは器用を訓練した。
ツバサは敏捷を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。
ツバサは敏捷を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。

使い慣れたナイフ に 命中力強化 を実行！
使い慣れたナイフ の 物理命中、魔導命中 を 1回強化した。

バトルスイムウェア に 回避力強化 を実行！
バトルスイムウェア の 物理回避、魔導回避 を 1回強化した。

アーム／スイムアシスト に 回避力強化 を実行！
アーム／スイムアシスト の 物理回避、魔導回避 を 1回強化した。

スキルNo.2 スイムアップ をアイテムNo.7 【自MP○%以上】 で改造！
スキルNo.2 スイムアップ の使用条件が 【自MP○%以上】 に変化！

スイムアップ に 飛翔ノ唄 と名付けた！

目的の決定