「バカな・・・・・・」 　あれから数日。 　風の向くまま、気の向くまま、潮風を味わいながら逍遥していた俺だったが、衝撃の　事実を知ってしまう。 「この世界にはカオスヴォウルが無いというのかっ！」 　生前、己の総てだったカオスヴォウルという名の格闘球技。 　それが俺にとって二つ目の顕界であるテリメイン（というらしい）には存在していな　いようだ。 　村を往来する地元民や酒場に入り浸っている呑兵衛など多くの人間に確認を取ったの　だが、誰ひとりとしてカオスヴォウルを知る者はなかった。 「知る者はなし。聞く者もなし。・・・・・・なんという凍えた世界だ」 　どれだけ必死にカオスヴォウルを説明しても、まともに聞いてくれたのは極僅か。 　ならばといきり立って俺はカオスヴォウルを実践してみると、しかし返ってきたのは嘲笑だけだった。 「・・・・・・くくっ、面白い」 　我が身に染み付いた常識が通じない。 　カオスヴォウルが存在しない。 　その程度のことでこの俺が・・・・・・神龍愛作が辟易するなどありえない！ 「誰も彼も、俺の魂たるカオスヴォウルを笑いやがって・・・・・・。くくくっ、いいさ。ままずは従おう、このテリメインとやらの常識に」 　己の常識を相手に押し付けるのは賤民にも劣る塵芥の所業に他ならない。 　やるならば正面から堂々と────それが俺の信じる覇道である。 　ここ、テリメインの海には多くの遺跡が眠っているとの噂を耳にした。 　非常に眉唾な話であるが、俺は躊躇うことなく目指すことにする。 　 「くく、くくくっ・・・・・・！」 　気分が昂揚する。 　実のところ、噂の真偽など俺にはどうでも良かった。 「海の底に遺跡がある。それを聞いてわくわくしない男なんているワケがない！」 　 　船の調達、遺跡の情報収集────さあ、やることは山積みだ。

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

バカンス

青く輝く海ッ！
申し訳程度に残った陸地の真っ白い砂浜ッ！
キンキンキラキラと照りつける太陽ッ！！！

そう、ここはバカンスにピッタリ夢の世界、テリメイン！
水着の美男美女ッ！
トロピカルな熱帯魚と珊瑚礁ッ！

さあ心ゆくまで羽を伸ばし、
この穏やかなる海セルリアンを全力で堪能するのだッ！

しかし注意せよッ！　穏やかな海域とはいえ、未知なる生物が居ないとも限らないッ！
そんな障害なんぞ乗り越え、全力でバカンス出来る、
愛作のユートピアを今こそ探し出すのだッ！

暖かな海、緩やかな潮の流れ、色とりどりの魚たちッ！
まだまだこの海は、バカンス出来る場所がありそうだッ！

愛作は周辺を探索…………。

シェルボックス（低）を手に入れた！

愛作は魔力を訓練した。
愛作は魔力を訓練した。
愛作は精神を訓練した。
愛作は精神を訓練した。
愛作は精神を訓練した。

目的の決定