ぱちり、ぱち、ぱちり 錆びかけの一斗缶の中で火が乾いた音を上げる。 彩りのなきに等しい岩浜に、元は漂流物だろう一斗缶。 火の色ばかりがむやみに明るく鮮やかで、むしろそれがこの場を情けなくしているようだ。 ひとり火に当たる雑種の子どもは、そう思った。 この世界に来てから、もう一月は過ぎた。海に潜るのも、海から上がった後の面倒なあれそれの始末にも慣れてきた。 だから、早くここから離れて体を洗わないと、髪やら皮膚やらが潮や砂にひどくやられてしまうとはわかっている。(一度やらかしたのだ。あの時は、酷かった。) わかっていても、雑種の子どもは一斗缶の側を離れられないでいた。 なにせ体が重だるい。 海から上がった後の、尾っぽの先を潮の中に置き忘れてきてしまった様な、しずしずとしたこのだるさばかりは、どうにもまだまだ慣れそうにない。 このままぐずぐずとしてしまいたいが、焚き付けにするものも無くなってきた。 温まってきた体をわざわざまた冷やすのも癪に触る。 ここにいるのは、今のこの火が消えるまでにしよう。 、、そう決めた途端に、どうにも時間を持て余す。 不意にできる真っさらな時間にどうにも戸惑ってしまうのは、まだこの急な休暇に慣れてしまえてないからだろうか。 次はこれをしなければ、あれをしながらそちらの用事も進めなければとしている方が自分には合っているのかと考えると、どうにもむなしくなる。

「こちとらまだ12だっての、、」

生き急いだ様な身の動かし方に慣れきってしまった我が身を少しばかり嘆きつつ、ひょいと放っておいたかばんをあさる。 何かないものか。

「、、、、、！」

ああ、あった。 雑種の子どもが取り出したるは、上司からの手紙。 一週間ばかり前に届いたのだが、どうにも返事を書きそびれたままでいた。 こんな所へまで持ち歩くくらいには気にかけていたのだが、どうにもこうにも、なんというか、あーその、自分の心に正直に言えば、面倒くさかったのだ。 そろそろ返信しないと、あの上司サマの事だ、まーーーった速達便を送りつけてきて金を無駄にしてくださりやがるだろう。 これは、急ぐべきだ。カキューテキスミヤカに済ましてしまうべき用事だ。手紙のための紙資源にしても、速達代のお金にしても、無駄遣い、ダメ、ゼッタイ。 である。 用事を見つけた雑種の子どもは、わずかに残る火を無造作に消すと、宿に向かって歩き出した。 ＊ ＊ ＊ 雑種の子どもが教会に紹介してもらった仮宿に着く頃には、おおよそ書くべきこともまとまっていた。 使い慣れたペンをとれば、後は真っさらな紙と時間を埋めていくばかりであった。 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 拝啓 大雪虫の渡り来る季節、上司サマはいかがお過ごしでしょうか。 さて、僕がこの世界に来てもう一月が経ちました。 形ばかりのものでしたが、海底探索協会の試験にも合格し、海に泳ぐのも慣れと、まず順調に過ごしています。 上司サマに頼まれていた土産話ですが、小分けにして、手紙で送らせてもらいます。 というのも、僕の脳みそに入れて持ち帰るには、どうにもこぼれ落としてしまいそうなくらいには色んなことがあるからです。 まず何を書こうか少し迷いましたが、最初はやはり海に潜るという事を通して見知った事について書こうかなと思います。 今僕が潜っている海は、穏やかな明るい海です。ベージュの砂が敷かれた水底に、日や月の光が射して、ゆらゆらと網の模様が浮かんでいます。 でも、そんな明るい水底をずっと沖へと泳いでいくと、一気に深くなるところがあります。 そういう所には、たいてい遊泳域の区切り示すブイ(大きい浮きの事みたいです)があり、そしてそのブイの下から、先に重りのついたロープが垂らされています。 この手紙を書く5日ほど前に、僕はいつかは探索する場所だろうからとりあえず一度くらいは、とそのロープを伝って、深い方へと泳いでみたことがあります。 別に、何かに違反した行為ではありませんよ？ 僕のそれは遊泳じゃなく、海底探査協会に登録された者として、許可されている事ですから。 まあとにかく僕は、ロープをたどって、深い方へ深い方へと泳いで行ったのです。 潜るほどに、辺りが深い暗い青に沈んで、指先に感じるロープのわずかな、わずかなものであるはずの凹凸が、やけに大きなものに思えてきました。 フジツボに覆われた重りが見える頃には、恥ずかしい話ですが、僕はすっかり不安になってしまっていて、重りに着いたところになったら、もう深い所に行かないでいい、これで上がれる！とばかり思っていました。 そして、そう思いながら上を見上げした。 すると、水面が見えました。 当たり前のことなのですが、水面がみえたのです。 青のグラデーションに、波の形に散らばった日の光と、ぺたりとした藍色の面になった丸いブイの陰と、そこから伸びるロープと、それを掴む僕の両の手が見えたのです。 ふと思い立ってロープを引っ張ってみると、上の上の上のほうでブイが沈んで浮かんで、波の形の光を崩して、丸い輪がいくつもできました。 その波紋の遠さが見てわかってしまった途端に、僕は、僕が本当に深い所にいるのに気づきました。 あんなにも綺麗なほど純粋に怖いと思ったのは、生まれて初めてかもしれません。 そこからは、本当に、ほんっとうに必死になって海面へと上がって行きました。 口から出るあぶくが、僕より速く海面に上がっていくのが、ひどく憎らしく思えました。 そんな思いをして、その日の僕はいつもより疲れて陸に帰りました。 でも不思議と、この手紙を書いている今の僕は、またあの青色の中に行ってみたくなっています。 あの怖さを忘れた訳じゃあありません。 ただ、あの青色のあんまりにもな美しさを、思い出して、忘れられなくなってしまったんです。 以上、第一弾の土産話でした。 上司サマの大好物な、僕が情けないことになっている話でしたけど、どうでしたか？ そうそう、この話では海のちょっと怖いところの話しましたけど、探査協会の人によるとこの海域、海賊も出るみたいなんですけど。 海怖いどころじゃなく海賊おっかないのですけれども。 上司サマは、そこら辺ご存知の上で僕をこの世界に来させたんですか？ とりあえずこれも持って行きなさいってナイフ持たされましたけど、僕はそれが知的生命体に向けて振るう用とは露ほども思っちゃいませんでしたからね？ ま、海賊も僕みたいな貧乏人襲っても何にもならないと判断すると思いますけど。 とにかく、怖い思いもちょっとはしてますが、僕はこのひと月をそこそこ楽しく過ごせました。 またひと月ほどしたら手紙を送ります。 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ そこまで書いて、雑種の子どもは筆を止める。 最後に、'返信お待ちしています 'とでも書いた方がいいだろうか。いやしかし、

「そんなキャラじゃ、ないよなあ。」

自分はそんな、かわいげのあるような事を書かないだろうが。 そもそもあの上司サマのことだから、そんなこと書かなくても、あれやこれやとこちらをからかってくるような手紙を書いてよこすだろう。 そんな上司サマ相手に、こちらから返事をせびるような事をしてなるものか。 と、思いながら、雑種の子どもは再びペンを持つ。 'そんな上司サマ'からの手紙を心待ちにしている自分を自覚しないままに、雑種の子どもは、ただ自分の名前を書き足した。

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

遺跡探索

（あなた）は、この世界の探索者としての一歩を踏み出した。
海底に沈む遺跡の探索——。

誰もがこの海の、この遺跡から冒険の一ページを刻み始める。
とはいえこの辺りはまだまだスタートライン。

もっとこの世界に眠る、謎や宝や未知の生物を目にしたいと願うなら、
このセルリアンの遺跡を抜け、さらなる海域を目指すといいだろう。

海はまだまだ遠く、広がっている。

——辺りは穏やかな潮の流れと、ちらほら入る光で暖かい。
まだまだ遺跡は先へ続いている……。

ペジカは周辺を探索…………。

海ブドウを手に入れた！

ペジカはTGシェルボックス(低)を購入した。

ペジカはTGシェルボックス(低)を購入した。

ペジカはSSシェルボックス(低)を購入した。

ペジカはSSシェルボックス(低)を購入した。

ペジカはSSシェルボックス(低)を購入した。

ペジカは敏捷を訓練した。
ペジカは敏捷を訓練した。
ペジカは敏捷を訓練した。
ペジカは器用を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。
ペジカは器用を訓練しようとしたが、EXPが足りなかった。

汎用短剣 に 回避力強化 を実行！
汎用短剣 の 物理回避、魔導回避 を 1回強化した。

汎用スイムスーツ に 回避力強化 を実行！
汎用スイムスーツ の 物理回避、魔導回避 を 3回強化した。

ゴーグル に 命中力強化 を実行！
ゴーグル の 物理命中、魔導命中 を 3回強化した。

ペジカはアイテムNo.6 ヒールを私有化！

ペジカはアイテムNo.10 ガードケアを私有化！

ペジカはアイテムNo.11 ボディブローを私有化！

目的の決定