なんやかんやで、あたしはキンちゃんと合流することになった。 キンちゃんは、あたしの昔からの知り合い……友達で、小さいころ、毎年おじーちゃんのところに 遊びに来た時にユウ兄と一緒に遊んでもらっていた仲だ。 金魚とかなんとか名乗ってたけど、まあそれはあたしが子供だったからのアレなんだと思う。 …でも、このテリメインに来てから見る人見るもの、今までのあたしの常識からはわりと外れた ものばかりなので、今もしかしたら……とかちょっと思い始めてる。 それは今度改めて確認することにして。 「とりあえず番号とIDだけ交換しとこ」 「ういッス、ミサキさん」 デバイスで連絡できる知り合いがいるっていうのはショージキ心強い。 おじーちゃんは家出したイキオイで追いかけてきたあたしに、卵型デバイス、『エスト』越しにいろいろとしてくれては いるものの、何か忙しくしているらしく、まだその姿も見ていない。 一人旅とは言うものの、ずっと一人は寂しい。 ……あたしってわがままなんかな。 ともかく。 しばらくこちらにいることを決めたあたしとしては、おじーちゃんとの合流を目指しつつ 生活をしていかなければならない。 当面の食料やらは船に積んであるものがあるとして、それ以外に欲しいものがあれば 自分で稼いで手に入れるのだ。 どうやら探索を続けていればこの世界のお金は稼げるらしいけど、 何かと戦うとかいうのは経験もなくて怖いし、何よりあたしは泳げない。 これっぽっちも泳げへん。 なので本当は極力潜りたくはないのだけども、いちおう探索者として登録された以上、 最低限の活動というのは必要であるらしい。 「ミサキさん、ほんと何で探索者なっちゃったんですか？」 キンちゃんうっさい。イキオイなん！ …なので。 できたらそれ以外にも、ここのお金を稼ぐ手段を探したり、あとは——友達作り。 そのあたりが当面の目標、かな。 うん。目標決めたらなんか色々やる気になってきたわ。 「よーーーーっしゃ、がんばろ！！」

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

遺跡探索

ミサキは、この世界の探索者としての一歩を踏み出した。
海底に沈む遺跡の探索——。

誰もがこの海の、この遺跡から冒険の一ページを刻み始める。
とはいえこの辺りはまだまだスタートライン。

もっとこの世界に眠る、謎や宝や未知の生物を目にしたいと願うなら、
このセルリアンの遺跡を抜け、さらなる海域を目指すといいだろう。

海はまだまだ遠く、広がっている。

穏やかな潮の流れに、時に身を任せ、時に原生生物を相手にし、
確実にテリメインの探索へ進んでいたミサキは、
前方に大きな泡に包まれたドーム状の建物を発見した。
近くの岩に、建物の名前が彫られているのを確認できるかもしれない。

	テリメイン最先端探索拠点

……どうやらここが、海底探索協会の最先端拠点らしい。
これよりドームから先は、いよいよ未知なる海域が待っているのだろう。

誰も見たことのない財宝。
誰も発見したことのない未知なる生物、海底遺跡。
己の力をつけるため、願いを叶えるため……。

様々な目的を胸に秘め、各地から集まった探索者たちは旅立っていく。

テリメイン最先端探索拠点は、そんな夢を秘めた冒険者たちに、
最先端のスキルストーンやチューンジェムを揃えて販売している。

この拠点より先は、海底探索者協会の目が届かない海域だ。
【海賊】と呼ばれる者たちに襲われる危険性もあるかもしれない。

未知なる海域へ足を踏み入れる前に、ここで十分に準備をしてもいいだろう。