もずく 　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　エンテ　 ～・～・～・～・～・～・～・～・～・～・～・～・～

	リオーネ
	「し……信っじられない……！！！！」

何が信じられないかって？ そうですわよね、いきなりではわかりませんものね。 実はわたくし、リオーネは今日こそ日誌を書いてもらおうと、無頓着で不愛想で何もしないダメダメなエンテさまにお願いいたしました。 それはもう、嫌われても構わないという心構えでしつこく！！本っ当にしつこく！！ そうしたら溜息を一つ吐いて、ペンを手に取ってくれたのです！！ これはもう、わたくしのひたむきな思いが通じて、書いてくださるか！！と喜んだわけですよ！！ そうしたら……

	リオーネ
	「もずくってなんですの……！！！！」

なんだかくやしい気持ちでいっぱいです。 楽しみに日誌の表紙を開いたらコレですよ！？ わたくしのワクワクドキドキテカテカをお返しになってくださいエンテさま！！

	エンテ
	「……もずく、知らないのか？」

	リオーネ
	「そうではありませんッ！！ そうではなく、なぜ……なぜもずくなのですか！！ しかもこのテリメインのもずくだと、さしずめテリメインもずくとかそういうのですかそうなんですか！！」

わたくしがそう問えば

	エンテ
	「今日の……食材。テリメインかは、知らない」

	リオーネ
	「ＯＨ……！！！！」

わたくしは頭を抱えました。 エンテさまにとって日誌とはただのメモ帳にしか過ぎないのでしょうか。 絶望的……絶望的ですわ……！！ もうこうなったら、人混み、人魚混み、ウミウシ混みの中……むりやりにでも連れ出すしかありません！！ そうしてそこであった事を事細かに書いていただくことにいたしましょう。 そういえば、ちょうどよく、コミュニティなるものが多々存在したはず……。 後程吟味してエンテさまでも入っていけそうな場所を探そうではありませんか！！

	リオーネ
	「よーし、そうと決まれば、さらにがんばりますよー！！」

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	エンテ
	「……なんか、なんだろう……最近周りが騒がしくなってきたな……」

	エンテ
	「まあ、どうでもいいか」

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

バカンス

青く輝く海ッ！
申し訳程度に残った陸地の真っ白い砂浜ッ！
キンキンキラキラと照りつける太陽ッ！！！

そう、ここはバカンスにピッタリ夢の世界、テリメイン！
水着の美男美女ッ！
トロピカルな熱帯魚と珊瑚礁ッ！

さあ心ゆくまで羽を伸ばし、
この穏やかなる海セルリアンを全力で堪能するのだッ！

しかし注意せよッ！　穏やかな海域とはいえ、未知なる生物が居ないとも限らないッ！
そんな障害なんぞ乗り越え、全力でバカンス出来る、
エンテのユートピアを今こそ探し出すのだッ！