～我はラジェルという存在を語る～ 「……実に満足したのだわ。スラッシュとはいったものの、やはり私には魔力系の方が使いやすい」 オーク嬢を相手に謎の好奇心を満たしたラジェルは杖に刃を納めて一人頷いている。 やる前からわかりきっていた事だが、ラジェルには魔法系スキルの方が相性が高いようだ。やる前からわかりきっていた事だが。 我が主の行動にツッコミを入れているとキリがない。彼女と付き合っていく上でスルースキルは重要なファクターだ。 「さて、それでは次の目的地に行くのだわ。一応、遺跡探索を申請しておいたわ。 　バカンスに心惹かれたのだけれど、ほぼ海しかないこの世界で何をエンジョイすればいいのか分からなかったの」 スキルストーンがなかったら水没してしまうような座天使にとって、この世界はあまり楽しめるようなものではないのかもしれない。 だが、ここには探索者同士が交流を深めるための【コミュニティ】と呼ばれる組織があるようだ。 そこに顔を出せばラジェルにとって何か良き未知と出会う可能性もある。後で進言しておくとしよう。 「手に入れた新しい力は【ガードケア】？　つまりガードをケアするのね。そのまんまだわ。 　でも条件付きのヤツも含めて私一人で使うには少し無駄があるかしら。いずれ取引にでも使えればいいのだけれど」 長期休暇を利用してこの世界まで出向いたラジェルだが、探索を行うにおいて助力を得られないのが問題になってくる。 我が付いているとはいえ実際に戦闘を行うのはラジェル一人だ。心配ではないと言えば嘘になる。 かといって今、別世界で戦っている者達をここに呼び出すわけにもいかない。彼らには彼らの目的があるのだから。 「大丈夫。なるようにしかならないのだわ。 　こういう時は考えるより行動するのだわ。思考の迷宮に迷い込んで動けなくなるより怖いモノはないのだわ」 ラジェルはいつでもプラス思考だ。理解しがたき行動理念で動く彼女だが、それは時に頼もしく、時に恐ろしきモノだと感じる事もある。 それはどんな場面でも変わらない。例え首に縄を付けられ崖下に叩き落とされたとしても揺らがないだろう。 彼女を一つの生物だとした時、そこには致命的に足りない部分がある——ラジェルには【死】というものが存在しないのだ。 高所から地面を見下ろした時。目の前に刃物を突きつけられた時。己の理解を超えた事情に遭遇した時。 生物にとってもっとも恐ろしい出来事とは【その存在を終えてしまう可能性がある事象】だろう。 だがラジェルにはそれがない。死という概念自体を知ってはいても理解はしていないのだ。 我らが所属する天界の住人はその全てが魂のみで構成されており、ラジェルの身体はとある物質を魔力により再構成して作られたモノである。 言うなればここに存在するのはラジェルという魂の器だ。壊れても取り替えの利く人形といえば分かりやすいか。 もし今のラジェルが破壊されても天界にいる【ラジェル】本体を殺すことは出来ない。 彼女はまた同じ、もしくは別の身体を生成してここに降り立てばいいだけだ。。 この世界のルールに従って力を失っても彼女自体の特性は失われない。言ってしまえばこのラジェルは【プレイヤーキャラクター】なのだ。 「遺跡探索というのもまたロマンがあるのだわ……神ごとに担当が違うからこの世界の歴史を私は知らないから。 　やはり大岩が転がってきて水責めとかしてくるのかしら。でも水中だと余り意味をなさない気がするのだわ」 逆に彼女は一人で探索することにして良かったのかもしれない。 死を恐れない者が傍に居ることで、生身のままどうしようもない脅威に巻き込まれる事だってあるのだから。 そんな役回りなど、彼女に生み出された我だけで十分である。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　※　※　※ 「では行くのだわ。せっちゃんも防水加工は万全かしら」 《せっちゃんとは誰のことだ》 「セファーラジエール。略してせっちゃん。君は名称が紛らわしいのだわ」 《このタイトルを付けたのは主だが》 「私の書いた本なのだから私の名前を残すのは当然だわ」 《その割には我を一つの人格として生み出したようだが》 「それは、ぶっちゃけ偶然なのだわ……ラジ様もびっくり」 《おい予言の力を持ってるとかいう座天使どういうことだ》 「……それは冗談として。君を書いたのは私の知識を他にも伝えたかったから。 　でも君の意識を構成してる部分は私しか解読できないブラックボックス。きっと誰にも理解出来ないわ」 《何故そんなことを？》 「秘密なのだわ」

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

遺跡探索

（あなた）は、この世界の探索者としての一歩を踏み出した。
海底に沈む遺跡の探索——。

誰もがこの海の、この遺跡から冒険の一ページを刻み始める。
とはいえこの辺りはまだまだスタートライン。

もっとこの世界に眠る、謎や宝や未知の生物を目にしたいと願うなら、
このセルリアンの遺跡を抜け、さらなる海域を目指すといいだろう。

海はまだまだ遠く、広がっている。

——辺りは穏やかな潮の流れと、ちらほら入る光で暖かい。
まだまだ遺跡は先へ続いている……。

ラジェルは周辺を探索…………。

ナマコを手に入れた！

ラジェルはSSシェルボックス(低)を購入した。

ラジェルはTGシェルボックス(低)を購入した。

ラジェルはSSシェルボックス(低)を購入した。

ラジェルはTGシェルボックス(低)を購入した。

ラジェルはSSシェルボックス(低)を購入した。

ラジェルは魔力を訓練した。
ラジェルは魔力を訓練した。
ラジェルは魔力を訓練した。

目的の決定