我々を探しているただ一隻の船 それは異様な黒い帆を一杯に張り 小鳥の一羽も囀らぬ圧倒的な静寂の中 軌跡に泡さえ立てずに近付いてくる ──フィリップ・ラーキン

どうやら自分の実力について根本的な見直しが必要らしい 身体は別物、武器は貧弱、海は初めてって事を差し引いてもだ

ま、《ゾーン》と違って簡単に死んだりしない点はありがたい

これが《ゾーン》だったらおれの死んだ回数は両手に余るだろうからな

……

あのセオって兄ちゃん、おれに護衛を頼んでおいて前に出るんだが、カメラマンの癖なのかね？ そもそも魔法だかなんだかをバカスカ連射できる奴に護衛なんか必要か？ ナイフ一本で立ち回ってるおれがアホらしくなってくるな

ま、以前《ゾーン》でやった科学者の護衛よりはずっと楽な仕事には違いない

敵襲と見るや「ウラー！」って突っ込んで弾切れとなると棒立ちでリロードを始める

相手の目の前でな

セオにはおれを楯にするように伝えたが、さてどんなもんかね

……

それにしてもあの、ナマコ頭のあれは何なんだ？ スノークとかコントローラーとか《ゾーン》にも似たような奴はいなくはなかったが

あれはちょっと理解を超えてる

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

遺跡探索

クリスは、この世界の探索者としての一歩を踏み出した。
海底に沈む遺跡の探索——。

誰もがこの海の、この遺跡から冒険の一ページを刻み始める。
とはいえこの辺りはまだまだスタートライン。

もっとこの世界に眠る、謎や宝や未知の生物を目にしたいと願うなら、
このセルリアンの遺跡を抜け、さらなる海域を目指すといいだろう。

海はまだまだ遠く、広がっている。