---------------------------------------------------　 3 　--------------------------------------------------- 全く……白昼堂々、他人を巻き込んで喧嘩とはけしからん。我はそれを諫めるべく、叫喚ありける方へと急いで向かった。 あれはこちらの方角か、いざ我が踏み込んだのは協会にすぐ隣り合った市場であった。 見回す限りそれらしき影はなく、我にはすぐにそれが徒労であったことが分かった──が、折角だ。よしよし、この界隈の『通貨』を少しばかり持っているのだ、少し見物でもしていこうではないか。 そこは、今まさに新たな冒険へと旅立つ者たちの活気に溢れていた。 海に面したその地域ではよく魚が捕れるのであろう、今朝水揚げされたばかりの魚、魚、魚達が──残念なことに、傍目それはおおよそ珍しい種類のものではなかったのだが──ただそばを通り過ぎる我を恨めそうに睨みつけていた。 ふむ、あちらでは冒険に役立つ商品専門に扱っているようだの。ならば明日に備え少し物色でもすると決まりだの。 さてさて散々うろついた末、我が協会が望める埠頭へと足を運んだ時だ。 そこで我がみとめたのは──喧嘩、いや、喧嘩よりも一方的なものであろうか。 いかにも困り果てた様子のイルカを傍目に、性質の悪そうな強面海竜が、今まさにか弱き獣人へと暴虐をふるわんとする姿であった。

	フィーナ
	「 　おぉ～～～い！！やめんか馬鹿者ども！！ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　」

そのまま我は、ガンを飛ばし合う二匹の間をめがけて勢いよく滑り込むと、その勢いのまま、この目つきの悪い海竜の眉間を凝視してやる。

	目つきの悪い海竜
	「ああん、何だお前？邪魔しようってか？ 酷い目に遭いたくねぇならあっち行ってろ。」

ふむ、まずここまでは筋書通りの反応である。

	フィーナ
	「お主達、とくにお主は昼間っっから一体何をしておるのだ。 子供ではあるまいて、大人げないとは思わぬのか？この坊主が何をしたかは知らぬがな。 ここは我に免じて勘弁してやっ」

	狐獣人
	「ウ・チ・は・オ・ン・ナ・だ！間違えてんじゃねえぞ、このクソババア！」

ふむ、どうやら早速やってしまったようだ。我が火に油を注ぐような真似は避けたかったものだが、こうなってしまっては仕方ないではないか。なあに、どうあれしまいには丸くまとまるだろうて。

	フィーナ
	「ハッハッハ！ そりゃあ失敬！我はお主の種を見慣れていないものでのぉ。堪忍してく」

	狐獣人
	「るっっせえ！お前もまとめてぶっ潰してやる！ そっちの薄幸竜野郎もどうした、さっさとかかってこいや！ ん～、はっは～～ん？もしやこのルネス様の威圧感にビビってんだな？ ちゃんとタマついてんのか？童貞野郎！」

	とても目つきの悪い海竜
	「オイ黙ってりゃ何でも好き勝手言いやがって、ぶっ殺すぞいや殺す、今すぐ丸のみにしてやる」

	フィーナ
	「 　ハッ～～ハッハッハ！！ 　　　　　　　　　　　　　　　　　」

どんっと海竜が我の身体を押したのだが、だからなんだ。我は気にしないことにした。

	桃色のイルカ
	「ああんもうっっ皆さん落ち着いてください！！貴方は何しに来たんですか！ すいません、ルネスが飛んだご無礼を……この私の土下座(?)に免じて、どうか、どうか……！」

	フィーナ
	「なあに、心配はいらぬよ。ここはひとつ我に任せておくがよい。 ときに、こやつらは一体何でこうなったのだ？」

我は押し合う二匹を両の腕で離しながら、岸に頭をこすり付け懇願するイルカへと語りかける。 彼──彼女か、いやこの際性別はよかろう──このルカというイルカが手短ながら語るには、狐の小娘が無茶にも海竜へとかつあげを仕掛けた末にこのような様に陥ったらしい。 しかし言動から察するに、このイルカは生意気な小娘の関係者であろう、その上このような状況が慣れっこと見える。日頃より大いに苦労しているに違いなかろう。おお、憐れなものよ。

	フィーナ
	「ルネスといったか小娘、まずは落ち着くがよい。 珍しい物が欲しいというならなら、我の物をくれてやろうではないか。ほれ。」

我は小娘に、先ほど市場で手に入れた『スキルジェム』を袋より複数取り出し差し出してみせた。我には『外』の物の価値がよく分からぬのだが、見た目は綺麗な宝石であるからして、さほど価値のないものではなかろうて──。

	ルネス
	「んん、お宝！？ ……はー！？お前ウチを馬鹿にしてんのか？してんだろー？ こりゃ世界が逆さになってもゴミのどうしようもないゴミばっか、これが全部ならあっちの薄幸野郎よりもひでえや！ぶふっ！！」

	海竜
	「おい…」

	フィーナ
	「むむ、そうであったか。どうにも我には物を見る才がないようでの。 ハッ～～～ハッハ、こりゃあ傑作！ ……それでは、これはどうかの？我のお手製だが、巨大魚のブレスレッ」

	ルネス
	「ぷっ、今どきそんなもん付けて出歩くヤツがどこにいるんだよ！？そりゃ一万年は時代遅れだぜ。伊達にババアしてねぇな！」

	ルカ
	「ああっ、あああああ……！　すいません申し訳ありません飛んだご無礼をどうぞご勘弁を、ルネスを御許しください……」

人の少ない場所ではあったが、どことなく騒ぎを聞きつけ野次馬どもが集まりつつある。 これ以上長引かせるはまずいが、しかし我の頭にいまいち良い解決策が浮かばなかったのだ。 そんな時だったか、先ほどが悪態をついていた海竜がやや調子を変え口を開いたのは。

	海竜
	「……はぁ～つまんねぇ。 心底胸糞悪いけどよ、これ以上馬鹿に付き合ってらんねぇっての。」

	ルネス
	「おいおいウチから逃げる気かよー？なら出すもんしっかり出して置いてくのが筋じゃねえかよ？」

	海竜
	「そこのクソアマのせいでシケちまったんだよ、クソガキ。無駄に運使ってんじゃねえぞ。」

	ルネス
	「ウチはガキじゃねえっ！おい、てめぇ待ちやがれ！」

その場を去ろうと向きを変える海竜を、小娘は逃がさぬものかと掴みかかろうとする。件のイルカは頭をひどく岸へとめり込ませたままで動かぬ。 はて、これ以上はどうしたものかの。 …… ふふ、ここ一番でとっておきの策が浮かんだぞ。

	フィーナ
	「ふ～む……ルネスにそこの海竜よ、今日この辺りに居るより察するに、お主らも『遺跡探索』へ参加するのであろうぞ？ この先どこで出会うかもしれぬ、その相手にいきなり恩ならぬ怨を売ることはなかろうて。」

	海竜
	「さっきから海竜海竜うっせぇぞクソアマ、俺にはグィロンって名前がちゃんとあんだ。 まぁ最も、お前らからその名で呼ばれるこたぁ金輪際ないだろうが──」

	ルネス
	「それはウチのセリフだ！お前らまとめてウチが海の底に沈めてやらぁ！」

	フィーナ
	「ハッハッハ！そうか主はグィロンというのか。覚えやすい良い名じゃの。ちょうど名前が必要だっ…… ハッハッハ、いや、何でもあるまい。 グィロンにルネスよ、主らもこれに準ずる物は授かったであろう。これは凄いのだぞ、ほれ見ろ……」

まず我は腰ポケットから『スキルストーン』を取りだすと、奴らから見えるように掲げてみせる。 我は協会よりここへと辿り着くまでの間、幾度となく取りだしては触れ試していたのだが、それ故これが想像よりも遥かに多機能なものであるということが分かっていた。奴らがそれを知るかは分からぬが、この状況だ、間違いなく試すだけの価値はあるだろう。

	フィーナ
	「たとえばみろ、ここに触れると不思議と声がするのじゃ。」

* 遺跡探索冒険者管理システムへようこそ *

	「どうだ。はて、これは協会にいた女人魚かのぉ。ホッホッホ！」

	ルネス
	「それ絶対歳からくる幻聴だぜ～、ババア！」

	フィーナ
	「むむ、これは我にしか聞こえておらぬのか。 ちなみにどうでもよい事がな、まだ我は婆という程の歳ではあらぬよ。ピチピチじゃぞ。」

	フィーナ
	「ではこちらはどうじゃ。ここを押すとここが鋭く光るのじゃ。暗所を進むには便利そうじゃのう。」

* 人物をスキャン中です、そのままお待ちください…… * 　　　　* 登録済み冒険者三組を確認しました。 *

	「ほれみろ、今度こそ聞こえたのではないかの？どうだ、気にはならぬかの？」

我は石をポチポチ適当に叩いているように装いつつ、あくまでこの場を和ませようと試みる。

	ルネス
	「な～～～～んも聞こえねーってんだよ。 いやぁそりゃさ、石のことはちょったぁ興味あるけどよ。」

	グィロン
	「おい、もう帰るからな。」

	ルネス
	「ははっ、それはこのルネス様が許さんなぁ！」

	グィロン
	「別にお前らに許可ぁ求めてねぇよ。いちいち突っかかってくんなこのクソガキ。」

	ルネス
	「ガキじゃねぇつってんだ！お前なんて身包み剥いで全身余すところなく売ってやるからよ！」

	グィロン
	「ガキはガキだろクソガキ……何度でも言ってやるよ。 しかし唯一の逃げるチャンスをふいにするとはなぁ？ま、覚悟は出来てたんだろうがよ。」

海竜が装甲に包まれた右腕を振り上げる。さあ今にもゴングが鳴ろう、子狐娘VS海竜、突発マッチ第一ラウンドの幕開け──となるはずであった、まさにその時であった。 ────瞬間、三(四)人の脳裏への音声メッセージと同時に、視界を遮るがごとく『文章』が浮かび上がった。 　　　　　* パーティメンバーの登録を完了しました。明日 ○○時 登録された組で遺跡××地点へとお越しください。 *

	グィロン
	「ああん！？……おい、何だこりゃ？」

	ルネス
	「パーティ……はぁ！？ちょっと待ておい、こいつらとーってか？」

	ルカ
	「こ、ここれはななななんと……」

	グィロン＆ルネス
	「 　さっぱり意味わかんねぇよ！？ 　こりゃあ一体どうなってんだ！？ 　おいクソアマお前勝手に何してんだ 　ウチは絶対認めねぇからな！ 　おい今すぐ取り消せ、お前操作法分かっ 　う～～～～最悪だぜ！！ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　」

	フィーナ
	「ほれほれ、こうなった以上仲良くせざるを得んのう？ おおっとちなみにな、これは全員の姿名前が揃わぬと『解除』すら出来ぬというのよ。 ……まぁほれ、旅は道連れと言うでな、良いではないか、良いではないか……。 　ハッ～～～ハッハッハッハッハ！！！ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　」

血色を変えて掴みかからんとする二人の間を一足早くすり抜けると、我はそのまま野次馬どもの間へ向かって走り出していた──。 今日のフィーナの運勢：

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

遺跡探索

フィーナは、この世界の探索者としての一歩を踏み出した。
海底に沈む遺跡の探索——。

誰もがこの海の、この遺跡から冒険の一ページを刻み始める。
とはいえこの辺りはまだまだスタートライン。

もっとこの世界に眠る、謎や宝や未知の生物を目にしたいと願うなら、
このセルリアンの遺跡を抜け、さらなる海域を目指すといいだろう。

海はまだまだ遠く、広がっている。

穏やかな潮の流れに、時に身を任せ、時に原生生物を相手にし、
確実にテリメインの探索へ進んでいたフィーナは、
前方に大きな泡に包まれたドーム状の建物を発見した。
近くの岩に、建物の名前が彫られているのを確認できるかもしれない。

	テリメイン最先端探索拠点

……どうやらここが、海底探索協会の最先端拠点らしい。
これよりドームから先は、いよいよ未知なる海域が待っているのだろう。

誰も見たことのない財宝。
誰も発見したことのない未知なる生物、海底遺跡。
己の力をつけるため、願いを叶えるため……。

様々な目的を胸に秘め、各地から集まった探索者たちは旅立っていく。

テリメイン最先端探索拠点は、そんな夢を秘めた冒険者たちに、
最先端のスキルストーンやチューンジェムを揃えて販売している。

この拠点より先は、海底探索者協会の目が届かない海域だ。
【海賊】と呼ばれる者たちに襲われる危険性もあるかもしれない。

未知なる海域へ足を踏み入れる前に、ここで十分に準備をしてもいいだろう。

フィーナは周辺を探索…………。

海ブドウを手に入れた！

フィーナはSSシェルボックス(低)を購入した。

フィーナはSSシェルボックス(低)を購入した。

フィーナはSSシェルボックス(低)を購入した。

フィーナはTGシェルボックス(低)を購入した。

フィーナはTGシェルボックス(低)を購入した。

フィーナは体力を訓練した。
フィーナは体力を訓練した。
フィーナは体力を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。
フィーナは器用を訓練した。
フィーナは器用を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。

フィーナはアイテムNo.3 ダブルアタックを私有化！

フィーナはアイテムNo.5 ドレインを私有化！

フィーナはアイテムNo.10 ガードケアを私有化！

スキルNo.6 ブレス を忘却した。

ブレス をアイテムNo.3に取得！

スキルNo.3 マジックブラスト を忘却した。

マジックブラスト をアイテムNo.5に取得！

スキルNo.5 マジックブレイク を忘却した。

マジックブレイク をアイテムNo.10に取得！

目的の決定